彼女をどう表現したらいいだろうか。この原稿を前に、小一時間ほど彼女について考えています。マダム? いや、違う。「美魔女」という言葉も頭を過(よぎ)りましたが、どうも彼女にはしっくりこないと、思い悩んでいるところです。
彼女こと、女優・萬田久子さんの私のイメージは、ファッショナブルな着こなしが印象的で、いつも明るい笑顔の女性。以前、テレビの旅番組でシーンに合わせてキラキラと衣装を変えながら登場する姿がとても可愛らしかったことを覚えています。
そう、萬田久子さんといえばファッション。オール私服、オールセルフスタイリングで紹介するオトナのためのファッションバイブル『萬田久子 オトナのお洒落術』が2024年10月24日に発売されました。
『萬田久子 オトナのお洒落術』より
本書にはとにかく彼女の「好き」が詰まっています。20代の頃から変わらず愛用しているバッグもあれば、ワンピースもある。流行を意識しつつも、流行に振り回されることはなく、好きなものをずっと「好き」と公言しながらファッションに取り入れていく彼女のお洒落術はかっこよさに溢れています。
例えば、彼女のトレードマークでもある帽子は今も昔も欠かせないもの。足元は相変わらずヒールが好きだそうですが、最近は厚底靴を取り入れることで「旬」なコーディネートになったのが新たな発見だったそうです。
『萬田久子 オトナのお洒落術』より
これはまさに、冒頭で書かれている「萬田久子流4つのFashion Tips」の3つめ「バランスをお忘れなく(ハートマーク)」を体現していると実感しました。
凝り固まった価値観を捨てて心地よい変化を楽しむこと。
「好き」を大切にしつつ、新たな好みも取り入れてお洒落をアップデートしていくスタイルは、ぜひ私たちも取り入れたい考え方です。
ただ、本書には「オトナのお洒落はこうすべきである」という押し付けは一切ありません。それもまた萬田久子さんらしい一面だと感じています。ファッションと共に歩んできた彼女が、長年の経験から得た知恵と洗練されたセンスを惜しみなく公開している「だけ」なのです。
自分なりのファッションの楽しみ方を披露する彼女は、軽やかでいきいきと輝きをまとっています。そんな彼女が「一緒にお洒落を楽しみましょう」と手を差し伸べてくれるのが本書なのです。
『萬田久子 オトナのお洒落術』より
そう言い切るように、年齢を過度に意識しないのが萬田久子流。もちろん美しさへの努力は惜しみませんが、年齢と争うことはせず、今を受け入れている様子が最終章で紹介されています。若さが美しいのではなく、年齢を重ねた今「も」美しい。それを体現しているからこそ、彼女は多くの女性に憧れの存在として愛されているのだと実感しました。
冒頭で彼女をどう表現しようかと書きましたが、彼女にぴったりの肩書きは見つかりません。
彼女は「マダム」でも「美魔女」でもない。彼女は「萬田久子」なのです。
レビュアー
Micha
ライター。フリーランスで働く一児の母。特にマンガに関する記事を多く執筆。Instagramでは見やすさにこだわった画像でマンガを紹介。普段マンガを読まない人にも「コレ気になる!」を届けていきます!
X(旧Twitter):@Micha_manga
Instagram:@manga_sommelier