とはいえ、「何が効いたのか」と聞かれると困ってしまう。最新の技術が使われていることは間違いない。ただ、それをうまく説明することはできないし、そもそも自分の肌悩みが何に由来していたのかさえわかっていない。はたして私の顔の上では何が起き、どうして解決されたのか──。
本書はタイトルの通り、科学的な視点でスキンケアを捉えた一冊だ。スキンケアとは「皮膚機能のメンテナンス」であり、大きくは「ボディ」と「フェイシャル」の二通りに分けられる。本書では主に後者に関する研究がまとめられており、著者は執筆の目的をこう語る。
適切なスキンケアを行うためには、肌の構造と働き、肌の様々な問題の原因およびそれらの問題を解決するスキンケア化粧品の働きについて科学的な知識を得ることがまず前提です。スキンケア化粧品は化学物質ですので、大げさに言えばスキンケアとは化学物質を扱うことです。これらの知識をもとに、科学的に判断をしながらスキンケアを行えば、安全でしかも効果的なスキンケアができると思います
ところで、意外だったことの一つに、前半で挙げられた皮膚に関する説明がある。
皮膚は私たちの手の届くところにあり、いつでも直(じか)に触れるので、その存在をあまり意識しませんが、心臓、肺そして肝臓などと同様に体の中でとても重要な役割を果たす「臓器」でもあります。しかも、この臓器は薄くても体全体をまんべんなく覆うので、全部を合わせると人間の体の中で、もっとも大きな臓器になるのです。
以前からルーティン的なフェイシャル・スキンケアは幸福感に繋がる点が認識されていましたが、最近になり、それが単なる気持ちの問題ではなく、科学的な根拠のある事実であることが複数の研究によって明らかにされています。つまり、ルーティン的なスキンケアは単に肌の物理・化学的な劣化を抑制するだけでなく、私たちの精神状態をよりポジティブにしてくれるのです。








