「愛する人」になる神仏祈願
人間関係がうまく行っていたり、周囲の人に慕われていたり、幸せな恋愛をしていたり……。そんな「愛される人」が何をしているのか、気になる人も多いはず。その「愛される秘訣」の一つに、「神社仏閣に参拝する」ことが挙げられるとしたら、あなたはどう思いますか?
『愛される人はなぜ神社に行くのか?』は、神社参拝のスペシャリストで社会心理学者でもある“リュウ博士”こと八木龍平先生が、恋愛を切り口に神社仏閣参拝のノウハウを伝授する一冊です。「愛」に関する悩みはさまざまですが「良い出会いが欲しい」という縁結びの願いもその一つです。しかし……。
恋愛のノウハウはいくらでも手に入る現代ですが、神仏たちは「愛されたい人」ばかりが増えて、「愛する人」が少ないことが残念なようです。愛されたい人ばかりで、愛する人がいないとどうなるのか? 愛し合う縁結びができないですよね。
「愛されたい・選ばれたい」と強く望むのは、まさに「愛への渇望」。苦しいうえに、良縁に恵まれる機会が少なくなるのはもちろん、愛のない人に都合よく利用されるリスクも大きいのだそう。しかしこの「愛への渇望」は二千年以上も前からもある、人の根源的な悩みだといいます。解決は難しいのでは?と思いきや、そういうわけでもないようです。
なので、女性も男性も「愛する人の側になるのはどうでしょう?」というのが本書からの提案のひとつです。
「愛する人になるほうが、良縁をつかめる」とはいえ、人を好きになることはできても「愛する」ことは難しく、精神の成熟も必要です。突き詰めて考えると「愛する」とはそもそも何か?という問いも浮かびます。
そんな「愛する感覚」をダウンロードする場所として最適なのが神社仏閣なのだと、八木先生は言います。
この本は「“愛する人”になるために仏教の修行を積みましょう」「神仏に頼った縁結びをしましょう」というものではありません。
ここにあるのは恋愛に関する「とっておきの面白い話」ばかり。
八木先生の知識や研究がベースとなった仏教の世界や神社仏閣に関する解説は、「スピリチュアル」と「科学」の絶妙なミックス加減が大きな魅力です。仏教の教えが現代心理学をもって解説できることや、縁結びの呪術とマーケティングの共通点など、驚きながらも深く納得できるものばかり。今までにないタイプの「恋愛本」なのです。
変化を体験しよう
第1章は「神仏も応援する! 愛する人になる非常識な恋愛法則」。「愛され、選ばれるための方法」だけなら、冒頭の見開き2ページだけで説明がつくのですが、それで満足するにはもったいない。
モテるのに浮気しない男性が持つ「愛の法則」や、「愛するセンス」のある人はどんなことを身につけているのか、といったことから、
お釈迦さまの教えは「異性とは目も合わせないニートになれ」。実は、この極端な教えを実践すると「愛する能力」の基本が身につき、縁結びにもプラスです。
といった、意外な教えを通じて「愛する人」になることがいいご縁を結ぶのに役立つ理由を教えてくれます。
信仰心の薄い私は、これまで神社仏閣を訪れる機会はありませんでしたが、恋愛だけでなく仕事にも役立つ参拝術や、縁結びを特に応援してくれる神仏(神仏にもそれぞれ得意分野があるのです!)を知ると、俄然興味がわいてきます。特に、こんな変化を体験できるかも……と思うと、実際に神社に参拝してみたくなります。
人からうれしい連絡が来るなど、現実が動く変化は、早ければ参拝・祈祷中に、だいたいは3日以内に起こるでしょう。
特にちょっと興味を持って参拝し始めた頃は、次々に変化が起こって「すごい!」と思う人も多いです。
実はちょっと意地悪な変化が起こるときもあります。
例えばある人との縁切りを願ったら、すぐにその人から連絡が来るなど。
「とはいえ、神社のことをよく知らずに参拝してもいいのかな?」「知らずに間違った参拝をしているかも」そんな迷いも、本書のQ&Aを読めばしっかり解消できるはず。
「愛する人」になることで結果的に愛されるひとになる……。この本は、その過程で神社仏閣とどう関わるのがよいか?を、スピリチュアルな切り口だけでなくロジカルに、ユーモアたっぷりに教えてくれる、優しく頼もしい一冊です。
レビュアー
ガジェットと犬と編み物が好きなライター。読書は旅だと思ってます。
X(旧twitter):@752019