突然ですが「お金の勉強」をしたことありますか?
未曾有(みぞう)の円安の影響もあり物価が上がるにつれ、募る不安を貯蓄や投資といった資産運用で少しでも解消したいと勉強を始めた人も多いかもしれません。私もそんな一人ですが、本屋で平積みにされている「初心者向け」の資産運用の本を買いつつも読了せずに放置しています。なぜか。「お金」に関することってわかるようでわからない、どこか得体の知れない怖いものに感じているのかもしれません。
そもそもお金って何でしょうか。この社会で生きていくにはお金と付き合うことが必須でありながら、実はその仕組みをよく知らないまま使っていませんか。
お金によって動かされる社会活動を研究しているのが経済学という学問です。その経済学を
「日常生活を送る私たち」にもわかりやすく紐解いてくれる『イラスト学問図鑑 こども経済学』が2024年3月6日に発売されました。
なお、イラスト学問図鑑シリーズは経済学の他に『こども心理学』、『こども哲学』も同時発売されています。
本書の構成はいたってシンプル。見開き1ページで1つのキーワードが解説されています。
まず右ページには取り扱うキーワードに対する問いとその解答が簡潔にまとまっています。そして左ページでより詳しい説明を読むことができます。左端には、該当ページで取り扱ったキーワードの専門用語とその用語に関連する学者の名前が記載されています。
図鑑ですから、気になる専門用語を見つけてそのページから読んでみるというのもいいと思います。また、左ページの説明が長いなと感じて本書を閉じてしまいそうならば、右ページだけをどんどんと読み進めるのもアリです。「え? なんで?」と感じた時に左ページの説明を読むと「あのニュースはそういう意味だったのか」と世の中が一つずつクリアになっていくことでしょう。
ひと言で経済学とまとめていますが、経済学にはマクロ経済学やミクロ経済学、行動経済学などいくつかの分野にわかれています。もちろんその全てを本書で網羅することは難しいですが、一冊で各分野の基礎を理解することは十分にできます。それもそのはず! 本書を監修しているのはテレビ番組でもお馴染みの池上彰さん。池上さんのわかりやすいニュース解説を一度は聞いたことがある方も多いでしょう。本書の冒頭ではこう述べられています。
あなたがふだんの生活でやっていることの多くは「経済活動」とよばれるものです。(中略)経済学を学ぶとは、そんなふうにこの社会を形づくっている法則を学ぶということ。いわば、この社会で行われているゲームのルールを理解することです。
お金って得体の知れないものと感じていた私にとってこの言葉は目から鱗! そうか、何年も「社会人」をしているのに私はまだ「社会」の法則を理解しきれてなかったのか……。需要と供給、金利、財政政策、投資と消費など言葉としては知っているけれど、それが社会にどのような役割を果たしているのか。点と点を繋げることができていなかったように思います。
これ、子どものころにもっと知りたかった……!
近頃は「お金の教育」を小さい頃から始めることが重要視されてきています。そんな早くから……と思いますが、本書の言葉を借りるならば社会というゲームのルールを学ぶことは生きる力を育むことに繋がります。ならば、まずは私たち大人がしっかりとそのルールを理解しなくていけません。
「景気って何?」「インフレって何で起きるの?」
そんな質問を子どもからされたときに焦ってしまう方は、ぜひ本書を手に取ることをオススメします!
レビュアー
ライター。フリーランスで働く一児の母。特にマンガに関する記事を多く執筆。Instagramでは見やすさにこだわった画像でマンガを紹介。普段マンガを読まない人にも「コレ気になる!」を届けていきます!
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