1枚の写真に魅了され、その景色が見たいがために旅先を選んだことがあります。
今回もそんな軽い気持ちで、いつか行く場所を探せたらいいな、楽しめたらいいなと思っていたら、今まで見たこともないスケールの大きな絶景に驚いてしまいました!!
【ピンク色の海水にはえる、塩のピラミッド】
この図鑑に載っている100近い写真の中で、最も目を奪われたのがこちら。
初めて見る景色に、雪山? それとも白いピラミッド? と思った山は、すべて塩でできており、海がピンク色なのは、濃い塩分中でも育つことができる藻(も)が、赤い色素をもっているから。
海はピンクでも、塩になると白くなるのかぁ。じゃあピンクの岩塩はどうしてピンクなの? と今まで気にもしなかったことが、気になり始める始末!!
ちなみにヒマラヤ岩塩がピンクなのは、鉄分を含んでいるからだとわかりました。
すると今度は、カリブ海のオランダ領・ボネール島ってどこ? とまた別の疑問が湧き上がり、地図やネットで調べたり、動画を見たりで、ぜんぜん前に進みません(笑)。
【1億4500万年前の七色の地層】
次に強く惹(ひ)かれたのは、中国東部のシルクロードにある「張掖丹霞地貌(ちょうえきたんかちぼう)」。
いく重にもなった地層が様々な色をしているのは、小石や粘土に含まれる、鉄、硫黄(いおう)、銅、マンガンなどの鉱物によるのですが、この地層が造られたのは、なんと1億4500万年前から6600万年前の白亜紀(はくあき)。
1万年前ですら想像できないのに、1億4500万年前ですから気が遠くなる話です。
しかも発見されたのは、ほんの20年前。
こんなすごい景色が見られる時代に生きていること自体、ラッキー!!と思ってしまいました。
【勝手に動く死の谷の石】
「死の谷」と呼ばれるアメリカ「デスバレー国立公園」の謎は、直径15~45センチもある石がいくつも移動しているのに、誰もその様子を見たことがないこと。
これは宇宙人の仕業か!? と思ってしまいますが、長年の謎が解き明かされたのは、これまた最近と言える2014年。
なぜわかったのかというと、石にGPSをつけたから!! というのですから、時代の進歩を感じます。
この石が動く理由は、氷と風が強く関係していて、説明図もあるのでわかりやすいです。
【岩の上の修道院と断崖絶壁の寺院】
こうした自然がつくり出した絶景は、現地に行くだけでもかなり大変なうえ、なかなか見られるものではないので、A4版の全編カラーは贅沢な楽しみだといえます。
一方、個人的には人が作り出したものが好きなので、食い入るように見てしまったのは建造物の数々でした。
塔のような岩山にどうやって石材や荷物を運んだのかも気になるし、彫刻を施すための職人の足場はどうやって作ったのか? もしかしたら上から吊るされていたのか?と空想が止まりません。
また、岩壁に沿うように建てられた寺院がどうやって建てられたかは、まだすべて解明されていないというのですから、ますます神秘的です。
この図鑑を見終わったとき、どのページを取り上げたらいいのか、正直とても迷いました。大人が見てもこれだけ楽しいのですから、子供のときにこんな世界があることを知ったらどんなにいいでしょう。
しかも、なぜ? どうして? がいっぱい湧き上がるので、とにかく飽きません。
この図鑑には、まだまだ紹介しきれていない絶景がたくさん載っています。ぜひ、ご自分の目で確かめて欲しいと思いました。
レビュアー
「関口宏の東京フレンドパーク2」「王様のブランチ」など、バラエティ、ドキュメンタリー、情報番組など多数の番組に放送作家として携わり、ライターとしても雑誌等に執筆。今までにインタビューした有名人は1500人以上。また、京都造形芸術大学非常勤講師として「脚本制作」「ストーリー制作」を担当。東京都千代田区、豊島区、埼玉県志木市主催「小説講座」「コラム講座」講師。雑誌『公募ガイド』「超初心者向け小説講座」(通信教育)講師。現在も、九段生涯学習館で小説サークルを主宰。
公式HPはこちら⇒www.jplanet.jp