2017年2月、産経新聞で「中国、GDP47兆円水増し」という記事を目にし、著者は「やはり今年もそうだったか」と心の中でつぶやいた。中国の地方政府が集計したGDP統計の合計値が、国家統計局によるGDPの集計値を上回っていたのである。
著者によると、中国経済をウォッチしている人間にとって、中国の経済統計に偽装が行われていることはもはや常識だという。中国政府は長い間、統計の虚偽を認めてこなかった。ところが、2017年1月に歴史的な出来事が起こる。中国で最も不景気だと言われる遼寧(りょうねい)省で、経済統計の水増しが発覚し、陳求発省長がこれを公式に認めたのである。地域経済の成長が鈍化するなか、地域での税収を実際よりも多く見せかけることが横行している中国。偽装の背後には、経済統計が地方幹部や担当官の評価や出世にも直結している事実や、高度に政治的な要因がある。
世界2位だと言われている中国のGDPは、本当はどの程度の規模なのか。本書を読めば、限りなく真実に近い姿を知ることができるだろう。
現代の戦争は「見えない戦争」である。宇宙空間やサイバー空間における中国軍の侵攻は、世界中で問題になっている。そして、中国共産党とその発表を鵜呑みにしたマスコミによって、日本人の多くが、「中国は世界第2の経済大国」という心理攻撃に晒されているのである。
中国経済はいま音を立てて崩れ去ろうとしている。今こそ中国による「経済洗脳」を解く絶好のチャンスだ。
目次
- 第1章 超水増しされたGDP
- 第2章 トランプが叩く中国経済
- 第3章 こんなにあった虚偽統計
- 第4章 日本企業の大避難が始まった
- 第5章 断末魔の習近平、そして中国
- 第6章 米中対立で浮上する日本経済
著者紹介:上念 司
1969年、東京都に生まれる。中央大学法学部法律学科卒業。日本長期信用銀行、臨海セミナーに勤務したあと独立。2007年、勝間和代氏と「株式会社監査と分析」を設立し、取締役・共同事業パートナーに就任。2011年の東日本大震災に際しては勝間氏と共に「デフレ脱却国民会議」を設立し、事務局長に就任。震災対策として震災国債を日本銀行の買いオペ対象とすることを要求。白川方明総裁までの日本銀行の政策を強く批判してきた。また、2013年5月の参議院予算委員会で開かれた公聴会では、「私たちが一番恐れるべきはデフレだ。アベノミクスの第1の矢は極めて正しい」と発言した。著書には、ベストセラーになった『財務省と大新聞が隠す本当は世界一の日本経済』(講談社+α新書)、『デフレと円高の何が「悪」か』 『「日銀貴族」が国を滅ぼす』 (以上、光文社新書)、 『異次元緩和の先にあるとてつもない日本』(徳間書店)、『経済で読み解く大東亜戦争』『経済で読み解く明治維新』(以上、ベストセラーズ)などがある。
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レビュアー:弘末春彦
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