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2019.11.07

レビュー

日本が誇る最強エクササイズ「自衛隊体操」をやってみた

パンチが効いているのに続けられる体操

「毎朝“ラジオ体操”をするようになって、メイクさんに褒められるようになりました」と、とある女優さんが発言されていた。おおっ!? と思い、挑戦してみたものの、まったく続かず。たしかに血行は良くなるけれど「もう少しスッキリした何か」がほしかったのです。

そんなニーズにぴったりだった『自衛隊体操 公式ガイド』についてご紹介します。自衛隊の広報動画などでも公開されている「自衛隊体操」の公式ガイドブックです。


コツを網羅したDVDつき。めちゃくちゃ大きく書かれた「自衛隊体操」の文字と、精悍な自衛官の皆さんたち……この絵がすごく好きだ。

そもそも「自衛隊体操」は何なのかというと、徒手体操(器具を使わず自由に身体の各部を動かして行う体操)のひとつで、昭和27年頃に考案されました。現在も陸上自衛隊と航空自衛隊の体操として採用されています。

いかにも強そうな名前ではあるけれど「身体の調和的発達と健康の維持・増進を図る」ことが目的の5分間の体操なので、誰がやっても大丈夫。ピアノ伴奏と号令に合わせておこなうので、めちゃ叱咤されながら頑張るブートキャンプ感もなし。でも極めようとすると難しい。そして「効果」あり。

まずは通しでやってみてください。「ふーん、ラジオ体操みたい……じゃ、ないぞー!?」と楽しくなります。

「体調が整う」って、つまり「メンタルが整う」に通じるのだなとしみじみ実感しました。

この体操、やる気が出る……!

まず、私が感じた「効果」について。私はふだんジムで強度高めの筋力トレーニングをしています。でも家ではデスクワークとTVゲームが中心。しかもデスクワークに取り掛かるのがめちゃ遅い。「やる気は、出るのを待っていても出ない」と知っているのに。

最初は「血行をよくしたい」くらいの気持ちで挑戦した自衛隊体操だったのに、この「やる気が出ない」にも本当によく効いたんです。約5分の自衛隊体操が終わる頃には「っしゃー!」みたいな謎のガッツが毎回わく。そのあとの家事や仕事、めちゃ捗る。大変重宝しています。

強度は「ラジオ体操以上、筋トレ未満」とのことなので、試しにApple Watchで心拍数を測ってみました。


私が自衛隊体操をフルバージョンでやった場合、1分間あたりの心拍数は最大115で、平均は93。筋トレや有酸素運動で一番しんどい時が135くらいなので、確かに自衛隊体操は「いい感じにハード」です。息が少し上がって、汗ばんで、血行が良い状態。

ビシッとした号令に合わせて全身をくまなく動かすこと、その動作に飽きる前に次の動作に移ること、そしてこの「いい感じにハード」な強度が「やる気」に作用しているのだと思います。

駐屯地に閉じ込めておくには惜しすぎる!

次に、「公式ガイド」の大切さについて。YouTubeの広報動画を見れば「自衛隊体操」はマスターできるんじゃない……? とお考えの方もいるかもしれませんが、ちゃんと実行するには、DVDに収録されている「自衛隊体操 ポイント解説」を絶対見たほうがいいです。

「今のは何ですか!?」みたいな謎のスパイス的動作が時々あるんですよ。「腕屈伸膝半屈」とか。

コツを遵守して「マッスルターゲット」を意識しながら動くと、めっちゃしんどい。教官のワンポイントで「自衛隊体操を洗練させる」こともできますし、「“この動き”ができない場合」のフォローもあります。親切! 解説をおこなう柴田勉<3等空佐>の口調も「“つなぎ” につきましては……」といったようにハキハキと丁寧で背筋が伸びます。

私は、一連の動作の中で「全身の関節をフルで動かすこと」と「つなぎ」が難しかったです。たくましいのに優雅。ダンスのよう。

さらに、「計画性」について。「続けろ!」と言われて続けられる人は少ないです。そこのフォローも本書には備わっています。「フルバージョン(5分)」に加えて「ショートバージョン」、「シェイプアップバージョン」、「ストレッチバージョン」という2~3分のプログラムが用意されています。


プラン例を見ると「いけそう」と思える(私は仕事前に喝を入れたくてしょうがないのでエナジードリンクがわりにフルバージョンを朝もしくは夜にやっています)。

本書は、自衛隊体操について「本物の強さを手に入れよう!」「駐屯地に閉じ込めておくには惜しすぎる!」と熱く熱く語りかけてきます。同時に「道具も武器も用いず自らを鍛錬し、ピアノ伴奏に合わせて仲間と行う自衛隊体操には、日々への平和の祈りが込められている」とも述べられていて、そのあたりのことも思い描きながら体を動かすと、70年近い歴史を持つ自衛隊体操の良さがしみじみ伝わってくるので、ぜひいい汗と一緒に体感してほしいです。

レビュアー

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花森リド

元ゲームプランナーのライター。旅行とランジェリーとaiboを最優先に生活しています。

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