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2023.12.20

レビュー

世界的絵本作家による科学絵本。生きものの世界をのぞくと、地球も科学も好きになる!

初めてこの絵本図鑑を手にしたとき、「うわぁ~!!」という思いがこみ上げてきました。ただ表紙を見ただけなのに、とにかくワクワクしたのです。

まず色彩に圧倒されます。なんて説明したいいのかわからない絶妙な色合いで、どのページを見ても調和が取れているのです。
さらに登場する動物たちのフォルムや表情もかわいくて、見ているだけで幸せな気分になります。

【2億年以上前の初期のほ乳類って?】

中身も普通の図鑑と違い、『いろんなところにいろんなどうぶつ』は「ほ乳類」にスポットを当てています。


Illustration copyright(c)by Britta Teckentrup

なんともかわいらしいクマの内臓の絵図。これなら絵本を眺めながら、自然と名称が覚えられそうです。

そして今回の一番の発見は、「モルガヌコドン」という聞いたこともない動物が、もっとも初期のほ乳類のひとつだということ。
なんと、恐竜が生息していた2億2500万年も前に、こんな小さな動物がいたなんて!!



【スローロリスが捕食者から子供を守る方法とは?】

「生きのこりをかけて」というページでは、さまざまな動物たちが、捕食者からどうやって身を守るのか?が載っています。

意外だったのは、熱帯雨林に住む、大きな目が愛くるしいスローロリス。
その見た目とは裏腹に、スローロリスは体から「毒」を分泌することができるのだとか。
だから、お母さんが赤ちゃんを置いて食べ物を探しに行くときは、その毒を赤ちゃんの体につけるため赤ちゃんを舐めまわし、捕食者から襲われるのを防いでいるというのです。


【ヒトも、ほ乳類】

「どうぶつとヒト」のページでは、神話や伝説に出てくるペガサスも登場します。
また、「働くどうぶつ」として紹介されているものの中には、戦場の爆弾をニオイで見つける救命ラットや、空港を通る荷物の中から危険な薬を見分けるネズミも紹介されています。

またしても、知らないことが出てきて、ほ乳類がいかに人間と深い関わりがあるかが、よくわかりました。
このように、普通の絵本や図鑑とアプローチの仕方が少し違うところも、この本の面白さです。

【手にするだけでもワクワクの絵本図鑑】

著者であるブリッタ・テッケントラップさんは、数々の受賞歴があるドイツ生まれの画家・作家・芸術家。120冊以上の著書があり、30カ国以上の国々で愛され続けています。

今回は、この『いろんなところに いろんな どうぶつ』のほかに、『いろんなところに いろんな とり』『いろんなところに かめ わに とかげ』も同時発売されました。







これがまた、どれを見ても色彩豊かできれいなのです。
この3冊をインテリアとして飾っても、素敵だろうなと思います。

しかも、カバーを外すと表紙に驚きの仕掛けが!!
なんと絵に凹凸があり、金色や銀色なども施され、光の加減で輝いて見えるのです。
特に『いろんなところに いろんな とり』は、表紙をパタパタさせると羽が光るので、まるで鳥が空を飛んでいるかのよう。

いろんなところに いろんな どうぶつ』も、カバーは朝焼けのオレンジ色で、表紙は夕陽のオレンジ色かな?と勝手に想像を膨らませてしまいました。
表紙だけでこんなに楽しませてくれるのも珍しい!!

この絵本図鑑は、子供だけでなく、大人も十分楽しめます。
とてもとても言葉では表現できない美しさなので、ぜひ実物をご自分の目で確かめてみて下さい。きっと、「うわぁ~!!」となりますよ。


Illustration copyright(c)by Britta Teckentrup

いろんなところに いろんな どうぶつ

著 : ブリッタ・テッケントラップ
訳 : 小野寺 佑紀

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レビュアー

黒田順子

「関口宏の東京フレンドパーク2」「王様のブランチ」など、バラエティ、ドキュメンタリー、情報番組など多数の番組に放送作家として携わり、ライターとしても雑誌等に執筆。今までにインタビューした有名人は1500人以上。また、京都造形芸術大学非常勤講師として「脚本制作」「ストーリー制作」を担当。東京都千代田区、豊島区、埼玉県志木市主催「小説講座」「コラム講座」講師。雑誌『公募ガイド』「超初心者向け小説講座」(通信教育)講師。現在も、九段生涯学習館で小説サークルを主宰。

公式HPはこちら⇒www.jplanet.jp

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