有島武郎、宮沢賢治、武者小路実篤。3人の理想家が本気で現実のものにしようとしたユートピアの跡地をめぐる紀行文。3人とも実は「ユートピアの実現はムリだ」とわかって、それでも真剣に取り組んでいたであろうという考察がおもしろかった! この本にはあまり書かれてませんが、かつての「新しき村」のややこしい人間関係も知るほどに興味深い。つか、日向の「新しき村」も移転先の毛呂の「新しき村」も今も続いていることにビックリ。(カラスヤ)
レビュアー
1973年生まれ。漫画家。著作に『カラスヤサトシ』『カラスヤサトシのおしゃれ歌留多』『強風記』『喪男の社会学入門』『毎日カラスヤサトシ』『オレは子を見て育とうと思う』『カラスヤサトシの世界スパイス紀行』『おとろし』『カラスヤサトシの孫子まるわかり』『カラスヤサトシの戦国散歩』など多数。近刊にこの連載「文庫で100年散歩」を収録した『カラスヤサトシの日本文学紀行』(9月27日発売)があります。
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