素数が「数の原子」と呼ばれていることをご存じでしょうか。自然数の構成要素であるため、その名がついたのですが、この原子たちの特徴を明らかにすることは、「数の本質」を知ることにつながります。しかしその壁は高く、数学が発展した現代でも人類の挑戦を阻み続けているのです。
本書は、そんな素数の深遠な世界を伝える一冊。もちろん数学の本ではありますが、コンセプトの一つは「素数の魅力は天才しか味わえないのか」という問いです。NHKの人気数学番組の監修も務める著者が、高校数学を駆使しながら、素数の性質を丁寧に解説してくれます。そして、最後にたどり着くのは160年超も未解決の難問、「リーマン予想」の、さらに先。数学史上最大の難問と称されるこの問題の先に、素数の原則に反するような「不自然な世界」が広がっているというのです。
ミステリーのようなふしぎな数の世界に、足を踏み入れてみませんか。
──学芸第二出版部 出口拓実
レビュアー
学芸第二出版部