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2025.04.30

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ほんの少しのコツさえわかればプレゼンの達人になれる! 最強の説明術を習得する

学校でも職場でも、避けて通れないのが人とのコミュニケーションだ。特に新入生や新社会人となって新しい環境に身を置く場合、慣れない状況で連絡を取ったり報告をしたりといった場面が続くだろう。そんな時こそ、自分の考えや行動を言葉にして伝える「説明の技術」が欠かせない。

本書は2002年に出版された、同タイトルの書籍の新装版である。旧版は刊行当時から現在に至るまで、ロングセラーとして20年以上にわたり読み継がれてきた。新装版を出すにあたり、普遍的な内容に変わりはないものの、著者自身が旧版を読み返した際に気になった部分や、今の時代にそぐわない表現を改め、より読みやすくブラッシュアップしたという。

ちなみに、著者が手がけた「分かりやすい」シリーズの1作目である『「分かりやすい表現」の技術 新装版』は、2025年2月、本書に先んじて発売された。本書はその2作目に当たり、3作目の『「分かりやすい文章」の技術 新装版』も2025年4月に発売された。3ヵ月の連続刊行だ。ただ著者によれば、
もちろんシリーズとはいっても前作を先に読んでいただく必要はまったくありません。本シリーズの三部作はお互いに依存しておりませんので、どの順番でお読みいただいても結構です。
とのこと。だから安心して、どの本からでも手に取ってほしい。

さて本書は全4章で構成されている。そのうち第1章では、そもそも「『分かる』とはどういうことか」が語られる。著者は自身の体験や例を挙げながら、「分かりやすい説明」と「分かりにくい説明」の違い、「説明」という言葉の本質、そして「知る」と「分かる」の差異を論じ、私たちの脳の構造が生み出す現象とその対策を、独自の言葉で解説していく。
「分かる」という言葉には、いろいろな意味があると思います。しかし本書では「話し手の意図を正しく理解すること」と定義しましょう。
では「分かりやすい」とは、すなわち「話し手の意図を正しく理解しやすい」とは、どういう説明なのでしょうか。
結論から先に書いてしまえば、「分かりやすい説明」とは「脳内関所を通過しやすい説明」のことです。「脳内関所」とは、脳の短期記憶領域を意味する私の造語です。
ここから著者は、「脳内関所」から長期記憶が保存される領域を「脳内整理棚」と名付け、外界情報がどのように仕分けされ、格納されていくのかを明確にする。また脳内での情報処理の5つのチェックポイントを挙げ、話を聞く相手に自分の意図を正しく伝えるための「分かりやすい説明」を具現化する。その手腕は、まるで部屋の片づけ名人の技を見るかのようで、意外な発想とわかりやすさに膝を打った。
何か役立つ事柄を本で読んで、その時には感心、納得しても、読み終わったら、いつの間にか忘れてしまうものです。楽しみとして読む小説なら、それでも構わないでしょう。しかし、本書を手にしたみなさんは、説明上手になりたいと思って読まれたはずです。それなのに読んだ内容を忘れてしまっては、なにも読まなかったのと同じです。(中略)
つまり説明上手になるには、本書で述べた一五のルールを、確実に記憶に定着させることだけで十分に効果があります。
第2章以降では、説明術のポイントを基礎編と応用編に分けて案内し、全体として15のルールを提示する。どのルールも私が社会人になってから体験した事例にあてはまることが多く、「早く知っておけばもっと楽ができたかも……!」と、悔しくなってしまった。なお第4章では、15のルールを実際に身につけるためのヒントも書かれている。それがまた、耳に痛くも実に正しい。
この春、初めての一歩を踏み出した方には、本書が挙げる15のルールを身につけることで、「説明の技術」を1日でも早く獲得することを勧めたい。

レビュアー

田中香織

元書店員。在職中より、マンガ大賞の設立・運営を行ってきた。現在は女性漫画家(クリエイター)のマネジメント会社である、(株)スピカワークスの広報として働いている。

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