今日のおすすめ
怖くて、笑えて、最後はホッとできる「こわいけど、おもしろい」おばけずかん
(作:斉藤 洋 絵:宮本 えつよし)
累計販売部数150万部を突破!! 2013年に『うみのおばけずかん』が発売されてから9年、「おばけずかんシリーズ」33冊目となるのが、『いちねんじゅうおばけずかん ハロウィンかぼちゃん』。
現在も「おはスタ」(テレビ東京系列)でアニメとバラエティが放送中で、実写化映画もされた 『おばけずかん』ってどんな図鑑!? なぜこんなに子供たちに人気があるの!? と、ずっと気になっていました。
そんなはやる気持ちを抑えて、まずはどんな“おばけ”が登場するのかチェック。
本の裏表紙には“おばけ”の特徴が載っていて、「めずらしい」「あぶない」などを知ることができます。
最初に登場する“おばけ”は、「ちゅうちゅうたこかいな」。
お正月に凧あげをしていると、空から歌うような声が聞こえて来ることがあります。
「ちゅうちゅうたこかいな」と。
懐かしい!! 最近は聞かなくなりましたが、子供のころは節をつけてよく言っていました。ちゅうちゅうた~こかいな~。
今から思うと、意味不明な言葉ですが(笑)。
現代の子供たちも、こんなこと言うのかなぁ。それにしても生き物のタコと凧を掛けるってありそうでなかった……と微笑ましく読んでいたら、次のページでひやっ!としました。
なんと、「ちゅうちゅうたこかいな」は “ちゅう”と言いながら、逃げまどう子供たちを二人ひと組にして足をからめているではありませんか!!
「ちゅうちゅうたこかいな」は、なぜこんなことをするの?
『おばけずかん』って本当は怖い本なの?と思いながらページをめくると……、なんだ、そういうことだったのかぁ!!と、胸をなでおろしました。
そして、私が子供の頃、どんな時に「ちゅうちゅうたこかいな」を使っていたのかを思い出し、やられた!!と思いました。
しかも、最後に注意書き!?のようなことも書いてあります。ネタバレになるので詳しくは書きませんが、これがなんともユーモアがあって笑えるのです。
なるほど、だから子供たちに人気があるのか!!
この「ちゅうちゅうたこかいな」も面白いのですが、私が好きな“おばけ”は「ひなにんぎょ」。
「ひなにんぎょ」というネーミングに、えっ、ダジャレ!?と笑ったものの、夜中に漁をしているとき、昔の衣装を着たこんな女の人が海の中から“にゅっ”と出てきたら、それだけで怖いと思うのです。
しかも、「ひなにんぎょ」はひとりでは出てこず、その後すぐに二人現れます。
さらに、その数が増えていき……。
これはなかなか怖いぞ、と思って次のページをめくると、嘘でしょ、というぐらい楽しげで、本の帯に書いてある「こわいけど、おもしろい!」は嘘じゃない!! と思いました。
そしてなんとも、にぎやかなこと!! たくさんの色が使われているのに調和が取れている絵は、一度見たら忘れられない面白さです。
この本は、『いちねんじゅう おばけずかん』とあるように、年中行事にからめた“おばけ”が出てきます。
ほかにはどんな“おばけ”がいるのか、今までのシリーズが見たくなる、ちょっとクセになる“ずかん”でした。
実写映画化! 累計150万部の「おばけずかん」シリーズの新刊です。
それぞれのおばけが、どんなふうに怖いのか。そうならないためには、どうすればだいじょうぶなのかを、ユーモラスな短いお話仕立てで紹介する、図鑑という名の童話です。
怖くて、笑えて、最後はホッとできる。「こわいけど、おもしろい」新しいおばけの童話シリーズ、最新刊です。
今回はいちねんのおばけずかんです。楽しいおばけがいっぱい。
レビュアー
「関口宏の東京フレンドパーク2」「王様のブランチ」など、バラエティ、ドキュメンタリー、情報番組など多数の番組に放送作家として携わり、ライターとしても雑誌等に執筆。今までにインタビューした有名人は1500人以上。また、京都造形芸術大学非常勤講師として「脚本制作」「ストーリー制作」を担当。東京都千代田区、豊島区、埼玉県志木市主催「小説講座」「コラム講座」講師。雑誌『公募ガイド』「超初心者向け小説講座」(通信教育)講師。現在も、九段生涯学習館で小説サークルを主宰。
公式HPはこちら⇒www.jplanet.jp
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