失敗から学べる“リアル”な1冊
しかし、受験という“結果が明確に出る”場面では、どうしても成功体験ばかりが語られがち。ましてや親子で挑む中学受験では、「何としても合格させたい」と、成功メソッドを必死に集めてしまうものですよね。
失敗や後悔は、本当に知恵の宝の山
先に戦いを終えた家庭が語る「もしもう一度やるならこうしたい」。その“本音”に耳を傾けることで見えてくるのは、あなたの家庭に合った戦い方なのかもしれません。
中学受験は“本当に”必要だったのか?
著者の長谷川智也さんは、まず中学受験の利点を整理した上で、“高校受験を選ぶほうが向いている家庭像”も丁寧に提示しています。
中学受験の目的の多くは「大学進学」。
そのゴールに至る道はひとつではない――その事実を明確に示すことで、受験という大きな波にのまれている家庭に、深い“息継ぎ”をくれる内容です。
さらに本書では、
・中学受験の撤退基準
・見直すべき判断ポイント
も明確に示されており、家庭での話し合いがとても進めやすくなっています。
塾は“入れる”だけでは意味がない。正しい活用できていますか?
だからこそ問われるのは、
「その塾、本当にお子さんに合っていますか?」
先人たちの後悔には、
・入塾のタイミングを間違えた
・塾の特色と子どものタイプが合っていなかった
という声が非常に多く挙がっています。
本書では、主要塾の特徴を長谷川さんが徹底分析し、グラフも用いて解説。
中学受験未経験の親にとって“塾選び”は未知の世界ですが、ここを読むだけでも理解度が一気に上がります。
“とりあえず家の近くの有名塾へ”は危険。
共働きか否か、家庭のリズム、子どもの性格――。受験は“親子で挑む”からこそ、親も子も納得して続けられる塾選びが重要なのだと強く感じました。
子どもを「自走モード」にするための本当に大事なこと
後悔の声には、
・親が管理しすぎた
・逆に放任しすぎた
という相反する問題も多くありましたが、長谷川さんはそのどちらにも具体的に答えています。
本書で紹介される後悔の声には、
・親が管理しすぎてしまった
・逆に放任しすぎてしまった
という“親側のバランス”の問題に加えて、
・入学した中学の校風(管理型/放任型)が子どもに合わなかった
という“学校とのミスマッチ”も挙がっています。
このような相反する問題に対しても、長谷川さんはどちらにも具体的に回答。しかし本書を通して繰り返し語られるのは、
「目先の合格ではなく、その先の人生につながる学びを育てること」
という一貫したメッセージです。
たとえ合格しても「中学受験なんてしなければよかった」と後悔してしまっては意味がありません。家庭環境も、子どもの性格も、ひとり一人が違うからこそ、この1冊には“我が家ならどうするべきか”を考えるヒントが詰まっています。
いま受験をしている家庭にも、これから考える家庭にも
たくさんの成功と失敗を見てきた長谷川さんだからこそ書けた、“リアルで率直、そして優しい中学受験の本”。
あなたの家庭にとっての“最善の選択”を考える、力強い味方になってくれます。








