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『窓ぎわのトットちゃん』では描かれなかった、トットちゃんのもうひとつのお話が絵本になりました。
(原案:黒柳 徹子 文:柏葉 幸子 絵:松本 春野)
あの元気なトットちゃんの一日のごはんが大豆15粒だけ……! トットちゃんこと黒柳徹子さんの戦争体験が絵本になります。育ち盛りの子どもに、炒った大豆を封筒に入れて一日分のお弁当として渡すしかない──そんなことになってはいけない、と今強く思います。
黒柳さんの自伝『窓ぎわのトットちゃん』は、大人になって読むと戦争の影を色濃く感じる物語でもありますが、子どもにとっては楽しいお話です。この絵本でも、幸せな家族の時間やトモエ学園の楽しいお弁当のシーンも盛り込み、小さいお子さんにも〈平和のうれしさ〉が伝わる内容をめざしました。
令和のトットちゃんを描くのは、いわさきちひろさんのお孫さんである絵本作家の松本春野さん。スタジオジブリの『千と千尋の神隠し』に多大な影響を与えた『霧のむこうのふしぎな町』の作者で、児童文学作家の柏葉幸子さんによる文章は、冒頭の1行からしびれます!
──幼児図書編集チーム 日下部由佳
- 電子あり
トットちゃんの小学校時代は、日本が戦争をはじめた時代でもありました。
だいすきなパパ。トモエ学園の楽しいお弁当の時間。あまい、あまいキャラメル。<家族そろって、安心で、うれしかった毎日>から、いろいろなものがなくなっていきます。
そして、ある日、とうとう一日の食べものが、炒った大豆15つぶだけになってしまいました。トットちゃんは、15つぶをいつ食べるか、悩みに悩んで……。
レビュアー
幼児図書編集チーム
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