まだまだ若いつもりでいますが、30代も後半に差し掛かり、ふと「自分に似合う服がわからなくなってきた」と感じる瞬間があります。
若い頃のようにトレンドを追いかけるだけではしっくりこない。でも、「落ち着いた装い」が単なる無難や老け見えに繋がるのも避けたい。そんなふうに外見の変化に戸惑いながら、「自分らしいおしゃれとは何か」を模索している女性も多いのではないでしょうか。
だからこそ、女優・柏木由紀子さんの装いやライフスタイルに注目が集まっているのは、決して偶然ではないと思います。
70代にして、あれほど自然体でおしゃれを楽しみ、歳を重ねることを誇らしく思っている女性がいる。――その姿に、励まされる人はきっと少なくありません。
2025年4月17日に発売されたライフスタイルエッセイ『YUKIKO STYLE』は、そんな柏木由紀子さんの装いや暮らしぶりが詰まった1冊です。
本書の前半では、彼女が「元気の源」と語るファッションへのこだわりが紹介されています。たとえば、「苦手な服は作らない」という考え方。色やデザインだけで敬遠するのではなく、一度は試してみることで、新たな発見があるといいます。年齢を重ねたからこそ似合うようになったスタイルもきっとある。だからこそ、過去の先入観にとらわれないことが大切なのだと教えてくれます。
また、「年齢が出やすいパーツ」は服で隠すのではなく、アクセサリーで視線を分散させるというのもYUKIKO流。気分を上げるだけでなく、見せ方を工夫するという「アクセサリーの力」の活かし方は、経験を重ねた大人ならではの技だと感じました。
さらに本書では、ファッションだけでなく日々の暮らしについても彼女らしいスタイルが紹介されています。その美しさから、さぞかし意識の高いマイルールがあるのだろうと思いきや、実は「のんびりマイペース」な一面が垣間見え、親しみを覚えました。
運動や食生活において「これをやらなければ!」と決め込むのではなく、自分と周囲が気持ちよく過ごせる時間と空間のために、自然とやりたいことを取り入れている。そんな彼女の姿勢こそが、穏やかで明るいオーラに繋がっているのだと感じます。
巻末には、これまでの人生を綴ったエッセイパートも収録されています。私自身、ファッションアイコンとしての柏木さんは知っていても、女優としてのキャリアや「坂本九さんの妻」という一面については、実はよく知りませんでした。
だからこそ、今回あらためて彼女の人生に触れたことで、その背景がより鮮明になり、今の彼女への信頼や憧れが一層深まったように思います。
彼女の装いや暮らしぶりから伝わってくるのは、「私は私でいい」という静かだけれど揺るがない自信。それは、今の私たちがこれから育てていく“自分らしさ”のヒントになるはずです。
37歳の今、柏木由紀子さんに出会えたことには、きっと意味があります。
これからの10年、20年をどう重ねていくか――その未来に、少しワクワクできるようになる。
年齢を重ねることに戸惑っていた私に、彼女はそっと「大丈夫」と微笑んでくれた気がしました。
レビュアー
Micha
ライター。フリーランスで働く一児の母。特にマンガに関する記事を多く執筆。Instagramでは見やすさにこだわった画像でマンガを紹介。普段マンガを読まない人にも「コレ気になる!」を届けていきます!
X(旧Twitter):@Micha_manga
Instagram:@manga_sommelier