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2022.08.24

レビュー

影響力NO.1の美容家、神崎恵の24時間ルーティーン! 人生のやりくり術公開

わたしたちのロールモデル「神崎恵」の生きる術

著書累計150万部、Instagramのフォロワー数は60万人を越え、着用した服や使用コスメには「どこのですか?」の質問が相次ぐ。今や影響力No.1の名をほしいままにする、美容家の神崎恵さん。

彼女が多くの人に支持されるのは、その凛(りん)とした美しさや卓越したセンスだけが理由ではない。
美容家としての輝かしいキャリアを築く仕事人としての一面と、結婚と離婚、再婚、出産と育児といった、1人の「大人の女性としての顔」の両方を見せてくれるロールモデルの1人でもあるからなのだと思う。本書『神崎メソッド』は、そんな彼女の生き方と考え方の根幹を、美しい言葉でつづった1冊だ。
この本には神崎さんのおすすめコスメは1つも掲載されていない。しかし年齢とともに変わりゆくマインドや彼女のスタイル、「美容以前」の生きる術(すべ)がギュッと詰まっている。

毎日のルーティーン、公開します


神崎さんのInstagramを見るたびに思う。「神崎さんだけ1日が36時間ある」と言われても不思議じゃない、と。
小さなお子さんがいるとは思えない、スタイリッシュなインテリアのご自宅にはいつも美しい生花が飾られている。彩りよくおいしそうなお弁当や、お店のように美しく、愛情たっぷりの手料理がテーブルに並ぶ。家事だけでも1日は飛ぶように過ぎていくと思うのに、毛先も爪も、靴の先まで、常にピカピカにメンテナンスされている。ハッと目を奪われるようなセンスの服をまとい、それにあわせて毎日違うメイクで仕事に出かける。仕事終わりの私たちにちょうどいい時間帯のインスタライブも頻繁にやってくれる。さらに、週3回はジムに通って体を鍛えているという。めちゃめちゃ忙しいはずなのに、いつもゆったりと穏やかな雰囲気を漂わせているのも不思議。本書ではそんな「神崎恵の24時間ルーティーン」を惜しみなく公開してくれている。

「忙しいはずなのに、いつも軽やかで憧れます」と言っていただくことも多いのですが、そう見せるのが得意なだけ。毎日、無我夢中な状態。でも、あらためて自分のルーティーンを書き出してみて、家事は手抜きできるところは抜いてため込まない、育児は最優先、みたいなルールがあるんだな、と気づきました。

多忙な神崎さんは、起床時間も早い。起きてすぐ、枕元のリップクリームを塗るのが最初のルーティーンだ。それは「起きた瞬間から疲れていることもあるけど、唇がふっくら柔らかいと癒やされるから」なのだそう。時間の使い方だけでなく、忙しさの中でこんな風に気分を浮き立たせる、ちょっとしたコツも公開してくれるのがうれしい。

109の質問で判明! これが「神崎メソッド」

「トレンドカラーをつけこなすなら、ベースメイク後はそのアイテムから使う」「小柄でもモデルのようにバランスよく、知的に見える着こなしは肩がポイント」。神崎さんが惜しみなくシェアする「可愛い」「きれい」のためのテクニックにはすべてロジカルな理由があるから、真似するたびに鏡の前で「ホントだ!」と感動してしまう。「美」のメソッドを確立し、それを誰でも再現できるように言語化するのは、誰にでもできることではない。神崎さんのセンスが光るのは日々の装いの美しさだけでなく、この言語化スキルだよな、と思うのだ。

私たちが神崎さんについて知りたいことは山のようにある。「神崎さんにもコンプレックスはある?」「どうしてそんなにおしゃれなんですか?」「仕事と子育てはどうやって両立している?」、本書ではそんな109の質問に、神崎さんが「言葉のスキル」を駆使して答えてくれる。

「自分らしさって何ですか?」という、ある意味答えるのが難しい質問への答えはこうだ。

落ち着くなぁ~という服は、
自分が好きだからという理由でたくさん着ていると、
まわりの方からも「ぽいね」と
言われるものに変わっていく。

神崎さんが好んで着ている「らしい服」といえば、パフスリーブやパワーショルダーといった、袖にポイントのあるものだ。

疲れるほどに袖が大きくなります。
(よろい)なのか、威嚇なのか(笑)。
パフスリーブなど袖コンシャスな服が好きで、まわりからも「ぽいね」と言われます。もし、ドアを通れないぐらいの袖になっていたら「うわー、頑張ってね~」と思ってください。

神崎さんはもともと小顔ではあるが、身長は156センチだと聞いている。そんな彼女がパワーショルダーの服を着ると、こんなに好バランスになる。小さい顔がより小さく、170センチくらいあるのでは?と思うほど、スタイルアップする。肩幅が広いことを嫌う女性も多いけれど、しっかりした肩は顔を小さく、全身をバランスよく見せてくれる効果もあるんですね……。

「好きだから」という理由でたくさん着ていると、まわりからもそれが「らしさ」として認められていき、個性が自分にしみこむ。目で見て、想像して、工夫して、また研究して。クセの強いアイテムも、そうすることで自分になじんでくる。
これ、着こなしテクニックの話にとどまらず、「自分らしさとは?」への答えになっているのはもちろん、「センスの磨き方」にも通じるヒントでもあるな……と思うのだ。

楽ではないけど、頑張るのもいい

「おばさんの定義とは」、「自分の悪口が聞こえてきたらどうしますか?」はもちろん、女性なら一度は気持ちを曇らせたことがありそうなこんな問いにも、神崎さんはポジティブで軽やかな答えをくれる。



この回答は外見の美を体現している美容家である神崎さんが発するからこそ強い説得力があると感じた。だってただふんわりと「歳をとるのもいいよ」と言っているわけではないから。

美容が楽しめる健康な体とメンタル、それに経済力。そしてなにより歳をとった自分を楽しめるポジティブさ。可愛いおばあちゃんになるためには、今から人生を楽しむための鍛錬を!

冷静に考えれば、この「可愛いおばあちゃん」への道はなかなかに険しい。楽ではないし、頑張ることが山積みだ。でも、そこを目指すと決めたら「歳をとるのが怖い」なんて言っているヒマもなくなる。「加齢はいいもの」の境地にはまだまだだけど、漠然とした怖さはあらかた払拭されてしまった。本の帯にある「人生はあっという間。迷う時間がもったいない」が「本当にその通りだよな……」と実感を伴って心にしみてくる。

「おわりに」に登場する1枚の写真がある。1日のルーティーンの終わりに、パジャマに着替えた神崎さんだ。この本で見せる大人の女性のとしての成熟や中身の骨太さ、真摯(しんし)でまじめな様子から想像ができないほど、ピュアで可憐で少女のような笑顔に、本当に底知れない魅力を持つ人だな、とまた驚く。
「楽ではない」と言いながらもしっかり頑張れる胆力があり、柔らかさも失わない大人の女性だ。こんな風になりたい。私も明日、頑張ろう。そう思わせてくれる1冊だった。

レビュアー

中野亜希

ガジェットと犬と編み物が好きなライター。読書は旅だと思ってます。
twitter:@752019

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