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2026.01.14

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健康寿命を延ばしたいなら「血管と心臓」を守る! 薬・サプリ・習慣、現代医療を賢く使う

本書の著者である天野篤氏は、心臓血管外科のプロフェッショナルであり、2012年には上皇陛下(当時の天皇陛下)の心臓手術(冠動脈バイパス手術)を執刀するなど、1万例を超える手術数を誇ります。

そんな著者は本書にて、平均寿命が延びている現代において、やりたいことがやれる健康的な老後を送る、つまり「健康寿命を延ばす」ためには心臓や血管を守ることが重要だと説いています。では、いかにして心臓と血管を守るのか。その知識を一つひとつの症状や治療方法、予防策と併せて丁寧に解説するのが本書の特徴です。

血管と心臓の病気の「今」を知る!

心臓病と聞くと大手術や生活に制限がかかるなど「重い病気」というイメージが湧きますが、医療の進化に伴い、術後や治療中のQOL(生活の質)は、以前よりかなり改善しています。本書の第1章では、血管と心臓の病気に関する最新の状況を解説。心筋梗塞や虚血性心疾患などの具体的な病気について、現在取り入れられているカテーテル治療やバイパス手術、さらにはこれらのハイブリッド手術など術後の回復スピードやメリット・デメリットに言及しながら、対応すべき治療法について記しています。

また、治療後のQOLについては、「服薬」と「生活習慣の管理」のバランスをどう調整するかという、主治医の判断も重要なポイントになると指摘。著者自身が担当したとある患者は、20年以上前に心筋梗塞の手術をして一命をとりとめますが、15年前には脳梗塞を起こして半身麻痺(まひ)になってしまいます。しかし献身的な家族とのリハビリの末、数年前にはゴルフができるまで回復。最近では、毎日多くの薬を飲みながらも、夫婦で豪華客船での世界旅行を楽しんでいるとのこと。
これがもし、最新の医療情報もアップデートしていないような主治医であれば、「あなたのような体の状態で世界旅行なんかできるわけありません」などと言って、日々おとなしく生活するように「強要」していたでしょう。
つまり、主治医がどこまで最新情報をインプットしているかによって患者の生活の質が変わってきてしまう可能性があるのです。不幸なマッチングを防ぐためにも、医療機関のホームページなどで、候補に挙げた医師のキャリアや病気・薬の知識、治療方針などを確認して、納得いく治療が受けられるのか相談するようにしましょう。きちんと医師を見きわめて薬を選択することが、健康寿命を延ばすことにつながるのです。

病気の兆しを知り、早期に対応して「健康寿命」を延ばす!

健康診断の数値や生活する中での違和感など、病気にはなんらかの予兆があります。第2章では、そんな危険信号と呼ぶべき血管と心臓の病気の兆しについて解説しています。

血管と心臓のトラブル最大の要因は、高血圧。周囲にも高血圧の人がたくさんいて、ある意味当たり前のような症状かもしれませんが、上の血圧が145を超えてきたら服薬推奨レベルの要注意ポイントです。
血圧が高くなると心臓が血管に血液を送り込む際に、より大きな力が必要となり、それだけで心臓に負担がかかります。血管にも大きな圧力がかかるので、血管の内壁が傷ついて動脈硬化や瘤化(りゅうか)が起こりやすくなります。すると、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患、大動脈解離、不整脈といった心臓疾患につながるのです。
また、足のトラブルも心臓病の早期発見につながる重要なサインです。「痛み」「しびれ」「むくみ」「腫れ」などの自覚症状や、上肢と下肢の血圧差などの各種検査によって様々な情報を知ることができます。日頃から、足の状態をよく観察することが大切であり、本書では観察すべきポイントについても言及しています。

また、血液検査や心電図検査もとても重要。これらの数値から、生活習慣病の兆しや突然死リスクとなる致死性心臓病の予兆もわかります。

さらに意外なところでは、夜間頻尿や難聴なども、場合によっては心臓の状態とリンクしている可能性も。

このように様々な兆しを見逃さないことが早期発見や早期治療、ひいては健康寿命を延ばすことへとつながるのです。

昔から飲み続けている薬、今の自分に合っていますか?

第3章「薬とサプリメント」では、病気の治療あるいは予防のための服薬やサプリメントの活用にあたり、注意すべき点やプラス効果が見込まれる利用法などを記しています。そのなかで特に見逃しがちかもしれないと思ったのが、高齢者の常用薬。著者は注意すべきポイントして、以下の3点を挙げています。

(1)長期にわたり使い続けている薬が、今も適正か
(2)先発薬か、ジェネリック医薬品か
(3)短時間作用型か、長時間作用型か
加齢によって腎臓の機能が低下している人が増えますし、嚥下能力(えんげのうりょく)が衰えるケースも多くあります。それらを考慮して、(1)(2)(3)のポイントを見直す必要があるのです。
と著者も述べていますが、自身の内臓機能や身体能力の衰え、そしてライフスタイルの変化を踏まえて、医師と相談しながら今の自分に適した薬を選ぶことが大事です。

本書の根底にあるのは、いかにして健康寿命を延ばし、楽しい老後を送るかということ。そこに直結する、心臓と血管のトラブルについて、原因を知り、兆候を知り、治療方法を知る。そのための知識がギッシリと詰まっている本書は、老後に向けてしっかり備えるという意味でも、今高齢な方だけでなく、近い将来に高齢へと向かうミドルエイジにとっても必携の書です!

レビュアー

ほしのん

中央線沿線を愛する漫画・音楽・テレビ好きライター。主にロック系のライブレポートも執筆中。

X(旧twitter):@hoshino2009

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