アップルを創業したスティーブ・ジョブズや、著名なドキュメンタリー映画監督であるマイケル・ムーア。彼らが禅に多大な影響を受けていたことを知っているだろうか。例えばiPhoneをはじめとするアップル製品はシンプルで美しいデザインが評価されている。この成功要因の一つは余計なものをすべて削ぎ落とし、本質に向き合うという禅の教えを、ジョブズ氏が追求し続けたことだといえよう。
本書では、世界の第一線で活躍する人たちが禅に惹かれる理由を解き明かし、「マインドフルネス」と禅との違いを浮き彫りにしていく。また、仏教のそもそもの成り立ち、日本のビジネスパーソンがグローバルに活躍する上で、仏教の中でもとりわけ禅の考え方を取り入れることが有用な理由などが、具体的なエピソードとともに紹介されている。読み進めるにつれて、「仏教はゲインではなくルーズである」、「禅では体験や実践が重視される」という根本的な考え方について理解を深められるうえに、これまでとは違った視点を得られるはずだ。
著者の松山大耕氏は、京都の妙心寺退蔵院の副住職であると同時に、世界中を飛び回りさまざまな活動を行っている。世界の現状と人間の本質に向き合い続けている彼だからこその、独自のアドバイスが詰まった一冊だ。これからグローバルに活躍したいと考えている人は、世界へ飛び出す前に一歩足を止め、本書を通して禅の教えをもとに、自己と世界を見つめ直してみてはいかがだろうか。
目次
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はじめに
ダボス会議で「禅」を求めたリーダーたち
仏教は、「ゲイン」ではなく「ルーズ」である
仏教はゲインを求めてはいけないのに、ビジネスに役立つのか? -
第一章 世界のリーダーはなぜ“ZEN”が好きなのか?
禅がこんなに外国人に支持される理由
料理に見る禅の“体験”の精神
外国人が共感する「禅の修行」、共感しない「禅の修行」
外国人にとって禅がもつインパクト
海外に行って感じる、日本への評価の高さ
マイケル・ムーアが宮本武蔵について聞いたこと
坐禅を体験したアメリカエリート学生たちに起きた変化
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第二章 外国人に「禅」は分かるのか?
禅は世界にどう広まったか
一神教と仏教は何が違うか
国や地域が違えば仏教も違う
芸道から禅に入る外国人たち
「マインドフルネス」と禅はどう違うか
インドのカレーと日本のカレー
日本人の寛容な宗教観が世界を変える
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第三章 禅は「グローバル」に通じる道
無意識を目覚めさせる
「グローバルな人間」とは何か
直球で勝負すれば世界に届く
「グローバルリーダー」は、教育では作れない
「日本人にしかできないこと」をやる
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第四章 ビジネスパーソンに贈る「実践できる」禅の教え
リーダーシップはどうやって身につけるか
「よりよいものを作りたい」。これは執着心か
周りにいる「できない人間」と、どう一緒に仕事をしていくか
仕事をしながらすぐに脱線してしまう
ポジティブな職場環境を生み出すには
失敗をずっと引きずってしまう
アイデアやプランはどのようにしたら浮かんでくるか
なぜ「心を空っぽにする」ことが大切なのか
努力の仕方がわからない
自分より能力の低い者が自分より高く評価されている
調子が悪いとき、どうすればその状態から抜けられるか
存在感が薄い
チャンスをうまくつかむには
- 第五章 「おわりに」に代えて
著者紹介:松山 大耕
妙心寺退蔵院副住職。1978年京都市生まれ。2003年東京大学大学院農学生命科学研究科修了。埼玉県新座市・平林寺にて3年半の修行生活を送った後、2007年より退蔵院副住職。2009年5月、政府観光庁Visit Japan大使、2011年より京都市「京都観光おもてなし大使」。2016年『日経ビジネス』誌の「次代を創る100人」に選出される。2011年には、日本の禅宗を代表してヴァチカンで前ローマ教皇に謁見、2014年には日本の若手宗教家を代表してダライ・ラマ14世と会談し、世界のさまざまな宗教家・リーダーと交流。2014年世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)に出席するなど、世界各国で宗教の垣根を超えて活動中。
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