『十角館の殺人』──“あの1行”の衝撃から30年。今年は綾辻行人さんのメモリアル・イヤーです。その幕開きに待望の新刊が刊行されます。単行本『人間じゃない 綾辻行人未収録作品集』、そして『どんどん橋、落ちた』の新装改訂版も講談社文庫から刊行です。今年は綾辻行人&「新本格ミステリ」に、要注目です!
綾辻行人(あやつじ ゆきと)
1960年京都府生まれ。京都大学教育学部卒業、同大学院博士後期課程修了。大学院在学中の '87年9月に『十角館の殺人』で作家デビュー、「新本格ムーヴメント」の嚆矢となる。 '92年には『時計館の殺人』で第45回日本推理作家協会賞を受賞。『迷路館の殺人』『人形館の殺人』『暗黒館の殺人』など「館」シリーズと呼ばれる一連の長編で本格ミステリシーンを牽引する一方、『殺人鬼』『眼球綺譚』などホラー小説にも意欲的に取り組む。ほかに『霧越邸殺人事件』『フリークス』『どんどん橋、落ちた』『最後の記憶』『深泥丘奇談』『Another』など著書多数。
皆さまからtwitterで募集した質問に綾辻さんがお答えします!
Q.文章を書くときに気をつけていることは何ですか? トリックや仕掛けはどうやって練るんですか?
A.文章を書くときに気をつけていることは……「正確さ」でしょうか。そのうえで、どのように言葉の流れやリズムのバランスを取るか。
トリックや仕掛けは……ひたすらに頭を悩ませて練り込みます。
Q.執筆はアナログですか? それともデジタルですか?
A.デビュー作の最終稿からワープロを導入。『人形館の殺人』以降はパソコンのワープロソフトで。ソフトはずっと「一太郎」です。ただ、メモや下書きなどはノートや原稿用紙に手書きで、ということも多いようです。
Q.自作のなかで一番好きな作品はどれですか?
A.「一番」と云われると、どうしても『暗黒館の殺人』になってしまいます。
「3作」と云われたならば、『Another』と『深泥丘奇談』が加わりそうです。
Q.普段、執筆はどのような場所でなさってるのですか?
A.基本は自宅の書斎。下書きなどは喫茶店で。
Q.もし「館」シリーズのアニメ映像化のお話が持ち上がったら、どのお話にしますか?
A.アニメならばこれも可能だろう、ということで『十角館の殺人』。
向いていると思うのは『時計館の殺人』。
無理だろうけれども見てみたいのは『暗黒館の殺人』。
Q.好きな、またはオススメの洋ドラマはありますか?
A.古いところでは『ツイン・ピークス』。
新しいものでは『アメリカン・ホラー・ストーリー』のシーズン2、3、4。
『ペニー・ドレッドフル 〜ナイトメア 血塗られた秘密〜』もオススメ。
Q.執筆の際に欠かせないお供はありますか?
A.ニコチンとカフェイン。
Q.先生が一番気に入ってる登場人物は誰ですか?
A.「一番」と云われると……『暗黒館の殺人』に登場する浦登美鳥・美魚の双子姉妹(2人で1人、ということで)。
「3人」と云われたならば、『Another』の見崎鳴と『殺人鬼 ――逆襲篇』の白河真実哉が加わりそうです。
Q.小説家になろうと決めたのはいつですか? なったきっかけとかってなんですか?
A.小学校6年生の秋ごろ。なりたいと思ったのは「小説家」ではなくて、あくまでも「ミステリ作家」だったのですが。
直接的なきっかけは『十角館の殺人』のプロトタイプ『追悼の島』を第29回江戸川乱歩賞に投じたこと(結果は2次予選で落選)。
Q.20代のうちにやっておくべきことは何でしょうか?
A.本をたくさん読みましょう。
Q.『どんどん橋、落ちた〈新装改訂版〉』をお出しになった理由は? 昔の(というほど前ではありませんが)文章に手を入れたいと思われたのでしょうか。それとも出版社からの要請でしょうか?
A.『どんどん橋、落ちた』の初刊は1999年なのでもう18年前になりますね。20世紀に発表した作品はたいてい文章に不満が多いので(2002年の『最後の記憶』以降はさほどでもない)、機会があれば改訂したいと思ってしまうのです。
Q.今までで、一番嬉しかった麻雀の上がりはなんですか?
A.2011年に開催された「麻雀最強戦」著名人大会の決勝戦(メンツは白川道、風間杜夫、福本伸行、綾辻)、南2局で和了した逆転の四暗刻。
Q.カラオケの十八番は何ですか?
A.ALI PROJECT「六道輪廻サバイバル」(……嘘。ちょっと無理)
筋肉少女帯「暴いておやりよドルバッキー」(……これも無理)
井上陽水「なぜか上海」(これはほんと)。