20万部突破&映画化もしたメフィスト賞受賞作『線は、僕を描く』の続編が、ついに出ました。小説を読んでいるのに、いつの間にか頭の中は水墨画で溢れている……。そんな読書体験ができる唯一無二の作品です。
今作は「センボク」の2年後を描いた物語です。画家として成長を遂げる一方、進路に悩む大学3年生の霜介。卒業後、水墨の世界で生きるのか、それとも別の生き方を見つけるのか。そんな彼に小学校1年生の子供たちに水墨画を教えてほしいという依頼が舞い込みます。その小学校は亡き母がかつて教鞭を執っていた場所でした。子供たちとの交流、そして、母の過去に触れることを通して、霜介が新たに導き出した答えとは……。感動必至の青春小説です。
ちなみに、著者の砥上裕將氏は水墨画家でもあり、本書には作中で登場するモチーフの水墨画が5点収録されています。読んで楽しい、見て楽しい一冊です。
──文芸第三出版部 市川裕太郎
レビュアー
文芸第三出版部