ストレスの多い現代では、頭痛、肩こり、腰痛、不眠、イライラ、漠然とした不安というのは、誰にでも経験があると思いますが、実はこれらは、自律神経が乱れたときにおこる体調不良でもあるといいます。
■「交感神経」と「副交感神経」のバランスが大事
自律神経というのは、血管を閉じたり開いたりして血液の流れをコントロールしている神経で、これが正常に働いていると、血管を通じて酸素と栄養が全身の細胞に届けられます。
また、自律神経には2系統あり、
「交感神経」………昼間に活動が高まり、体がシャキッとなる。心拍数が上がり、消化活動や排尿・排便が抑えられる。
「副交感神経」……夜に活動が高まり、リラックスモード。心拍数はゆっくりに。胃腸が活発に働き、排尿・排便が起こりやすい。
両方のバランスが取れていると、呼吸・血流・消化・代謝・体温調節といった機能を保ち、全身の臓器をコントロールすることができるのです。
■腸内環境が良くなれば、幸せ気分になれる
腸内の善玉菌を増やすといいという話は、多くの人が知っていることだと思いますが、腸の働きをコントロールしているのも自律神経だそうです。確かに、ストレスが溜まると腹痛や下痢になったりしますからね。
では逆に、腸内環境が良くなるとどうなるのか?
心を安定させ気持ちをリラックスさせる「セロトニン」や、喜びを高めてやる気や意欲を引き出す「ドーパミン」といった「幸せホルモン」が分泌されるというのです。
これら、神経伝達物質の多くが腸で作られるので、「腸は第2の脳」と言われ、自律神経のバランスがよくなると腸の働きもよくなり、逆に腸の働きがいいと自律神経も整い、ストレスにも強くなるというわけです。
であれば、自律神経を整えて、幸せホルモンをバンバン出しまくりたいですよね。でも、それにはまず、高血糖を防ぐことが大事だそうです。
■ 血糖値の変動が自律神経を乱す
血糖値が上がったり下がったりすると交感神経を緊張させるので、自律神経が乱れます。特に気をつけたいのは、糖質の取り過ぎによる食後の高血糖。糖質というのは、ご飯、麺、パン、芋、フルーツのほかに、当然、甘いものも含まれます。
ここで私は、完全にアウトだということに気付かされました。というのも、朝は甘いパンを食べ、チョコレートなどのお菓子も毎日だし、お酒を飲んだ後の深夜に食べるアイスクリームが習慣になっていたのです。間違いなく、私の自律神経は乱れまくっていたと思います。
とはいうものの、好きなものが食べられないのであれば、生きている意味なし!というポリシーを変えることはできません。
しかし、こんな私のようなズボラ人間でも、簡単に改善できる方法があったのです。
■甘いものは、昼の2時から3時頃に食べる
この本には様々なアドバイスが書かれていますが、私がすぐに実践しなければならないのは、間食のとり方。間食は、糖分も塩分もたっぷり含まれるので、自律神経に大きく影響するからです。
実は、著者の池谷敏郎先生も大の甘いもの好きなので、アドバイスも「こうしなさい」ではなく、「僕はこうしてるよ」というハードルの低いものばかり。
例えば、どうしても甘いものが食べたいときは、昼の2時から3時ごろに食べる。それは、この時間帯が最も脂肪をためこみにくいから。(ちなみに、もっとも脂肪をためこみやすいのは、深夜の2時から3時ごろ)
そして、ランチでは米や麺類などの糖質を控えめにして、その分をおやつの糖質(甘いもの)に置き換える。
また、厚切りトーストにバターとジャムだったものをチーズを乗せた8枚切りに変える。ヨーグルトだったら、加糖タイプではなく、甘味を感じることができる蒸し大豆やアーモンドを乗せた無糖ヨーグルトに変えるといった具合で、無理して甘いものを我慢する必要がないのです。
さらに二日酔いには、シジミの味噌汁よりキャベツの味噌汁の方が有効で、何も食べないと低血糖になるので、タンパク質を摂取できる卵かけご飯がオススメだそうです。二日酔いのときは、とにかく後悔しか頭になかったのですが、今度からは自律神経のことも考えなければと思いました。
■グレープフルーツの皮が大事なわけ
このほかにも、「テンションを上げたい朝」「イライラする夜」「なかなか眠れない夜」に食べるといいものや、「最近、抜け毛が増えた」「ガンを防いでくれる食材」といったシーン別、悩み別の「おすすめ食材とレシピ」も紹介されています。
私の場合、天気が悪いとテンションだだ下がりで、家でダラダラ。それで自己嫌悪になり、また気分が沈むというパターンだったのですが、実はこれ気圧の低さが原因だそうです。というのも、本来、目覚める直前から上がっていく交感神経の活動が十分に上がりきらないからだとか。
そんなときは、コーヒーや紅茶などのカフェインや、グレープフルーツが効果的。特にグレープフルーツの皮には、ヌートカトンという香り成分が多く含まれ、脂肪の分解や燃焼を促進する働きもあるので、ジュースやジャムにして皮まで食べるのがおすすめだそうです。
■イライラ解消にはトマトと魚
逆にイライラする夜は、甘いものが食べたくなりますが、甘いものを取りすぎると血糖値が上がり、さらにイライラが増すという悪循環。そんなときは、交感神経の緊張を取り除きリラックス効果のある、トマトと魚がいいそうです。
ここで紹介されている「トマトとタラのホイル焼き」のレシピは、至って簡単。タラの切り身とザク切りトマトの味付けは、ハーブソルト、塩昆布、バターのみ。あとはホイルを閉じて、グリルで焼くだけ。私も、実際に作ってみましたが、優しい味わいで、料理の手間や片づけが楽ちんというのも、イライラ解消に役立ちました。
この本に書かれていることは、どれもこれも今すぐできる簡単なことなのですが、こんな小さな積み重ねでも、何十年も続けば、大きな差になることでしょう。そして、こうしたことに気づき、日ごろから注意することが、実は大事なのだと教えてくれた本でした。
レビュアー
「関口宏の東京フレンドパーク2」「王様のブランチ」など、バラエティ、ドキュメンタリー、情報番組など多数の番組に放送作家として携わり、ライターとしても雑誌等に執筆。今までにインタビューした有名人は1500人以上。また、京都造形芸術大学非常勤講師として「脚本制作」「ストーリー制作」を担当。東京都千代田区、豊島区、埼玉県志木市主催「小説講座」「コラム講座」講師。雑誌『公募ガイド』「超初心者向け小説講座」(通信教育)講師。現在も、九段生涯学習館で小説サークルを主宰。
公式HPはこちら⇒www.jplanet.jp