歌川広重最晩年の代表作「名所江戸百景」。「大はしあたけの夕立」や「両国花火」などの有名作品を含む合計120点(1点は目録)を、描かれた地域別にまとめた書籍『広重TOKYO 名所江戸百景』が発売になりました。ガイド本と画集、両方の要素を兼ね備えた充実の1冊。広重の視点で東京を眺めることで、新たな発見があるはずです。画集としてもガイド本としても楽しめる本書を片手に、この夏は東京散歩へ出かけませんか? 発売を記念して、読みどころをご紹介します!
見どころ1
描かれた東京を、広重がどこから望んだのかが一目瞭然!
本書の著者2人が半年以上かけて作品が描かれた場所の現地取材を行い、 全作品に現在の写真を掲載。作品と現在の写真を比較できる仕立てにしました。 作品と写真を比較することで、 東京にも「広重が見た景色」がまだ残っていることにお気付きいただけると思います。
見どころ2
全作品に地図がついているので、 江戸名所ガイドにぴったり
描かれた場所に実際に足を運んでいただけるよう、全ての作品に地図をつけました。効率よく現地をまわれるように、地域ごとにわけて掲載しています。寺社や石碑など、近くに残る旧跡も紹介していますので、江戸名所めぐりにも最適です! また、地図の中には、 江戸時代の屋敷や街道を重ねて表示しているものもあります。古地図を持ち歩かなくても、江戸時代の景色を想像しながら街歩きを楽しんでいただけます。
見どころ3
東京の原風景に何が描かれているかが一目瞭然!
作品の中に描かれているものも詳しく解説しています。江戸城や火の見櫓、遠景の山の名前など、小さく描かれていて見逃してしまいそうなものも紹介しています。「二八そば」や「しっぽく」の屋台など、当時の庶民の暮らしも垣間見え、作品を隅々まで鑑賞し理解することができます。
見どころ4
全作品、 貴重な初摺。 驚くほどの美しさ!
掲載するのは、彫り・摺りともに国内外トップクラスのクオリティを誇る「原安三郎コレクション」。 すべてが貴重な初摺で、保存状態も極めて優れた名品です。退色しやすい紫色や藍色もきれいに残っているので、「浮世絵ってこんなに鮮やかだったの?」と驚かれるかもしれません! モフモフの犬に飛び交う鳥たちと、広重の描いた小動物たちの愛らしさも必見です。
川崎・砂子の里資料館理事、中外産業株式会社美術担当。共著に『月岡芳年 魁題百撰相』(二玄社)がある。
サントリー美術館学芸員。1983年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科修了。専門は近世絵画史。2008年より現職。「歌麿・写楽の仕掛け人 その名は蔦屋重三郎」展、「殿様も犬も旅した 広重・東海道五拾三次ー保永堂版・隷書版を中心にー」展、「歌舞伎座新開場記念展 歌舞伎ー江戸の芝居小屋」、「生誕250周年 谷文晁」展、「のぞいてびっくり江戸絵画」展などを担当。2013年第20回鹿島美術財団賞受賞。