曲げわっぱのお弁当をもっとおいしく、きれいに
ランチタイムになると電子レンジの前に大行列ができる職場で働いていた頃、せっかちで食いしん坊な私は「電子レンジを使わずともおいしいお弁当はないものか」と考えるようになりました。こうして我が家にやって来たのが曲げわっぱです。使えば使うほど「いいわあ」と感動します。
まず、無塗装の白木の曲げわっぱに詰めたご飯は、冷めたあともふっくらと粒がおいしいんです。まさかそんなと思いながら食べてみてびっくり。噂以上の味。曲げわっぱの調湿機能すごい!
そして想像以上に取り扱いがラクだったこともうれしい誤算でした。お湯とたわしでゴシゴシ洗えばよくて、気をつけることはしっかり乾燥させることだけ。
さらに見た目のかわいらしさといったら! おかずをポンポン詰めただけのお弁当でも、ちょっと見栄えがいい。でも、世の中にはもっとすてきなお弁当がある……そう、SNSで見かけるわっぱ弁当の世界はハイレベルで、いったいどうやってみなさん作っているの!? ずっと気になってきました。
そう、こういうきれいなお弁当ができあがっていく様子を見学したい。
『季節の食材でスピードレシピ 簡単わっぱ弁当』は、宝石のようなわっぱ弁当を美しい写真で楽しんで、シンプルなレシピと動画で作り方を学べる1冊です。彩りよく詰めるコツもしっかり解説されています。
この本がきっかけでフリルレタスと青じその出番が急増しました。
写真で感動し、動画で「あ、できそう」と思える
まずは「ああきれい」とうっとり眺めるところから始めましょう。四季のおいしい食材とそれぞれの季節ならではの工夫で作られたわっぱ弁当の美しい姿が楽しめます。
たとえばこちら。
「アボカドグリーンパスタ弁当」は彩りが涼しげ。そして喉越しのいいパスタは暑い季節でもスルスルいただけそう。ところで、これはどうやって詰めるの? そう、私が一番知りたいのは、やっぱりそこなんです。
そんなときは動画を見ましょう。すべてのお弁当のページにQRコードが添えられています。スマートフォンで読み取るとインスタグラムの動画を再生できます(本書を作ったエディットレシピさんのインスタアカウント"@edit_recipes"楽しいですよ!)。
パスタを手早く作って、丸いわっぱにサクサク詰めていきます。「キュウリやアスパラガスなど軸になるものから入れていくと詰めやすい」のだそう。静止画だけじゃなく動画で工程を確かめると「私にもできるかも」と思えるからうれしい。
そして、白いあられをちょっと散らすだけでうんとオシャレになるんですね。本書はこうした演出のテクニックをたくさん教えてくれます。
季節に合わせた華やかなピック、いいな。季節毎にテーブルの彩りが変わるおいしい和食屋さんのよう。
糸唐辛子を添えるだけで華やかに
さて、ふだん地味でそっけないお弁当を作っている私にもできるでしょうか。
まだまだ寒くて白菜がおいしい+好きなおかず+お弁当箱の形が似ていたので、こちらの「白菜豚ロール弁当」に挑戦してみることに。
赤、黄、緑の配置がきれい。
こんなに白菜はくるくる丸まってくれるだろうか……と心配しつつ、スマホでレシピ動画を再生して横目でチラチラ見ながらやってみると、コロンと俵型にまとまりました。豚ロースを巻きつけるのも難なくクリア。できるもんだなあ。実際にやってみると動画の頼もしさが身にしみます。
フリルレタスでごはんとおかずを仕切って、おかずを詰めてできあがったのがこちら。
白菜がまとまるのがうれしくてつい巻きすぎた結果、なかなかビッグな白菜豚ロールに(ごはんは玄米です)。でも、お弁当のカラフルさは、自己記録を更新しました。
とくに、茶色い「ピリ辛こんにゃくのだし醤油炒め煮」が糸唐辛子を添えるだけで一気に華やかに変身して感動。糸唐辛子ってこんなに便利な食材だったのか。これからはどんどん使うよ!
インスタグラムでお弁当のきれいな写真を見るたびに「こんな華やかなお弁当、私には作れないな」とずっと思ってきましたが、この本を頼りに最初の一歩が踏み出せました。ちょっとずつできあがっていくのがうれしかった! かんたんで楽しいのでぜひ作ってみてください。
レビュアー
ライター・コラムニスト。主にゲーム、マンガ、書籍、映画、ガジェットに関する記事をよく書く。講談社「今日のおすすめ」、日経BP「日経トレンディネット」「日経クロステック(xTECH)」などで執筆。
twitter:@LidoHanamori