見た目だけじゃなく、マインドも変えてくれる
「ベーシックで、自分の顔が可愛く見えるメイク」には安心感があるから、ついルーティン化してしまいがち。でも、メイクはお気に入りの服のように自分を鼓舞して、パワーをくれるもの。シチュエーションに合わせて着替えるメイクは自信をくれるし、時には実力以上の魅力を与えてもくれる。
『メイクが私を強くする』は、そんな「メイクの力」を実感できる1冊です。著者は、元NMB48のメンバーで、美容系YouTuber、コスメプロデューサーといった美容分野で絶賛活躍中の“アカリン”こと吉田朱里さん。
見てください、思わず「アカリン」と呼びたくなる、この可愛さを。
本書はアカリンのYouTubeチャンネルで人気のコンテンツ「シチュエーション別メイク」を書籍化したものです。アカリンのもとに寄せられた、リアルな恋愛や人間関係などのお悩みに対するメイクの「正解」を、「恋活」「絶賛恋愛中」「ツラい恋」「フリー謳歌」の4つの恋愛シーンに向けて教えてくれます。
大好きな彼に会いに行くときや、ツラい恋に悩んでいるとき、人生の大事な決断をするとき。音楽を聴いてエモい気持ちになったり、モチベーションを高めたりするみたいに、この本に載っているメイクで、アナタの毎日をハッピーに導くお手伝いができたらすごくうれしい。
楽しいときは、ハッピーに。凹んだときは、前向きに。メイクは、見た目だけじゃなく、マインドまで変えてくれるんです。
「可愛い」を作る想像力
アカリンのシチュエーションメイクは、お悩みに対する正解が、超明確に設定されているのがポイント。
日々のメイクに正解があるかといえば、おそらくないでしょう。すっぴんでデートに行ったとしても、別にいい。でも、「このシチュエーションで」「こんな印象を与えたい」狙いがあるのなら、やっぱり正解はあります。「マッチングアプリでの初アポ」というシチュエーションに、アカリンが提案する“正解”は、このメイク。
淡い影色を駆使して目を大きく見せつつ、清潔感、ピュア感を演出したナチュラル盛りメイクは、単に可愛いだけじゃなく、アプリの初アポで、女性が「こう思われたい」と思うツボを押さえているな……と感じます。
せっかく大事な時間を使って会うわけだから、相手に「むっちゃキレイなコ」という印象は植えつけたいし、断るんだったら必ずこちら側から(笑)って感じよね。
キレイと思われようとする気合が透けて見えちゃうのも嫌だし、逆にメイクが薄すぎて手抜きしてきたと引かれるのも避けたい。
メイクのテクニックだけではなく、こんな「シチュエーション別・秀逸すぎるアカリンの妄想トーク」も読みどころ。寄せられたお悩みの根本を言語化し、ピッタリのメイクを提案できる、アカリンのセンスを堪能できます。
そして、このメイクを作ったコスメはこちら。
コスメブランド「B IDOL」を手掛けるアカリンだけど、本書での使用アイテムはそこに偏ったものではありません。韓国コスメとプチプラで作るアイドルメイクもあれば、デパコスで余裕と充実感を演出する女優メイクもあり、使用コスメも幅広い! インスタなどで今まさにバズり中のアイテムもたっぷり登場するので、コスメ好きも楽しく読めるのがこの本のステキなところです。
「彼氏のお母さんに初めて会うとき」のメイクはこちら。
「母親世代は女子のメイクのどこに注目しているか」を踏まえたニュートラルで清楚なメイクです。こんな時は「いかに自分を可愛く、いい子そうに見せるか」にフォーカスしがちだけど、必要なのはそれだけじゃないですよね。アカリンはこう言います。
個性も大事だけど、“会いに来られる側”のことを思いやれる優しさも大事。
自分目線の可愛さの追求だけじゃなく、その日会う相手の気持ちに寄り添う想像力も「理想の可愛さ」を作る要素なんだと、ハッとしました。
メイクでできることは、「可愛く見せる」だけじゃありません。職場のハラスメントに悩む女性へ提案するのは、強さを宿した「美容番長メイク」!
なぜならメイクって、好感度を出したいとかモテたいとか、そういうシーンに有効なだけじゃなく、相手に“圧”をかける際にも効果的だから。
決して「怖そう」「キツそう」ではないけど、凛(りん)として強い印象を与えるメイクで迫力を出す。「可愛い」とは全く違うアプローチです。メイクの振り幅から、理想の自分は意思と想像力が作るもの、というアカリンのメッセージを感じます。メイクにも「ああなりたい」「こうありたい」といった意思をグッと込めたほうが絶対にいい!
一瞬で見つけてもらえる可愛さを作る
番外編は、オール私物の「セルフメイク徹底解説」! アカリンの鉄板セルフメイクのプロセスを、惜しみなくシェアしてくれます。
芸能人や可愛い人のメイクhow-toには夢があるけれど、「顔が可愛すぎて参考にならない問題」もあります。そもそもBeforeの顔面が強すぎて、何を使っても変化が少ないことも。しかし、アカリンのセルフメイクは違います。
コマ送りの詳細なセルフメイクのプロセスには「なぜ」「この色を」「ここに」塗るのかが書き添えられていて、アカリンの「可愛い」へのこだわりを感じます。周囲は可愛い子ばかりのアイドル時代に、一瞬で見つけてもらえるように研究を重ねたメイクは、本編のシチュエーションメイクとはまた違う可愛さ。今っぽさもあって、大人も参考になります。
清潔感や好感度を保ちながら、メイクで変化をつけるって、実は難しいこと。でも、意思を込めてメイクするとこんなにも違った表情になれるんです。メイクで変われる、自信を持てる、理想の自分になれる……。それを体現するアカリンを見るだけでも、すごく勇気が出る1冊です。
レビュアー
ガジェットと犬と編み物が好きなライター。読書は旅だと思ってます。
twitter:@752019