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嗜虐と背徳によって黒く塗りこめられた、原田マハさん初の「ノワール小説集」
近年映像化された『キネマの神様』や『総理の夫』、『旅屋おかえり』などエンタメ作品でめざましい活躍をし、また『楽園のカンヴァス』にはじまる一連のアート小説では第一人者と目される原田マハさん。しかしわれわれが目にしていたのは、マハさんが意図的に見せてきた「陽」の面でした。今回刊行される『黒い絵』。著者の新しい世界を拓く、というレベルではありません。禁じられた遊び、ただれたエロス、閃く殺意──それらアートの世界にうごめく闇、つまり「陰」である暗黒面を描くことで、マハさんの小説世界が初めてコンプリートするのです。
さて、ノワール小説、いわゆる「暗黒小説集」の本作品の頭は、「深海魚」と題する女子高生の性愛を描いた短編。そこには、いじめや同性愛などが描かれ、ダークな結末に繫がっていく……。原田マハさんの作品世界が、本書で描かれる「陰」によって初めて立体的に見えるはず。ぜひご覧下さい。
──文芸第二単行本編集チーム 永露竜二
レビュアー
文芸第二単行本編集チーム
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