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2022年8月末までに登録された世界遺産が、いくつあるかご存じですか？
その数なんと、1,154!!
渡航制限が緩和されたとはいえ、まだ旅行は……という方にとってこの本は、今後の予定を立てるためのガイドブックとして、また世界遺産は色々と見て来たという方にとっては、様々な再発見がある本だと思います。

【生物の多様性が評価された琉球列島の島々】

全世界で11番目に世界遺産が多い日本で、世界遺産に登録された場所は25。
では、2021年に新しく加わった2つを言えますか？

1つは、「北海道・北東北の縄文遺跡群」。
もう1つは、「奄美大島・徳之島・沖縄島北部及び西表島」。

正直、いつの間に世界遺産に……でした。嫌なニュースを避けていたら、こんなうれしい知らせも見逃していました。

中でも「奄美大島・徳之島・沖縄島北部及び西表島」は、審査が厳しい「自然遺産」。
昔、「自然遺産」としての登録を目指していた富士山が、環境が保たれていないという理由で「文化遺産」に変更し、ようやく世界遺産に認定されたことを覚えている方も多いと思います。

ちなみに日本の自然遺産は、ほかにも 「屋久島」「白神山地」（1993年に登録）、「知床」（2005年）、「小笠原諸島」（2011年）と全部で5件あります。
こうした知りたい情報が、この1冊ですぐにわかるところも便利です。

また、世界遺産の種類だけでなく、登録されるまでの流れや、登録基準、無形文化遺産（祭りや芸能など形のないもの）の説明もあり、いかに自分が “知ったかぶり”をしていたかがわりました。

【世界遺産登録の抹消？】

そして今回初めて知ったのは、抹消された世界遺産もあるということ。
世界遺産としての価値が失われそうになったり、危機にさらされているものは「危機遺産リスト」として記載されます。

2001年3月、アフガニスタン・バーミヤン渓谷の大仏2体が、イスラム原理主義組織タリバンによって爆破された映像は、本当に衝撃でした。
このアフガニスタンの石窟群（せっくつぐん）は、世界文化遺産に登録されるとともに「危機遺産」にも指定されました。

「危機遺産リスト」から、2021年に登録抹消となったのは、イギリスの海商都市であり、ザ・ビートルズの出身地としても有名なリヴァプール。
2022年7月までにリヴァプールを含め、3つの世界遺産が抹消されたというのは、なんとも悲しい。
日本では、絶対にこんなことがないように守らなければ!!と強く思いました。

【記憶をよみがえらせる世界遺産】

この本は日本のほかに、アジア、ヨーロッパ、アフリカ、南北アメリカ、オセアニアと大陸ごとに世界遺産が紹介され、カラー写真もふんだんに使われているので、ただ眺めているだけでも楽しい!!　 そして、過去の記憶もよみがえらせてくれます。

私の場合は、建物の入り口まで行ったのに、見ることができなかった世界遺産を見つけました。
それはメキシコ・シティの国立宮殿と大聖堂で、外国人はパスポートがないと入れなかったのです。

今から25年前のメキシコは極めて治安が悪く、女の1人旅だったので、荷物は持たず時計も外し、ポケットと靴底に10ドルずつ入れておくこと、決して流しのタクシーには乗らないこと、もしもピストルを突きつけられたらポケットの裏側まで見せること、と厳しく言われました。
だからパスポートなど持っているはずもなく……。
実はポルトガルの宮殿も、旅行会社の手配ミスで見ることができませんでした（笑）。

こうした思い出をもてたのも世界遺産のお陰ですが、なによりも大きかったのは、世界史が大の苦手で、美術、文化、言語、宗教に疎かった私が、様々な知識を得るきっかけになったことです。
生きているうちにあと何ヶ所行けるかわかりませんが、この『ほんとうにすごい！　世界遺産135』は、一生ワクワクしながら眺めていたい本だと思いました。