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【年金大改正】本当に得なのはどれ? もっとも得する年金受給開始年齢
(監修:小泉 正典)
知らない人は損をする!! 税金などお金に関する複雑な制度を知るたびに感じることです。
まだまだ先だと思っていた年金ですが、2022年4月の年金大改正を控え、早めに知ることができて良かった!!という内容が、この本にはいっぱい載っています。
75歳の繰り下げ受給は得か損か?
2022年4月から始まる年金大改正で最も注目したいのは、「66歳以降に受け取る場合の上限年齢が、70歳から75歳に引き上げられる」ことではないでしょうか。
これにより、65歳で年金をもらうより「最大84%増える」そうで、2021年の老齢基礎年金の満額780,900円を基に計算すると、受取額は1,436,856円。
なんと655,956円も増えることになります。
780,900円×1.84 = 1,436,856 円
これは70歳まで就業確保が企業の努力義務となったためというのですが、甘い誘いには裏があるのではないか!? と身構えてしまうのも事実です。
そもそも75歳から受給を始めたとしても、すぐに死んでしまったら元が取れないし、かといって65歳ならまだ十分に働ける年です。
どうしたらいいのか漠然と考えていたのですが、この本に載っている「損益分岐点」のシミュレーションは、将来設計にとても役立つと思いました。
寿命だけでなく、「健康なうちにもらいたいのか」「病気や介護が必要になった時にもらうのか」を判断材料にするといいというアドバイスに、なるほど!と思いました。
実は今回、私が1番知りたかったのは「特別支給の老齢厚生年金」について。
今年受け取った「ねんきん定期便」の中の「老齢年金の種類と見込額(年額)」にあった項目ですが、今まで見たことがなかったので、なんのこっちゃ!?状態でした。
年上の方に聞いても「うーん、なんか貰ってるかも」と埒(らち)が開かず、ネットで調べてもよくわかりませんでした。わざわざ年金事務所に聞きに行くのは面倒だなぁと思っていたことが、この本で解明できました!!
昔は、年金支給開始が60歳からでしたが、それが65歳に引き上げられたときに設けられたのが、この「特別支給の老齢厚生年金(特老厚)」。
60歳~64歳までの間に、生年月日に応じて受給できる年金です。
ただし、男性は1961年4月2日以降に生まれた方、女性は1966年4月2日以降に生まれた方は、この制度に該当しません。
35年前の1986年の改正なので、こんな制度があることすら知らない人も多いのではないでしょうか。
年金未納の救済策
もう1つ私が知りたかったのは、年金の「未納」についてでした。
私に未納があることは知っていたのですが、「1年間の受取見込額」が老齢基礎年金の満額と近かったので勘違いをしていたのです。
年金のことはそれなりに“知っているつもり”でしたが、こんな大きな見落としがあったとは!!
この本を読んでわかったのは、60歳を過ぎても未納の国民年金を払い続ければ、「老齢基礎年金の満額」プラス「厚生年金」がもらえるということでした。
この本は、3つのパートに分かれています。
PART1 『徹底解説! 年金大改正で何が変わるのか?』
PART2 『60歳からが肝心! 絶対に取りこぼせないさまざまな年金給付』
PART3 『仕事・医療・介護 知っておきたい60歳からの「届け出」だけで頼れる保障』
どれもが細かくパターン別に書かれているので、自分に当てはまるものが見つけやすくなっています。
さらに年金のことだけでなく、「継続雇用の賃金が60歳時点より25%以上下がった人が受け取れる給付金」や「失業給付金」についてなど、様々な制度があることも教えてくれます。
これらもすべて、“知らない人は損をする”なので、頭が働く早い段階から、まずは知っておくこと!! が重要であると実感しました。
「自分の寿命」の想定によって、「年金の損益分岐点」は変わる!
知っているのと知らないのとでは大違い!
改正ポイントを理解して、50代からそなえるべし!
2022年4月、新しい年金の制度が始まる!
「仕事」「貯金」「寿命」「ライフスタイル」に合わせて65歳・70歳・75歳、もっとも得する年金受給開始年齢を提言!!
新制度は、厚生年金に加入できる人の範囲を広げ、年金の受給開始年齢を遅くすれば遅くするほど受給額がアップするしくみをより一層強化したものとなっています。
本誌では、自分の「仕事」「貯金「寿命」「ライフスタイル」に合わせて、いつから年金をもらえばもっとも得できるかを年齢別・働き方別で割り出した具体的なシミュレーションで提言!
年金受給額が最大84%アップする「75歳繰り下げ」は本当に得なのか、男女の寿命で考える「年金受給の損益分岐点」を徹底解説します。
また、意外と知られていない、繰り下げ待期を途中で止めてもそれまでの年金を一括で受け取れるしくみについてもわかりやすく解説。
そのほか、「届け出」だけで、医療・介護・学びなどの給付金や補助金が得られる社会保障もさまざまに紹介しています。
レビュアー
「関口宏の東京フレンドパーク2」「王様のブランチ」など、バラエティ、ドキュメンタリー、情報番組など多数の番組に放送作家として携わり、ライターとしても雑誌等に執筆。今までにインタビューした有名人は1500人以上。また、京都造形芸術大学非常勤講師として「脚本制作」「ストーリー制作」を担当。東京都千代田区、豊島区、埼玉県志木市主催「小説講座」「コラム講座」講師。雑誌『公募ガイド』「超初心者向け小説講座」(通信教育)講師。現在も、九段生涯学習館で小説サークルを主宰。
公式HPはこちら⇒www.jplanet.jp
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