横関大さんの『忍者に結婚は難しい』がTVドラマ化されてヒットするなど、注目を集めている忍者ですが、「しゃばけ」シリーズの畠中恵さんの新作は、甲賀忍者たちが主人公です。
忍者といえば、ありえない身体能力で崖を駆け登ったりするイメージ。それはそのまま、本作では時代が降るにつれ、閑職に甘んじるしかなかった甲賀忍者たちの胸の内をじっくりと描くお仕事小説でもあります。
戦国の世、その勝敗の鍵を握っていたといわれる忍びたちですが、世が安定してくると急速にその役割を喪(うしな)って、いわば「ロス」状態だったのですね。
その甲賀衆が、十代将軍家治のお世継ぎと目されていた、唯一の実子・家基の警護を任され、奮起することに。
小説現代4月号で、「東京で忍者に出会った件」という畠中さんの素敵なエッセイと、江戸城(つまり皇居)お散歩マップを載せていますので、ぜひ併せてご覧ください。
──小説現代編集チーム 奥村実穂
レビュアー
小説現代編集チーム