「#皮膚の変態」のファイナルアンサー
#皮膚の変態……パンチの効いたハッシュタグです。思わず検索すると、そこには大ボリュームの美容情報と、スキンケアへの愛がありました。
「#皮膚の変態」は、二児の母で人気アパレルメーカーの経営者であり、趣味は皮膚管理、「美容は楽しくて幸せだ」ということを日々発信する大野真理子さんが生み出したもの。タグのキャッチーさだけでなく、大野さんの磨き抜かれた美しい肌やクリーンな雰囲気、マニアックかつ「偽りなし、加工なし」の美容情報が大きな注目を集めています。
『「皮膚の変態」が本気で選んだ270品 悩みに「効く」コスメ』は、そんな大野さんの初の書籍。デパコスからドクターズコスメ、プチプラまで「効くコスメ」を幅広く紹介するだけでなく、シーン別のメイクやケア、ボディの悩み、人生の悩みにまでアプローチし、トータルで清潔感のある美を追求できる情報が盛りだくさんです。
どれだけ「盛りだくさん」なのか?
これは目次の一部ですが、毛穴や美白、たるみ、乾燥、ニキビ……誰もが気になるけど、何をすればいいのかわからない「5大悩み」に効くコスメの紹介をはじめに持ってくるあたり、すでにサービス精神を感じます。さらに大野さんの日々の美容ルーティン、TPOに合わせた肌作りやメイク、ボディの悩みまで「知りたいこと」のすべてが詰まっている予感があり、とてもワクワクします。
本文では、紹介しているケアの説得力を爆上げする美しい肌に思わず目を奪われます。同時に、ページにびっしり詰まったこのテキストの量にも驚きます。
ただ「いいもの」を紹介するにとどまらず、大野さんが実際に悩んだこと、そのコスメにたどり着いた理由、どのような方針でケアを組み立てているのか……。そんな思考の過程を詳細に追いかけることができます。
私の強みは圧倒的に、自腹課金でコスメを試した経験です。
膨大な量の化粧品の中から自分で購入して、自分の肌で試して見つけた名品達。
みなさまには同じような遠回りをしてほしいとは思いません。
試したその結果を包み隠さずこの本にまとめておりますので、
もし悩みをお持ちでしたら、少しでもお役に立てたら幸いです。
こんなに話してくれていいんですか? 莫大なコスメへの課金を経て知りえた「理想の肌への近道」を惜しげもなく教えてくれる一冊です。
何をして、何をしないか
「都心の一等地にマンションが買えるほど化粧品に課金した」という大野さん。コスメだけでなく、チャレンジした美容医療情報についてもオープンに語ってくれるのがうれしい。
大野さんの皮膚管理は、スキンケアと美容医療の両軸で考えるようにしているそう。カタログのようにコスメを羅列するだけでなく、実際のスキンケアの手順が示されており、「このステップは何のためにあるか」をしっかり意識できるようになっています。
「5大悩み」に医療の力を借りる場合のおすすめ施術や、信頼できるクリニックも紹介されています。
ここ数年で莫大に増えた美容医療の選択肢の中から、何をして何をしないかというチョイスは「顔面名刺」と言えるほど、その人の美的センスを表すようになったと思います。
「何をして何をしないかというチョイス」は、大野さんのメイクプロセスにも色濃く表れているようです。
日々のメイクも、コスメのチョイスとプロセスのすべてに明確な理由があるのが分かります。「何をして何をしないか」は、大野さんのセンスを感じるだけではなく、お手入れ迷子、メイク迷子を闇雲なケアから脱却させてくれるカギにもなりそうです。
Instagramで人気を博する「真理子会議」。本書に収録された書籍版では、寄せられた相談に「美容」を切り口に答えています。
「割り勘彼氏をどう思う?」「キレイじゃないと幸せになれませんか?」はたまた「体の美白に圧倒的におススメの方法は?」といった質問への答えに共感したり頷いたりなのですが、「服に日焼け止めがつくのが嫌です」に対する大野さんの回答が、私はとても好きです。
この本は、「課金の末に見つけたファイナルアンサー」だけじゃなく、なりたい姿や求めるものに最短ルートで近づくための考え方も教えてくれている、と思うのです。
レビュアー
ガジェットと犬と編み物が好きなライター。読書は旅だと思ってます。
X(旧twitter):@752019