日本人の平均寿命は、男性が81.25歳、女性が87.32歳。(2018年・厚生労働省調べ)
「人生100年時代」という言葉が現実味を帯びてきましたが、介護を受けたり寝たきり生活とは無縁の「健康寿命」は、男性が72.14歳、女性が74.79歳。(2016年・内閣府調べ)
つまり誰かの世話を受けなければならない年月は、10年どころか、それ以上になる可能性もあるということです。
老後資金に不安のある私は、こうした記事を目にするたびに不安に駆られていたのですが、それなら医療費を減らすしかないと1年前から始めたのがウォーキングでした。
最近はウォーキングについて取り上げるテレビ番組も増え、1日1万歩を目標に万歩計で測っている方もよく見かけますが、より効果的で効率のよい「インターバル速歩」という方法があることをご存知でしょうか?
「インターバル速歩」とは
「インターバル速歩」のやり方を要約すると、
・背筋を伸ばして視線を25m程度前方に向け、大股で踵から着地する
・(早歩き3分+ゆっくり歩き3分)×5セット以上
・週4日以上繰り返す(週合計の早歩き時間が60分以上でもOK)
以上。
これを5ヵ月以上続けると、生活習慣病の予防に高い効果が得られるというのです。
正直、あまりにも簡単すぎて本当に効果があるの?と思ってしまいましたが、本書には長年に渡り集められた様々なデータも載っているので、科学的にも証明されていることがわかります。
実は私自身、週に4~5日、30分の大股早歩きウォーキングか、ちょっと走っては歩き、またちょっと走っては歩きをしているのですが、期せずして「インターバル速歩」をやっていたことになります。
では、1年続けた結果はどうかというと、様々なことにおいて非常に調子が良いのです。
自分では特に意識していませんでしたが、今回、『ウォーキングの科学』を読んで、なるほどだから調子が良いのか! と改めて確認することができました。
生活習慣病やうつ病にも有効な「インターバル速歩」
風邪をひくと熱が出て体が痛くなるように、人間の体は異物が入るとそれをやっつけるために「炎症反応」が起こります。
しかし異物が入らなくても、体力の低下により「炎症反応」が起き、厄介なことにほとんどの人はそれに気づかないそうです。
この「炎症反応」が脂肪細胞に起これば「糖尿病」に、免疫細胞から血管内皮細胞に現れれば「動脈硬化」「高血圧症」に、脳細胞の場合は「認知症」「うつ病」になるというのです。
つまり「インターバル速歩」で体力を向上させれば「炎症反応」を抑えることができ、生活習慣病のリスクも減らせるということです。
この中で特に意外だったのは、「引きこもり」や「うつ」になるリスクも減らせるということでした。
この表は国際的に広く使われているもので、16点以上だと何らかの「うつ」の傾向が見られるそうです。
何日間も誰とも口を聞かず、家に籠もっている私のような人間は、まさに「引きこもり」予備軍。年寄りの痛いとこ自慢みたいで恐縮ですが、毎日10数時間、多いときは48時間一睡もせずにパソコンに向かう日々だったので、目覚めた瞬間から身体中が痛いというのが日常で、死ぬまでこれが続くのかといつも絶望的な気持ちで過ごしていました。今までに使った鍼灸費も、200万円は下らないと思います。
ところが、ウォーキングを始めたことで体の痛みが減り、そうなると気持ちも前向きになるので、睡眠の質も格段に良くなったのです。
うつ病患者は不眠を訴えることが多いということを考えると、良い睡眠がいかに大切かよくわかります。
実を言うと、ウォーキングなんて年寄りじみているから、走った方がいいのかなぁと、ずっと迷っていました。ただ、ジムでトレーニング中に友人が倒れ、一時意識不明になったことがあり、私自身も極度の貧血なので走ることをためらっていました。
しかし、この本を読んで、正しいウォーキングをすればそれだけでも十分効果があり、何より無理をしないこと、継続させることが重要なのだと改めて知りました。
出不精でズボラな私でも続けられたのですからハードルは低く、あとは始めるか始めないかだけの差です。
「インターバル速歩」がどれだけ効果があるのか半信半疑な方も、ぜひ、ご自分で確かめてみてください。
レビュアー
「関口宏の東京フレンドパーク2」「王様のブランチ」など、バラエティ、ドキュメンタリー、情報番組など多数の番組に放送作家として携わり、ライターとしても雑誌等に執筆。今までにインタビューした有名人は1500人以上。また、京都造形芸術大学非常勤講師として「脚本制作」「ストーリー制作」を担当。東京都千代田区、豊島区、埼玉県志木市主催「小説講座」「コラム講座」講師。雑誌『公募ガイド』「超初心者向け小説講座」(通信教育)講師。現在も、九段生涯学習館で小説サークルを主宰。
公式HPはこちら⇒www.jplanet.jp