『通りすがりのあなた』には、著者のはあちゅうさんが実際に訪れた場所や住んでいた場所、現地で出会った人や物がたくさん登場しています。7話それぞれのあらすじと一緒に、はあちゅうさんご自身による写真とキャプションで、小説のモデルになった場所をご紹介!
第5話「友達なんかじゃない」→パナマ
パナマ市内の市場
高校3年生の時に外務省のプログラムに応募して、3週間滞在したパナマの思い出を書きました。
マルタは実際に私がホームステイしていた、おうちのお姉さんの名前をそのまま使わせてもらい、ジェニファーにもモデルはいます。
パナマで仲良くなった男の子
実際の名字は違いますが私はゴメス家のような家に滞在しており、トイレが流れないのもシャワーに水しかないのも、コンロをマッチでつけたのも、道でイグアナに会ったのも実体験です。
小説の中にも出てくるピファ
佐久間君は実際には存在していませんが、一緒に行った男の子は2人いて、そのうちの1人と、帰国してから付き合いましたが、2回デートして破局するという実に高校生らしいお付き合いでした。
私が滞在していたおうちのキッチン
大切に思う男の子や素敵だと思った男の子と深く関わる方法は「付き合う」という手段しかないと学生時代は思っていました。
けれど、大人になって、何度も「付き合って、別れた後」の人生を見た今は、付き合わなくても、お互いの人生に長く存在する方法をいろいろ知りましたし、そういう関係だって尊いと思っています。
そんなことばっかり、今回の本には書いた気がしています。
パナマの世界遺産であるパナマ歴史地区
「友達なんかじゃない」
17歳の夏休み、パナマに短期留学をすることになったハルナ。ホームステイ先では日本との習慣の違いに右往左往し、学校ではスペイン語が全く分からず困り果てる毎日。そのうえ、クラスで冴えないジェニファーがあれこれ世話を焼いてくるようになって、正直ちょっと迷惑なのだが……。
第6話「サンディエゴの38度線」→サンディエゴ(アメリカ)
むこうに住んだ時によく食べていたベン&ジェリーズ
「世界が終わる前に」のモデルにもなった男の子と最初の3ヵ月はサンディエゴ、後の3ヵ月はクパティーノで、合計半年ほど同棲していました。
1回目のルームシェアで住んだ家
家賃の高いサンディエゴでは、ルームシェアは場所と人を変えて何度かしたのですが、そのうちの2回目のルームシェアの時の話を題材にしています。
ルームシェアというと、日本では仲良し同士でするイメージがありますが、アメリカのルームシェアはもう少しドライなパターンも多く、経済的な理由から本当に「部屋を分けるだけ」の仲ということもたくさんあります。
ホールフーズ・マーケットでのランチ
モデルになった彼の他に、実際はもう1人韓国系アメリカ人の子が一緒に住んでいましたが、彼とは、ほとんど喋らず、名前も顔も全然覚えていません。
アレックスのモデルになった子は、今頃、どこで何をしているんでしょうね。
当時つきあっていた彼の部屋
物語の冒頭に書いた通り、名字もしらないので、調べようがありませんが、元気でいてくれることを祈っています。
よくドライブに行きました
「サンディエゴの38度線」
留学生のイーサンと恋に落ちた私は、学生最後の夏休みをサンディエゴの彼のアパートで過ごすことに。イーサンの親友で韓国系アメリカ人のアレックスともルームシェアすることになった私だが、彼との距離はなかなか縮まらない。ところが親友だったはずの二人の関係に亀裂が生じ始めて……。
第7話「世界一周鬼ごっこ」→世界一周、特にインド
インドの街角
大学生のときにした世界一周は、いつか小説の題材にしてみたいと思っていたので、その夢がやっと叶いました。
ニューデリーの市場で。
ここで扱わなかったこぼれ話の中にも、いくつか小説に出来そうなことを思い出したのでいつか「旅」にだけテーマを絞った本も出してみたいです。
書きながら思い出した「世界一周ウンチク」をかなり盛り込んでしまったので、1回目の直しでバサッとその部分を全て削りました。
市場で売られていたお土産もの
世界一周中、いろんな人に会いました。会社をやめた人、カップルで旅をしている人、カップルで旅をしていたけど、別れて途中から別々に旅をしている人、住む場所を探している人、ビジネスを探している人、滞在先で伴侶をみつけた人……。
インドの街角。とにかくどこに行っても人が多い……!
本当に多くの人生がそこにあって、全てにドラマがあって、旅というのは、それまでの人生で出会わなかった多くの人の人生に触れられるのだとワクワクしました。
小説も似ていますね。
この本を「こんな人生がどこかにあるのかもしれない」と思いながら読んでもらえると嬉しいです。
牛は神聖視されているので、道端でも人間より堂々と歩いています
「世界一周鬼ごっこ」
念願の世界一周旅行を始めた矢先、ボリビアで高山病になったリサを助けてくれたのは、同じく旅行中のコウさんだった。同じルートの少し先を旅するコウさんとは、会えそうでなかなか会えない。コウさんを追いかけて旅するうちに、リサの中で彼に伝えたい言葉が溢れてきて……。