今年の4月、イタリアの出版社から、ウクライナ救援のための絵本が緊急出版されました。イタリアの国民的作家、ジャンニ・ロダーリが書いた詩“Laluna di Kiev”を絵本化したものです。
出版による利益はすべてウクライナのために寄付するのが、翻訳出版の条件でした。この呼びかけにすぐさま賛同したのは、ルーマニア・ギリシャ・スペイン・イギリス。この世界的な広がりをみせる出版企画に、講談社も参加することになりました。
これまでもロダーリ作品を数々翻訳してきた内田洋子さんは、和訳するにあたって、「どんなときも、どこでも、子どもたちは笑顔でいてほしい」という願いをこめたといいます。
この詩が書かれたのは1955年。今のウクライナ情勢を知らない当時のロダーリが、キーウの月を見上げ、月が世界中に光を注ぐ存在であることをうたいあげていたことに、胸が熱くなります。
──幼児図書編集チーム 長岡香織