自然現象はさまざまな要因が重なりあって起きるものだけに、それぞれの要因をまずは原理的に理解する必要があると思います。複雑な現象を理解しやすくするためには〈図解〉という方法はとても有効なのだなということをこの本は改めて教えてくれました。
ゲリラ豪雨をはじめ、近年続く異常気象から、気象に関する関心は高まっているのではないかと思います。なにかの予兆というわけでもないでしょうが、異常続きだと日常生活にもいろいろ問題を生じさせかねません。でも、そもそも気象現象はどのようにしておきるのでしょうか。
この本では「雲のしくみ」「雨と雪のしくみ」「気温の仕組み」「風の仕組み」「低気圧・高気圧と前線のしくみ」「台風のしくみ」「天気予報のしくみ」と章立てて地球の運動からどのようにして気象現象が生じるのかを、〈図解〉という方法の利点を生かしてして解説しています。
入門にありがちな、わかりやすいが内容はいまいちというようなものではありません。この本は気象現象の基本を基礎からしっかりと説明してくれています。地球の運動(もちろん太陽との関係を含めて)というものが、どのような気象現象をもたらすのか、その複雑な過程をまるでパズルを解くかのように楽しく説明しています。もちろん気象現象にはまだ仮説段階であり、完全に解明できていない現象もあるようです。
この本を読むと私たちが普段接している天気予報にも、もっと親しみがわいてきます。
気象予報士の話ももっとわかりやすくなるのではないでしょうか。雲の分類などを知ると、空を見る私たちの視点がすこし変わってくるのではないかと思います。よく耳にする、雨の強さを「やや強い雨」「強い雨」「激しい雨」「非常に激しい雨」「猛烈な雨」の違いや、雷鳴はなぜ起きるかなど、身近な疑問も欠かさず解説しています。気象に興味を持つ人が読み始めるにはうってつけの本だと思いました。
レビュアー
編集者とデザイナーによる覆面書籍レビュー・ユニット。日々喫茶店で珈琲啜りながら、読んだ本の話をしています。