今日のおすすめ

PICK UP

2025.05.21

レビュー

New

100言語マスター直伝! どんな言語にも使える、挫折知らずの外国語独習50のルール

最近ハマっているのは、多言語を駆使する日本人YouTuberの動画を観ることです。様々な国から来日した観光客たちが集う東京の居酒屋で、そのYouTuberが英語、スペイン語、ロシア語、フランス語、中国語などで会話をしながら、見ず知らずの外国の人たちと自由にコミュニケーションを取っている姿に、なんだかとても羨ましく思いました。

私の場合、受験での蓄積で英語はなんとなく理解できる部分もあります。けれど他の言語はまったくわかりません。せいぜい挨拶の定番フレーズ程度で、あとは本当にチンプンカンプン。この「0」の状態を「1」にするだけでも、違う景色が見られるのでは……とぼんやり思っていたタイミングで、本書と出合いました。

100の言語をマスターしたという著者が、自身の経験を踏まえて、外国語を独学で学ぶためのノウハウを詰め込んだ本書。著者の東大卒という経歴に、(私みたいな一般人が対応できるのか……⁉)と不安になりましたが、読みえ終えた今、私はがぜん、やる気に満ちています!

本書が掲げる「独習」、その理由に共感! これなら私にもやれるかも⁉

本書では「独習」をテーマに外国語学習法を解説していますが、そこには著者にとっての私的な理由がありました。まず、著者はコミュニケーションが得意なほうではないとのこと。外国語の授業でよくある、先生や生徒が質問・回答しながら進める演習の場合、著者は即興で和訳や作文をすることに大きな不安を抱いていたのだそう。著者自身、性格の問題と語っていますが、これにはめちゃくちゃ共感しました。私にとっても、あの緊張感が語学の授業から足が遠のく一因だと感じるくらいには、コミュニケーションが苦手だからです(笑)。

また、「独習」の良さは「気楽さ」だとも語る著者。いつ、どこで、どれだけ、何の勉強をしようとも本人の自由であり、間違えても恥をかかないというメリットを提示。そして他の学問の場合、独りよがりだと正しい作法が身につかず「トンデモ化」のリスクもありますが、語学の場合は語学そのものに触れているだけでプラスの効果があると説いています。

そう、語学の学習はもっと気楽に始めて良いものなのです。

50のルールを踏襲すればスムーズに語学が身につく!

本書では、心構えからおススメの教材、そして具体的な学習方法、さらには一部外国語では必須の「巻き舌のコツ」まで、語学独習における50のルールを提示しています。ルール1は「自分を責めない」。継続するにはやる気が大事、ということで学習にあたっては自己肯定感を味わえるやり方を推奨しています。ルール3は、「机に固執しない」。これは、勉強=机のスタイルにこだわらず、ベッドの上でも通勤中でも、机以外の場所で気楽に、継続して学ぶ環境で進めましょうと提唱しています。「50もルールがあるの?」と思うかもしれませんが、難しいことばかりではないので安心してください。

「訳文にこだわりすぎない」「写経は最強の暗記法」

たとえばドイツ語では、In der Stadt wird uberall gebaut.という文が可能です。きわめて機械的に直訳すると、「その街で(In der Stadt) そこかしこで(uberall) 建てられている(wird gebaut)」となります。(中略)日本語で単純に「その街のそこかしこで建てられている」と訳すのは違和感があります。「その街のそこかしこで家が建てられている」と、文脈から自然な主語を補って訳したくなります。ですが、ここで勝手に「家が」という主語を追加して訳してしまうと、元々の非人称文で表現されるべきニュアンスが失われてしまいます。この文章の主眼は、「家が」というモノではなく「建てられている」というコトのほうにあるのです。ここではむしろ「その街のそこかしこで建設工事が行われている」という訳のほうが原文のニュアンスに近いのです。
(uberallのuはウムラウトです)
翻訳と読解は別の技術であり、その言語に慣れている人でも、自然な日本語訳にするには苦労することもあるのだそう。上手な翻訳ではなくとも、(読解が目標なら)内容が理解できていればOKなのです。またひとつ、外国語学習にあたり気が楽になりました。

もうひとつ、再確認できたのが、ルール33「写経は最強の暗記法」です。書くこと自体、あまり効率は良くないかもしれませんが、いくつもメリットがあると著者は言います。
・書き写すことは手の運動であり、難しいことを考えなくてもできる
→勉強時の準備運動にもなる
・成果物(書き写したノート)が残るのでモチベーション維持になる
・綴りのパターンを感覚で掴めるようになる
・「書く」技能は母語話者のレベルに迫りやすい
また、著者いわく、書いて覚える際の極意は、文字を覚えるなら単語単位で書き、単語や文法を覚えるなら文単位で書く、とのこと。目的に応じて書く内容を選ぶと良いというアドバイスは、経験者ならでは。

著者が様々な言語を独習してきたなかで蓄積したノウハウがたくさん詰まっており、経験則からの解説は説得力があります。冒頭でも触れた通り、「気楽に」勉強することを重視しているので、「私にもできそう」というやる気が湧いてくるのも本書の特徴。読み終えてから、さっそく本書でも記載されていたアプリをDLして、以前から学んでみたかったスペイン語独習を始めました。毎日数分でも、できるときに、気楽に続けていきたいと思います。
iHasta luego!
(iは逆さ感嘆符です)

レビュアー

ほしのん

中央線沿線を愛する漫画・音楽・テレビ好きライター。主にロック系のライブレポートも執筆中。

X(旧twitter):@hoshino2009

おすすめの記事

2023.04.24

レビュー

子ども英語は単語が9割! 塾なし留学なしでハーバード現役合格も!

2022.11.26

レビュー

英単語は丸暗記しない。語源を知ると英語学習が楽しくなる!

2020.02.10

レビュー

今から英語以外の外国語を学ぶ日本人必読の書。現役外交官が外国語習得術を伝授!

最新情報を受け取る