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2018.06.02

レビュー

子どもたちが一生懸命に書いたメッセージ『ぜんりゃく パパへ』

泣くことしかできなかった赤子が、喃語(なんご)を口にし、単語を少しずつ覚え、二語文、三語文と喋るようになり、自分の気持ちを語るようになる。

その初々しく瑞々しい感性や言葉のチョイスは、驚くほど真っすぐで、ためらいがない。

日本人は奥ゆかしく遠回しに曖昧に物事を伝えるというけれど、なーんだこどもの頃はみんなストレートだったんだ! こんなに潔く清々しく表現してたんだ!
子どもたちよ、素晴らしいな!

『ぜんりゃく パパへ』画像1

泣ける……

 
 

この本は、InstagramやTwitterといったSNSで見つけた、キラキラ光る子どもたちのパパへの想いを拾い集めた本だ。

数ページめくっただけで、「子の愛」「子のいる生活」の眩しさに、ぎゅっと胸を掴まれて苦しくなる。愛しい苦しさだ。
ここまでストレートな愛をくれるのは、子どもか動物くらいだ。
大人はだめだ、まったくもってひねくれているし計算高い(もちろん自分も)。

『ぜんりゃく パパへ』画像2

なぜ83歳!?

 
 

でも子育ては楽しく幸せなことだらけではない。子どもが1人だけの状態、かつ1歳半くらいまでは、産まれてから可愛いと思う気持ちが毎日増加し続けて「どこまで可愛くなるの? どこまで幸せになるの?」という不安すら感じるエンドレスハッピー状態だった。
だがイヤイヤ期に下の子が産まれるという出来事により、我が家の育児は鬼ハードモードに突入してしまった。なんというジェットコースター。

可愛いよ、もちろん可愛い。
だけど「本当は悪魔なんじゃないか? この子はいかに私を苦しめるかということしか考えてないんじゃないか?」と思うことの連発。
何の苦行か。

下の子を叩く、倒す。
下の子のミルクやオムツなどの世話をすると「私もミルク飲みたい!!」「オムツ替えたい!!」「抱っこ抱っこ抱っこしてー!!」
金切り声で絶叫。
わざと味噌汁や牛乳をカーペットにザバーンとひっくり返す。

『ぜんりゃく パパへ』画像3

手厳しい

 
 

2人になったら大変さは単純に2倍になるのかと思っていたら大きな勘違いだった。大変さは一気に何十倍になった。

最初はマニュアル通りに「寂しいんだよね。わかるよ。○○ちゃんのこと大好きだよ」なんて言ってぎゅっと抱きしめていたが、何の効果も感じられず、結局イヤイヤと泣かれると「ママもやだよーやだやだやだやだ」と大人気なく寝そべって一緒に泣く日も多い。
この地獄から一体いつ抜けられるのか。
終わりの見えない「思い通りにならないこと」の連続に絶望感ばかり感じる日々……。

『ぜんりゃく パパへ』画像4

びいるは敵

 
 

でも時々、この手紙たちのような真っすぐな愛を投げかけてくる。
夜寝る前にヒソヒソ声で「ママ大好きだよ、パパ大好きだよ」なんて言ってくれちゃう。それだけで全部吹き飛ぶ。

あんなに悪を極める一方で、たまにいじらしく「大好き」って言うなんてツンデレか! アメとムチか!

だから子育てはやめられない。パパ業もママ業もやめられない。
こうしていとも簡単に、子育て中毒者のできあがりだ!

『ぜんりゃく パパへ』画像5

優しさに涙腺が……

 
 

毎日仕事で忙しく、子どもたちが目覚める前に仕事に出かけ、子どもたちが眠ったあとに帰宅するというお父さんたちも少なくないだろう。
我が家はそうだ。平日パパは子供にほとんど会えない。

でもこの「パパ大好きだよ」のひとことで1週間分のエネルギーがチャージされる。そのくらいの威力がある。

『ぜんりゃく パパへ』画像6

「大好き」では表せないその想い

 
 

もうすぐ父の日だ。
お母さんたち、ぜひ子どもと一緒にパパへの手紙を書いてみませんか。
我が家は上の子がもうすぐ3歳なのでまだ文字が書けない。ビデオレターでもいいかな。

私からは「私を母親にさせてくれてありがとう」と書きたい。

そして子どもが文字を書けるようになったら、書斎のドアに「パパポスト」を設置しようと考えている。
子どもたちに日常的にパパへの手紙を投函させるのだ。

頑張れパパ。ありがとうパパ。
あなたが思っているよりたぶんずっと、私や子どもたちはあなたに感謝しています。健康にだけは本当に気をつけてください。

レビュアー

野本紗紀恵 イメージ
野本紗紀恵

一級建築士でありながらイラストレーター・占い師・芸能・各種バイトなど、職歴がおかしい1978年千葉県生まれ。趣味は音楽・絵画・書道・舞台などの芸術全般。某高IQ団体会員。今一番面白いことは子育て

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