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2023.08.30

レビュー

第169回芥川賞候補作。いま文学界がもっとも 注目する才能が放つ、異色の職人小説!

デビュー作『我が友、スミス』に続いて、4作目の本書が2度目の芥川賞候補作となった石田夏穂さん。いま最も文学界が期待する注目の才能です。
女性を主人公に、身体性に根差したどこかユーモラスな作品を次々と発表してきましたが、本作では、男性の、肉体労働従事者を主人公に据え、工事現場の職人たちの生々しいやり取りや鬼気迫る心理を描き切り、まさに新境地を開いたと言える作品となりました。
石田さんは東工大工学部を卒業、会社員としてプラント現場を数多く見てきた経験から、現場の花形と感じてきた溶接作業を題材とすることに。
円熟し、誰もがエースと認めていた溶接工が突然ミスを連発しスランプに陥る。傲慢ともみえた自負がズタズタにされ、職能が日に日に失われていく。失った自信は訓練や練習では取り戻せない。現場をこなしたい、そんな思いに囚われ、彼は深夜一人……。
前代未聞の職人小説をご堪能下さい。

──文芸第一単行本編集チーム 名原博之

レビュアー

担当編集者

文芸第一単行本編集チーム

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