今日のおすすめ
第169回芥川賞候補作。いま文学界がもっとも 注目する才能が放つ、異色の職人小説!
デビュー作『我が友、スミス』に続いて、4作目の本書が2度目の芥川賞候補作となった石田夏穂さん。いま最も文学界が期待する注目の才能です。
女性を主人公に、身体性に根差したどこかユーモラスな作品を次々と発表してきましたが、本作では、男性の、肉体労働従事者を主人公に据え、工事現場の職人たちの生々しいやり取りや鬼気迫る心理を描き切り、まさに新境地を開いたと言える作品となりました。
石田さんは東工大工学部を卒業、会社員としてプラント現場を数多く見てきた経験から、現場の花形と感じてきた溶接作業を題材とすることに。
円熟し、誰もがエースと認めていた溶接工が突然ミスを連発しスランプに陥る。傲慢ともみえた自負がズタズタにされ、職能が日に日に失われていく。失った自信は訓練や練習では取り戻せない。現場をこなしたい、そんな思いに囚われ、彼は深夜一人……。
前代未聞の職人小説をご堪能下さい。
──文芸第一単行本編集チーム 名原博之
- 電子あり
第169回芥川賞候補作。
鉄鋼を溶かす高温の火を扱う溶接作業はどの工事現場でも花形的存在。その中でも腕利きの伊東は自他ともに認める熟達した溶接工だ。そんな伊東が突然、スランプに陥った。日に日に失われる職能と自負。野球などプロスポーツ選手が陥るのと同じ、失った自信は訓練や練習では取り戻すことはできない。現場仕事をこなしたい、そんな思いに駆られ、伊東は……。
レビュアー
文芸第一単行本編集チーム
関連記事
-
2021.09.02 インタビュー
こんな時代小説を待っていた! 武家もの時代小説の新潮流、砂原浩太朗インタビュー
『高瀬庄左衛門御留書』著:砂原 浩太朗
-
2022.11.21 インタビュー
【山田詠美インタビュー】波乱の半生を通して描く「小説家という生き物」の魂
『私のことだま漂流記』著:山田 詠美
-
2022.07.13 インタビュー
量子力学テロリスト、キメラ……「そんなネタ、大丈夫?」と言われるような作品に挑む、直木賞作家・佐藤究インタビュー
『爆発物処理班の遭遇したスピン』著:佐藤 究
-
2023.07.21 インタビュー
スパイ小説の常識を覆す傑作『アンリアル』 注目の作家、長浦京氏インタビュー!
『アンリアル』著:長浦 京
-
2023.07.13 レビュー
第17回小説現代長編新人賞受賞作! 奇跡の花と不思議な青年をめぐる、再生の物語。
『うるうの朝顔』著:水庭 れん
人気記事
-
2024.06.28 レビュー
能登半島地震の悲劇を徹底取材──「政治の人災」を繰り返さないための防災マニュアル
『シン・防災論―「政治の人災」を繰り返さないための完全マニュアル』著:鈴木 哲夫
-
2024.06.26 レビュー
【衝撃の手記】ゴーン会長のもと、日産社長を務めた男はそのとき何を考えていたのか?
『わたしと日産 巨大自動車産業の光と影』著:西川 廣人
-
2024.07.01 レビュー
「趣味はダイエット、特技はリバウンド」という方へ! モチベーションアップのコツ
『にゃんこダイエット モチベーション ブック 一念発起×初志貫徹 痩せにゃいわけない辞典』編:ダイエット・モチベーション・クラブ
-
2024.06.30 レビュー
「弱いまま、強くなる」 MEGUMIさんが、美容を“やる”理由とは!?
『心に効く美容』著:MEGUMI
-
2024.06.24 レビュー
ホンモノ中華料理にアナタの肥えた舌を捧げよ!
『進撃の「ガチ中華」 中国を超えた? 激ウマ中華料理店・探訪記』著:近藤 大介