幼少時、恐竜図鑑を夢中で読んだ私にとって、三畳紀、ジュラ紀、白亜紀という時代区分には馴染みがあるものの、三畳紀のひとつ前の時代であるペルム紀は初耳。本作では、一説には96%以上の海棲生物が絶滅したというペルム紀の大量絶滅事件を軸に、その前後において起こった生物たちの大きな変化、つまり生態系の大転換について解説しています。
令和っていつからだっけ?と、この数年の区分でさえ怪しい私にとって、億や数千万年という単位や耳慣れないカタカナが頻出する時代の話は少しハードルが高め。でも、あらかじめ大まかな区分を頭に入れておくと理解が深まりやすいです。本書にはそのための参考年表も掲載しているのでご安心を。
ペルム紀の大量絶滅、一体何が……!?
そんなペルム紀の大量絶滅ですが、その原因については、実はまだ明確な仮説や証拠はないとのこと。この時代は、パンゲアと呼ばれるひとつつの巨大な大陸と、パンサラッサという巨大な海で構成されていた地球。陸と海がそれぞれひとつしかないというのは、リスクヘッジのない脆(もろ)い状態と考えることもできます。
実際に何が絶滅をもたらしたか、という問いに対して、本書ではいくつかの論文や書物をもとに、以下の6つの仮説を提示。
1.地球外天体の影響
2.大規模な火山活動
3.パンゲア超大陸の影響
4.大規模な寒冷化にともなう、全地球規模の海退
5.海洋の無酸素化
6.オリエント急行殺人事件説
※6は、絶滅の原因はひとつではなく様々な要因があることを意味する仮説名
ただし、本書の内容について「原因の謎解き」に迫るものではないと記されているように、テーマは「大量絶滅前後における生態系の転換」です。いくつもある仮説を踏まえながら、ここから本題へと入っていきます。
陸海空の様々な生物を網羅! 絶滅と生存の分かれ目や栄枯盛衰を紐解く
多数ある興味深い解説の中から、ひとつピックアップしてみます。ペルム紀に陸上における支配者だった単弓類(四肢動物のグループ)に属するうちの2つ、ゴルゴノプス類とディキノドン類についての記述です。ゴルゴノプス類は肉食性の種で構成される大型種を主力とするグループ。一方のディキノドン類は60属超という多様性を誇る、小型種が主力のグループ。ゴルゴノプス類はペルム紀末に絶滅し、ディキノドン類は絶滅しませんでした。“生死を分けた”この違いについて、本書では次のように記しています。
一般的に、大型種は小型種よりも食料を必要とする。繁殖サイクルが長い種も多い。また、小型種に比べると個体数も少ない。いずれも、絶滅のリスクが相対的に高くなることに関係している。(中略)小型種は、大型種ほどの食料を必要としないほか、繁殖サイクルの短い種が多く、個体数も多い。また、より環境の影響の小さい地下に巣を構えることもできる。生態系では相対的に下位であった彼らは、環境の変化に強いのだ。
多数のイラストや写真、さらには著者独特の記述でイメージが膨らむ!
「40メートル」といえば、ガンダムを縦に2機並べてもまだ足りない高さである。
やんちゃ盛りであり、気がつけば、家中を走り回り、思わぬところで寝ている。ともすれば、蹴飛ばしそうになったり、踏んでしまいそうになったりする。そんなサイズだ。
史上最大の大量絶滅では何が起きたのか? 生物種の96%がいなくなった!? ペルム紀末の大量絶滅の謎
著 : 土屋 健
監 : 大山 望
監 : 木村 由莉
監 : 重田 康成
監 : 對比地 孝亘
監 : 中島 保寿
監 : 宮田 真也
監 : 矢部 淳








