可愛いアイドルや、高校生のお姉さんたちに憧れた子どものころ。キラキラした彼女たちみたいなメイクをしたくても「まだ早い」「子どもはお化粧なんかしなくていいの」と止められた記憶があります。きっと今でもそう考えている大人の方が多いでしょう。
しかし今の子どもたちにとって、大人が思っている以上にメイクをすることは当たり前になりつつあるようです。
ネットや動画を情報源にしている彼女たちのコスメやメイクに関する知識には目をみはるものがあり、韓国コスメの新作情報など、大人の私より詳しいことも。これはもう、闇雲に禁止するのは意味がない。せめてTPOと正しい知識は身につけてほしいと思い、「学校の日はメイクはナシだよ」「日焼け止めはいつも塗ってね」「メイクした日はちゃんとクレンジングしてね」などと声をかけていました。
そんな「正しい知識」とTPO、小学生にも似合う可愛いメイクを提案してくれるのが『わたしもまわりも笑顔になる 小学生のメイク本』です。メイクの先生は、ヘア&メイクアップアーティストのイガリシノブさん。SNSでは学ぶことが難しい、小学生が安全に、楽しく可愛くメイクを楽しむ方法を教えてくれます。
メイクをすると いいこと いっぱい!!
「かわいくなれる」「なりたい顔になれる」
それだけでもうれしいけれど、メイクはする人の心にも、
まわりにもいいことだらけなんですよ!
イガリさんが最初に教えてくれるのは、メイクが心に及ぼすプラスの作用。メイクは見た目を可愛くするだけじゃなく、心を明るくしてくれること、自分を大切にすることにつながること、コミュニケーションのツールにもなることが語られています。
いいことずくめのメイクに必要なのが、この「メイクをするまえのやくそく10」です。
撮影:水野昭子
自分の顔を清潔に整え丁寧に扱うことや、メイクのために一緒に行動する人を待たせない心がけが大切な約束としてあげられています。
この本のメイクで使うコスメはこんな感じ。
撮影:水野昭子
メイクに関心を持つ小学生にも人気の韓国コスメやプチプラの中から、自然な血色や陰影をつけられる、ナチュラルな発色のコスメが選ばれています。ティントリップのような落ちにくいものは避け、小学生の肌に負担をかけないものが中心です。
きれいな肌でメイクを楽しむための日焼け止めやクレンジング、かわいい手元のためのネイルについても、皮膚科やネイルの専門家の先生を迎え、詳しく解説してくれています。
メイクの第一ステップ・リップの塗り方がこちら。
撮影:水野昭子
自分の唇からはみ出さずにリップを塗る基本の方法に加え、唇をふっくら見せる「ぽんぽんぬり」、グラデーションに仕上がる「んまんまぬり」を教えてくれます。
その日したいメイクに合わせて塗り方に変化をつける楽しみを知るだけじゃなく、自分の顔を可愛く見せるのはどんな塗り方なのかを考えるきっかけにもなるページです。それは自分を大切にすることにもつながりそう。
成功すればすごく可愛くなれるけど、どこにメイクするかの見極めが難しいのが「涙袋メイク」。ネットや動画の影響で、小学生にも大人気。自分の涙袋の形に合わせてコスメを乗せることが大切です。ここでは「涙袋を見つける」コツを教えてくれます。
撮影:水野昭子
撮影:水野昭子
アイシャドウパレットにセットされたアイカラーが、色や質感によってどんな働きをするのか? また指やブラシ、チップといったツールによって、それぞれどんな仕上がりを目指せるのかを教えてくれます。
秀逸なのが「アイメイクはどこにするもの?」を解説するこのフレーズ。
まず、ハロウィンや理科室で見る
「がいこつ」を思い浮かべてみて。
目のところがくり抜かれているでしょ。まさにあの部分!
まぶたをさわると目のまわりをぐるっと囲むように
くぼんでいるところを「アイホール」というよ。
まぶたと目のメイクはアイホールの中にするよ。
いろんな色やキラキラを
ぬって楽しんでね!
アイカラーをどこに塗れば効果的なメイクになるのかがすぐにわかるこの解説は、イガリさんが大人向けにしているものと同じです。涙袋をはじめ、チークやハイライト、シェーディングといったメイクを可愛く仕上げるには正確な位置に入れることがとても大切。それをイガリさんがわかりやすく教えてくれるから、みんなの憧れ、K-POP系メイクも自分でできちゃうかも。
撮影:榊原裕一
大人になっても役立つメイクの正しい知識が身につくのもこの本の素敵なところです。
子どもの頃にこの本があったらきっと嬉しかったな……。読み終えて、そんな気持ちになりました。楽しい子ども時代を過ごすためのメイクのテクニックだけでなく、メイクを通じてTPOや周りの人への心遣いも養える1冊です。
レビュアー
中野亜希
ガジェットと犬と編み物が好きなライター。読書は旅だと思ってます。
X(旧twitter):@752019