本作はそんな介護を、著者の実体験をもとに軽やかに描いたエッセイマンガ。石川県北國新聞で連載された8コママンガ『介護わはは絵日記』をまとめたもので、約100本ものエピソードを掲載しています。主人公は、著者である「なとみみわ(愛称はびーちゃん)」と彼女の義母、通称ばあさん。
さっそくいくつかピックアップしてみましょう。
「介護わはは絵日記」とあるように、おそらくは辛(つら)くしんどい瞬間だって多々あったであろう介護のあれこれを明るく紡いでいるため、読後感も爽やか。介護というとどうしても重く、疲弊するストーリーを思い浮かべてしまいますが、本作はリラックスして読むことができます。このテイストが成立する大きな理由は、義母であるばあさんの存在。彼女の優しい性格、いろいろな人や行為に対して「ありがとう」と伝える丁寧な姿勢にどんどん心惹かれていきます。また、そんなばあさんの優しい部分、かわいらしい部分をしっかり捉える著者の目線もさすがのひと言。
一方で著者も、ばあさんのためにいろいろ頑張っているのに、協力的ではない相手の態度につい感情的になってしまう。その気持ちもわかります。でも、最後の最後でばあさんの心と向き合って、ふたりにとっての最適解を導き出す……。このエピソードは、介護の難しさを表すと同時に、人と人とのコミュニケーションという点でも大きな学びを与えてくれた気がしました。
この他にも、介護認定時にばあさんが張り切ってしまい、普段できないことも「できます!」と言ってしまったり、しょっちゅう物を失くしてしまい探し物に苦労したりと、介護生活における「あるある」話も。
また、各エピソードにもれなく付記された著者によるエッセイが後日談的にまとまっており、8コママンガと併せて楽しむことで各エピソードの解像度がグッと上がります。
自宅はもちろん、たとえ施設に入所したとしても、多くの人にとってまったくの無縁とは言えないであろう介護問題。きっとイライラや大変な思いをすることも多いでしょうが、本作のようにポップに、少しでも楽しく介護と向き合い、送り出すことができたらいいなあとしみじみ思いました。
それと同時に、そう遠くない未来にやってくる、自分自身が介護される側となる生活においても、ばあさんのように人に優しく、そして明るく過ごすことができたら……と思わずにはいられません。








