自分の守護霊というものがいてくれるとしたら……どんな人なのか気になりませんか?
「あなたの守護霊は武士です」「お坊さんです」などと過去に「自称・霊感のある人」に言われた経験がある方もいらっしゃるかもしれません。なぜ守護霊に知的な職業が多いのか、また、言う人によって霊視する内容が全然違うのか?
『守護霊』(講談社刊)は、「スピリチュアル」の第一人者である江原啓之さんが「守護霊」について真正面から解説し、多くの人が過剰に期待している守護霊への誤解を解いてくれる1冊です。
■守護霊とは何か■
──守護霊について言えば、多くの人はこう思っていることでしょう。
「守護霊は自分を守ってくれる」
「守護霊はどんな利益を自分に与えてくれるのだろう」
日本人は漢字からのイメージを受けやすいので、『守る』『護る』というように、守護を「守ってくれるんだ」という意味でとらえがちなのかもしれません。しかしこうした考え方は依存ですし、守護霊を真に理解していない、勝手な解釈です。──
タイトルから想像して、「お墓参りが大事」だとか、守護霊のメッセージに従えば全て上手く行く……だとか、おどろおどろしい内容を勝手にイメージしていたのですが全然違いました。
守護霊とはそんなに甘い存在ではない……と冒頭から定義されているこちらの本、けっこう体育会系です。
死んだおばあちゃんやご先祖様が守護霊になる。危機一髪の状況から守ってくれたり、悪いものから遠ざけてくれる万能の守り神のような存在……? このようなイメージを持っている人にとっては、良くも悪くも守護霊への印象が大きく覆されるはず。
・霊視のメカニズムと守護霊への誤った解釈
・守護霊の構成(主導霊/指導霊/支配霊/補助霊)
・進路、結婚、離婚、妊娠、仕事、転職など人生の節目での関わり
・パワースポットと守護霊
・守護霊は宝くじを当ててくれるか
・視る人によって守護霊が違う理由
・人間関係と守護霊の関係
・守護霊に供養は必要か
・人生がうまくいかない人の共通点
など、「守護霊とはどんなものか」について、興味深い切り口かつ江原さんの柔らかい口調で説明してくれます。
守護霊は、決して、優しく便利な存在ではありません。
江原さんの解説によれば、守護霊とはたましいの「親」。高次元から大きな愛で見守ってくれる存在ではあるけれど、自分と表裏一体の存在であり、トラブルから避けるような「手出し」はしない。
なぜならば、私たちがこの世に生きている中で、誰もが多かれ少なかれ経験する、病気、別れ、失敗、挫折など「なぜ私がこんな目に遭うの?」と思うような苦しみを味わうことの意味。一見悪いように思えることにもすべて意味があって、経験を詰めば積むほど、たましいが進化するから。
■強い向上欲を持って、生き抜くことに価値がある■
──あなたはたましいのアスリート。あなたにぴったり合わせて組まれたトレーニングメニューを、淡々とこなしていきましょう。──
守護霊はいつも空の上から照らし続けてくれる太陽のような存在であるけれど、不平不満ばかりの人生を生きていると自ら雲を作り出しその光を覆ってしまう。そうなると、守護霊からのありがたいメッセージにも気づくことができなくなる。
じゃあ、守護霊って何の影響も与えない「見守るだけ」の存在なのか?
そんなことはありません。自分の人生を切り開くための努力をしている人には人からの援助など何らかの形で「ありがたいな」と思える守護霊からの助けもあります。ただし、守護霊からのメッセージをまっすぐ素直に受け止められるかどうかは本人の頑張りや心の持ち方次第。
また、守護霊の存在はその人の人格、天職や適職、人間関係などにも影響を及ぼしています。
「何故か分からないけれどイギリスが大好き。惹かれて仕方がない」「気がつくと北欧のグッズばかり買っている」「子供の頃から海が大好き」、こんな行動に見に覚えがあれば、前世や守護霊を含めた『グループ・ソウル』という存在に大きな影響を受けているのかもしれません。
この本には自分の守護霊や前世、たましいの指向を持っているかを探る『霊系診断』『あなたの前世とグループ・ソウルを知るたましいの指向診断』、守護霊からのメッセージを正しく受け取れる状況になっているかの『感応度チェック』が付録としてついています。
診断を参考にすれば、自分の性格や行動、現在就いている仕事、生家の家業や親の仕事、昔から得意だったことなどから自分がどんな守護霊の影響を受けているのか分析することができ、守護霊との絆をより感じることができる助けとなるでしょう。
ただし、これらの結果はあくまでも自分を俯瞰して見るための「参考資料」です。診断結果を活かすのは自分次第。
自分の人生に困難が起きても「これは魂の修行のために必要な出来事なんだ」「私は成長できている」と捉えることができれば、受け止め方も変わるはず。
江原さんの説にもとづいて考えると、苦労=経験値。何のトラブルもない平穏な人生なんて、一見幸せそうに見えても実は何も成長していない。
RPGゲームでいえば、敵と戦わずに逃げ回っているようなもの。レベルの低い状態で同じ場所にいるよりも、しっかり敵と戦って経験値を積み、腕をあげていった方がもっと広い世界に行くことができます。
そう思うと、この先これからの人生に起きるトラブルも、全て前向きに受け止めることができるようになる気がしませんか? また、これまでは順風満帆で幸せそうな他人が羨ましく見えていたのに、逆に苦労している人のほうが「経験値あがってる!」と羨ましく見えてきたりして!? 自分以外の人への見方すら変わりそうですね。
『スピリチュアル』に振り回されるのではなく、守護霊を正しく理解し、決して守護霊をあてにすることなく、自分で自分の道を開いていく。
一見厳しいようですが、江原さんの愛情溢れる言葉による、自分の人生を自分で輝かせるための指南書とも言える本です。『スピリチュアル』との距離感が大きく変わる1冊であることは間違いありません。
レビュアー
20代のころは探偵業と飲食業に従事し、男女問題を見続けてきました。現在は女性向け媒体を中心に恋愛コラム、男性向け媒体では車のコラム、ワインの話などを書いています。ソムリエ資格持ちでお酒全般大好きなのですが、花粉症に備えて減酒&白砂糖抜き生活実践中。