パパ、じいじの腕の見せ所です!
こども雑誌のふろくといえば紙工作だった、という皆さん。あの頃に磨いたスキルを今一度、発揮してみませんか? 今回紹介するのは『さあ つくろう! MOVE うごく! こうさくブック 恐竜』です。人気の図鑑「MOVE」シリーズから出ている工作ブック。しかも組み立てた恐竜の口や尻尾が動くとなれば、子どもの食いつきはバッチリ! このレビューでは、なによりも「すご~い!」という子どもからの尊敬の眼差しをゲットするためのテクニックを伝授いたしましょう。
まず、みなさんに認識していただきたいのは、今や雑誌ふろくといえばおもちゃや小物が主流で、子どもは紙工作に慣れていません。本書はハサミやノリを使わずに、簡単に作れるようになっていますが、子ども(特に対象年齢は明記されていませんが、幼稚園~小学低学年くらい)が楽しく組み立てられるようにアドバイスは的確に。そこで今回、実際に全種類の恐竜を組み立ててみて、おすすめ制作順を以下のようなマトリクスにまとめました。
このマトリクスの左側から右側へと作り進めるのが順当です。子どもは人気のティラノサウルス、モササウルスあたりから作ろうとするかもしれませんが、いきなりこれらパーツの大きい恐竜(シート2枚)を作ると、手間取るかもしれません。シート1枚のステゴザウルス、トリケラトプスあたりから始めて、徐々に大きいものに挑戦させましょう。
比較的に作りやすい、小さめの恐竜たち。
子どもに自信をつけさせてからトライさせたい、大きめの恐竜たち。
まずは子どもに、恐竜のパーツをシートから切り離させます。そして組み立てさせるうえで、押さえておくべきことが2点あります。
●パーツの表裏の見分け方
「たにおり」「やまおり」の指示、恐竜名が書かれている面が、常に裏面(内側)になります。子どもが「どっちかなぁ~」と戸惑っていれば、そこに注目してアドバイスしましょう。
●接合部分(ベロ)の難易度
上の写真①~⑤が、この紙工作で使用されている接合部分(ベロ)の形状です。基本的にこのベロを差し込み口(穴)に突っ込むだけでいいのですが、それぞれの形状で接合の難易度が異なります。
①少し膨らみのあるベロ:これだけは接合に手間取るかも。がっちり接合する部分に使われていて、差し込み口が狭いので苦労しやすい。写真の矢印のように、膨らみから差し込んで回し入れる感じで接合しましょう。それでも難しいなら、一部を差し込み、内側から引く感じで。押し込むより、引き込むほうが簡単です。
②~⑤:これらはほぼ手間取ることがないでしょう。強いて言えば、②の差し込みは簡単ですが外(はず)れやすい。すぐに外れる場合は、差し込んだ内側を細く切ったマスキングテープでとめるといいでしょう。あと、⑤の紐状のベロは三角形の穴に通し、裏側同士が密着する形で接合することになります。
さらにワンランク上を目指すテクニック!
子どものことですから、作り始めると次から次へ恐竜を量産することでしょう。しかし、パパやじいじがほしいのは「ありがとう」ではなく、「すご~い!」という尊敬の眼差しです。そのためには、子どもたちが作った恐竜たちをブラッシュアップし、よりカッコよく仕上げるのです! カッターやハサミなどを使いますので、まだ子どもが小さい場合は、寝かせたあとに(大人が道具を使えば、子どもも使いたがりますからね)恐竜に息を吹き込みます。
テクニック●バリの処理とクリップ
子どもがシートからパーツを切り出すときに残っているバリ(紙の切断面・写真左)を、ハサミできれいに落としていきます。これがポツポツと見えているのは興醒めですからね。
それから首が動くタイプの恐竜(パラサウロロス、トリケラトプス、テリジノサウルス)については、小さなクリップを裏側に取り付けると、頭を上向けにすることができます。
テクニック●マスキングテープ
頭部や背中~尻尾にかけて、パカッと割れてしまう部分があります。こうした部分はマスキングテープを細長く切り、爪楊枝などでつつきながら貼り合わせましょう。セロハンテープでは接着力が強すぎますし、両面テープでは膨らみを持たせられないので、マスキングテープがおすすめです。
テクニック●青い部分を削る
4足の恐竜は一度平面パーツに戻してから、足元などの青い部分を、カッターで削り組み立て直しましょう。迫力が一気に増します。2足で立つタイプの恐竜は、青い部分を削るとバランスがうまく取れなくなるので注意してください。あと、4足でもブラキオサウルスは大きいので、青い部分を削ると体重を支えるのが難しくなります。
テクニック●針金を仕込む
紙にうまくクセをつけて、尻尾などに恐竜の動きを出せればいいのですが、難しければ針金を裏側にテープで貼り付けてみましょう(子どもに触らせる時は、針金に十分に注意を)。子どもにかっこいいポーズをつけさせて、スマホで写真を撮らせると喜びますよ。
テクニック●磁石で恐竜のいる暮らし
12種の恐竜を作って並べるだけで、かなりの場所を取りますし、片付けてもかさばります。そうなると、いい顔をしないのがお母さんですよね。そこで100円ショップで粒状のネオジム磁石を買ってきます。子どものお気に入り恐竜については、磁石を恐竜の体内に木工用ボンドやテープで貼り付けます(上の写真左を参照)。ホワイトボードや、冷蔵庫にペタリ! これで恐竜と共存共栄できますね。
いかがでしょうか? シンプルな紙工作ですが、それだけに工夫の余地はたくさんあります。「作っておしまい」だけではなく、大人がそこに一工夫を加えることで、子どもたちもオリジナルの工夫を考え始めてくれたらしめたもの。是非、子どもと試行錯誤を重ねて楽しい時間を過ごしてください。
レビュアー
関西出身、映画・漫画・小説から投資・不動産・テック系まで、なんでも対応するライター兼、編集者。座右の銘は「終わらない仕事はない」。