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2018.04.25

レビュー

人工油脂と糖質が元凶! ドクター南雲「60歳を超えても老化に勝つ」理由

南雲さんというとすぐに思い浮かぶのは、「ごぼう茶」でしょう。この本でも「ドクター南雲の愛用品」というコーナーで紹介されています。ちなみにほかの愛用品はというと、
・アルカリ生天然水
・たもぎ茸
・サチャインチナッツチョコレート
・テフ フレーク
・有機えごま油
・サチャインチオイル
・甘酒酵素水の素
・雑穀玄米
・8年熟成恒順香醋
・シャボン玉せっけんハミガキ
・ホワイトチアシード

どれも徹底的に「自然」を生かしたものだと思います。著者の主張の1つが「自然であること」にあるようです。そのことは次のようなところにもあらわれています。「糖質」の次に大切なこととして「脂質」を取り上げ、「油選び」の正しい仕方を紹介した箇所です。

冷たい料理には寒い地方の植物油、オメガ3すなわちエゴマオイルやアマニオイルです。
熱い料理には暑い地方の植物油ココナッツオイルか、体温の高い動物の脂ラードやバターを。バターでオムレツを作ったり、ラードでトンカツを揚げたりするのは正解ですが、サラダ油を揚げ物や炒め物に使うのは間違いです。オメガ9のオリーブオイルは暖かい地方の油なので、サラダにはかけないでください。

この文に続いてオリーブオイル礼賛信奉への厳しい指摘がありますが、それは是非読んでください。ちょっと目が覚めます。このオリーブオイルよりもさらに厳しい指摘をされているのがサラダ油です。

日本人の五大疾患である「がん、脳梗塞、急性心筋梗塞、糖尿病、精神疾患(うつ病など)」のすべてを、オメガ6であるサラダ油が引き起こしていることになるのです

著者のサラダ油不要論は「今、家にあるサラダ油と冷蔵庫内のドレッシングはすぐ捨ててください。もったいないからとお隣の奥さんにあげよう、なんてことは絶対にやめてください」と書かれているように実に厳しいものです。

「高温抽出法」で作られるサラダ油はまず原料から「粗油」を作ります。そして「この時点では有害な物質を含んで」いるので、ついで「脱酸」「脱色」「脱臭」「脱ロウ」という作業を通して「何年も腐らない油」を作ります。人工的な油であることは明らかです。

人工的な油といえば、「自然界に存在しない脂」であるマーガリンもそうであることは、よく知られています。この油はどのようなものなのでしょうか。

マーガリンを食べると速やかに吸収され、脳神経や体の細胞膜やホルモンに置き換わります。しかし自然界に存在しない脂ですので、正常に機能しません。その結果、子どもの学力低下、うつ、認知症、情緒不安定、自律神経失調症、脳卒中、インポテンツ、不妊症、がんを引き起こします。

このように油の誤用や危険に警鐘を鳴らした著者が推奨する油があります。「オメガ3のDHA」です。

オメガ3はダイエットに関心のある方にはよく知られていますが、これは魚油に含まれているDHAやEPA、エゴマや亜麻種子などの植物油に含まれているα-リノレン酸などの脂肪酸の総称です。このオメガ3のDHAの効果として「脳力アップ」「視力アップ」「精力アップ」するといわれています。

脂質の重要性と摂取の誤りを指摘した章の後半では、食物連鎖的な指摘を含め、生物がどのようにオメガ3を取り入れているかを詳説しています。語り口にはどことなく著者のユーモアが感じられ、この本の中でもとりわけ注目すべき箇所です。まずはこの脂質について書かれた第4章から読んでみて、と薦めたくなるほどです。

摂取の間違いへの厳しい指摘は「糖質」についても同様です。糖質とは炭水化物から食物繊維を除いたもので私たちの重要なエネルギー源となります。ですがこの糖質はがんの活動源にもなっています。

がん細胞は脂肪やタンパク質を利用することができず、糖だけを利用する。(略)がんにならないためには、糖を取り過ぎないことです。そして、一度がんにかかった方は、再発予防のために、糖をとらないことです。

糖質はがんだけでなく「肥満、糖尿病、動脈硬化による心筋梗塞、脳梗塞」のもとにもなります。そして「摂るべきでない糖質」として「精製された糖質」を著書が名づけた「白物5品目」を避けて、糖質の正しい摂り方を紹介しています。大事なのは2つ、

・野菜や果物は皮ごと食べる。
・穀物は全粒で食べる。(ご飯は雑穀玄米、パンは全粒粉、蕎麦は田舎蕎麦を推奨)
※白物5品目とは白米、パン、麺、砂糖と小麦で作った菓子、じゃいがいものことです。

「脂肪」と「糖」の摂取については私たちが心がけなければならないことがあります。

摂取カロリーが多くても、タンパク質と脂肪だけなら太ることはないのです。
摂取カロリーが少なくても、糖質を摂るから太るのです。

「糖質は脂肪よりも人を太らせる」ということをくれぐれも忘れないようにしましょう。

この本では摂取法だけでなく「ツヤ」というキーワードを使った7つの「心がけ」を具体的に提案しています。これらは生活習慣病から脱し、「若さをキープしながら健康長寿をのばす」ための重要な要素です。

1.心のツヤ:人生の目標を持つ。
2.体のツヤ:生命力あふれる体。(タバコ、太りすぎ)
3.血管のツヤ:しなやかな血管。(糖質)
4.細胞のツヤ:効果的な細胞。(脂質)
5.腸のツヤ:体内環境を整える。(腸内フローラ)
6.筋肉のツヤ:老化のスピードを遅らせる。(ミトコンドリア)
7.外見のツヤ:外見の輝き。

それらをどのように生かしていくか、とても丁寧に解説されています。

さらに具体的なことがらとして著者の1日の生活が紹介されています。私たちがどのようにして健康生活を過ごせばいいかと迷う人は、できるところから参考にしてみてはどうでしょうか。起床、トイレ、マッサージ、仕事、おやつ、入浴、夕食(著者1日1食だそうです)、体操、睡眠の流れが書かれています。また、各章にも著者の体験が多く語られています。

生活習慣病対策で大事なのは次のことです。

「原因を正さないで、薬で検査値を正常化しても病気は治らない」

生活の乱れを正すヒントであふれている1冊です。

レビュアー

野中幸広

編集者とデザイナーによる書籍レビュー・ユニット。日々喫茶店で珈琲啜りながら、読んだ本の話をしています。政治経済・社会科学から芸能・サブカルチャー、そして勿論小説・マンガまで『何でも見てやろう』(小田実)ならぬ「何でも読んでやろう」の2人です。

note⇒https://note.mu/nonakayukihiro

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