「男女の会話」には踏まえるべき“本能”があった
彼氏と別れたばかりの友人が言いました。「元彼のことはもういいんだけど、新しい恋愛をするのがしんどい……。好きな人を探して、信頼関係をイチから築く気力がもうない」と……。わかります。本気の恋愛ほど、お互いを理解することにエネルギーを使うもの。好きな彼だからこそ「なんでわかってくれないの?」とモヤモヤしてしまうのです。
女友達であれば、「わかる!」「ひどくない?」「大丈夫?」「私やっておくよ!」とサクサク意思疎通を取れることが、相手が彼になると、「え、なんで?」「先輩とケンカ? メリ子にも悪い部分あるんじゃないの?」「え、助けてほしかったの? だったら言ってくれないと分からないんだけど……」とまぁ、噛み合わないこと噛み合わないこと!
あー、あるある!なこの感じ。これを言語化してくれたのは、恋愛コラムニストの神崎メリさん。
恋愛の「好き」と「話がかみ合う」「わかる」は、別モノなんですか? 神崎さんはこう続けます。
私たち女性は「共感力」で大切な人とのコミュニケーションを取ろうとしますが、男性は「解決力」を持って、大切な人を幸せにしようとしているのです! (まったく本能が違うのやな……)。
「男がハマる魔法の会話術」は、この、男女の会話に関する「男の本能」を踏まえた会話のテクニックを神崎メリさんが教えてくれる1冊です。男性へのお願いの仕方や、断り方にもルールがあり、男性の地雷を踏んでしまう女性はそれを知らなかっただけなのです。
言い方ひとつでうまくいく恋がある
男がハマる会話術というと、「どうせ自分の意見を曲げて男性に媚びる会話でしょ?」と思いがちですが、男性は“価値がある”と感じるものを大切にするイキモノなので、自分の意志がない女性は愛せません。まずは自分軸をしっかり持ち、ハッキリと自分の意見を伝えることが大切です。ただ、その時に男性のプライドを壊さないことがポイント。
強気な女性は男性を「立てる」ことが苦手だし、せっかちな女性は「一拍置く」ことが苦手。謙虚な女性は「ハッキリ」伝えることができず、男性に話の本筋が全く伝わらない。
最初の3つが得意でも、4つ目のポイント「余裕」が苦手な女性も意外に多い。
例えば「メリ子最近太った? ダイエットすれば w」などの男性の何気ないひと言は真に受けず、「は? 今の私も最高ですけど w」と笑って聞き流す「余裕」が必要ということ。
男女の会話の基本は「立てる」「一拍」「ハッキリ」「余裕」の「4つの法則」を押さえること。
とはいえ、理屈はわかっても、実際にどう話すのかがピンとこないもの。
本書では無意識に発している男性の本能を萎(な)えさせる「嫌われワード」を「好かれるセリフ」に換えて、男がハマる話し方を男と女の「日常あるある」45シーンを舞台に紹介しています。
「彼が聞いてあげたくなるような、可愛らしい言い方をしましょう♡」的な精神論じゃないのがいい。一方、「お願いしている内容を、隣で監視すること自体が不信感の表れ」の一言で、何がいけなかったのかもわかります。この言いかえは「法則1 立てる」の中の1シーン。不信感の表明は、「立てる」とは真逆のスタンスですね。そこで、「監視」せず「端的説明」して、あとは任せる……この姿勢がなぜ、男性目線では「立ててくれている」になるのかは、本書でしっかり解説してくれています。「言い方ひとつでうまくいく恋がある」ことが、自然と理解できますよ。
「魔法の会話術」とは、女性が男性にお伺いを立てることなどではなく、2人の間に愛を育み続ける魔法の会話術なのです。
と神崎さんは言います。恋愛がうまくいくために必要なのは、相手が受け取りやすい球を投げる技術なのかもしれません。
「ロマンのぶつかり合い」も、言い換えで解決
彼との仲がうまくいっている時だからこそのお悩みに「男のロマン」対「女のロマン」のぶつかり合いがあります。例えば、婚約指輪を選ぶとき。彼が自信満々に選んできた可愛らしい指輪に、こんな心の声が思わず出そうになる瞬間があります。
ハートの婚約指輪? ムリだよ、私、スクエアカットがいい!
普段はシンプル大好き・実用一辺倒な男性が、婚約指輪や家といった大事な買い物で、突然ロマンチストぶりを発揮する現象があります。彼が本当に、「ソレ」を素敵だと思っていたり、可愛い彼女に似合うと思っているのはわかります。でも……。そんなときの言いかえがこちら!
続く解説を読んで、「これなら確かに、自分のお願いを聞いてもらえて、彼も上機嫌になるだろうな」と思いました。男性のロマンを壊さず、自分の希望もしっかり通す方法はちゃんとあるんですね。
この本は、会話のテクニックを教えてくれるだけではありません。私たちが気づかないうちに、男性が愛情を示してくれていることがわかる、様々な「あるある」がたくさん書かれています。「彼って、人の気持ちがあんまりわからない人なのかも」「私のことを好きじゃないから、困っていても気づかないんだ」……そんな思い込み(被害妄想?)を消し去り、自信を与えてくれる魔法の書でもあったのです。
レビュアー
ガジェットと犬と編み物が好きなライター。読書は旅だと思ってます。
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