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2025.12.23

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「老けない肌」は手に入る! 化学成分研究で解き明かす、本当に正しいスキンケア最新情報

SNSで、ある洗顔料の口コミをたまたま目にした。以前から気になっていた部分に効くらしい。半信半疑で使ってみると、日が経つにつれ確かな違いが見えてきた。口コミどおりの効果に驚きつつ、ここ最近の悩みが解消されて嬉しくなった。

とはいえ、「何が効いたのか」と聞かれると困ってしまう。最新の技術が使われていることは間違いない。ただ、それをうまく説明することはできないし、そもそも自分の肌悩みが何に由来していたのかさえわかっていない。はたして私の顔の上では何が起き、どうして解決されたのか──。

本書はタイトルの通り、科学的な視点でスキンケアを捉えた一冊だ。スキンケアとは「皮膚機能のメンテナンス」であり、大きくは「ボディ」と「フェイシャル」の二通りに分けられる。本書では主に後者に関する研究がまとめられており、著者は執筆の目的をこう語る。
適切なスキンケアを行うためには、肌の構造と働き、肌の様々な問題の原因およびそれらの問題を解決するスキンケア化粧品の働きについて科学的な知識を得ることがまず前提です。スキンケア化粧品は化学物質ですので、大げさに言えばスキンケアとは化学物質を扱うことです。これらの知識をもとに、科学的に判断をしながらスキンケアを行えば、安全でしかも効果的なスキンケアができると思います
耳の痛い指摘ではあるものの、知ることでより良いスキンケアができるなら、それに越したことはない。全8章のうち前半の第4章までは、スキンケアの定義や皮膚の構造と働き、肌を傷める原因や悩みが解説される。後半の第5章以降では、スキンケアと化粧品の関係を軸に、科学的な視点から見えてくる化粧品の成分と作用を踏まえ、その上手な活用法が紹介される。

ところで、意外だったことの一つに、前半で挙げられた皮膚に関する説明がある。
皮膚は私たちの手の届くところにあり、いつでも直(じか)に触れるので、その存在をあまり意識しませんが、心臓、肺そして肝臓などと同様に体の中でとても重要な役割を果たす「臓器」でもあります。しかも、この臓器は薄くても体全体をまんべんなく覆うので、全部を合わせると人間の体の中で、もっとも大きな臓器になるのです。
「臓器」というと体内にあるものを指すとばかり思い込んでいたので、この説明には驚いた。ちなみに、そのサイズがどれほどかといえば、「総面積は1.6~1.8㎡、その重量はおおよそ体重の16%ほど」だというのだから、さらに驚かされる。人体でもっとも大きいこの臓器が日々静かに働いてくれているからこそ、私たちは思い通りに動くことができる。そう思うと、自分の皮膚を見て感謝したくなると同時に、続く著者の言葉に深くうなずかされた。
以前からルーティン的なフェイシャル・スキンケアは幸福感に繋がる点が認識されていましたが、最近になり、それが単なる気持ちの問題ではなく、科学的な根拠のある事実であることが複数の研究によって明らかにされています。つまり、ルーティン的なスキンケアは単に肌の物理・化学的な劣化を抑制するだけでなく、私たちの精神状態をよりポジティブにしてくれるのです。
顔の肌悩みは、年代や性別を問わず尽きることがない。本書は、著者の端的でわかりやすい語り口にくわえ、随所に掲載された図表やイラストが、そのつど理解を助けてくれる。科学的な思考を身につけることで、新たな選択肢も得られるだろう。これまでとこれからのスキンケアを考えるヒントにしてほしい。

レビュアー

田中香織

元書店員。在職中より、マンガ大賞の設立・運営を行ってきた。現在は女性漫画家(クリエイター)のマネジメント会社である、(株)スピカワークスの広報として働いている。

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