今日のおすすめ

大評判のクッキーブランド「クッキー同盟」のオリジナルレシピ初公開!

2022.01.07
  • facebook
  • X(旧Twitter)
  • 自分メモ
自分メモ
気になった本やコミックの情報を自分に送れます

英国で愛される伝統の味がクッキーに

「クッキー同盟」のクッキーを贈ってもらったことがある。おしゃれな缶に、ラズベリーやジンジャー、レモンとメレンゲなどをあしらった美しいクッキーがぎっしり詰まっていた。どれも衝撃的に美味しく、複雑な味わいを持ち、1枚食べるだけでケーキを食べたような満足感でいっぱいになった。

本書『「クッキー同盟」の英国仕込みのクラフトクッキー』は、「クッキー同盟」初のレシピブックだ。「クッキー同盟」は実店舗を持たず、イベントとネットのみの販売ながら、おいしさと個性的なパッケージで人気を集める。本書では「英国仕込みのクラフトクッキー」をコンセプトに、シンプルな材料で作られた35種のクッキーを紹介している。家庭でお菓子を手作りする「ベイク文化」のある英国で長く愛されているケーキやタルト、パイといった伝統の味を独自にアレンジ。ベーシックなクッキーから、フルーツを使った定番クッキー、ジャムやアイシング、ビールやスパイスを使う変わり種クッキーを、サクサク、ふんわり、ほろほろなど、さまざまな食感に仕上げたレシピたちだ。

本を開くと目に入る「クッキー同盟憲章」。

この、ちょっとクスッとくる「クッキー同盟憲章」と、

食べる人みんなが幸せになれる時間を提供することができたら、こんなにうれしいことはありません。さあ、英国クッキーの世界を楽しみましょう。

熱いメッセージに心をつかまれる。

本書で紹介しているクッキーたち。



バリエーション豊かでどれも美味しそう! 英国といえば……のスコーンやプディングを思わせるものや、クッキー缶に入っていた「ヴィクトリア・ラズベリー」や、「スパイシー・ジンジャーズ」のレシピも収録されている! あのおいしさを再現できるかも……とテンションが上がる。早速見てみよう。

各ページから「クッキー愛」が伝わる



「ヴィクトリア・ラズベリー」。写真でもわかる香ばしそうな生地と、ツヤツヤのラズベリージャムが目をひく。クッキーそのものがおいしそうなのはもちろん、スタイリングも写真も美しい。美しいクッキーと、美しいお皿。クッキーへの愛を感じる。

イメージは、ヴィクトリア女王がこよなく愛したと言われるヴィクトリアケーキ。
シンプルなクッキーにラズベリージャムをたっぷりと。

「ヴィクトリア・ラズベリー」はサクッとした食感のあとに豊かなバターの風味が広がる。濃厚なラズベリージャムは香り豊かで甘酸っぱい。プチプチとした食感がアクセントだ。シンプルながら贅沢な味わいをもつ1枚だ。

このクッキーにはイメージソースとなるお菓子がある。英国のティータイムに欠かせない人気の定番お菓子、「ヴィクトリア・サンドイッチ・ケーキ」だ。

もともとはヴィクトリア女王のために作られたお菓子。バター・砂糖・卵が1:1:1の同割で作るスポンジに、いちごなどのジャムやマーマレードをはさんだ素朴でシンプルなケーキです。現在では生クリームをはさむなど、豪華に進化したものも。

本書は、英国の伝統菓子を手軽に作れるよう、クッキーにアレンジしたレシピ集でもある。作りたいクッキーの成り立ちを知るとより楽しい。

ヴィクトリア・ラズベリーのレシピに戻る。バター・砂糖・卵に小麦粉、ラズベリーと、シンプルこの上ない材料と、5工程のシンプルレシピ。下準備も書かれているので、失敗なく作れそうだ。よく読むと、「オーブンを180度に温めておく」と書かれている。焼く工程では「170度で20分焼く」とあるのになぜ?

オーブンの扉を開けると庫内の温度が下がるので、焼く温度より高めに温めておくといいらしい。小さいことだが、確実にクッキーの焼き上がりに影響を与えるポイントだ。こんな小さなコツがまとまった「クッキー作りのコツ」コラムも収録されているのも心強い。これなら、初心者でもおいしいクッキーが作れそうだ。どのページからも「すべてはおいしいクッキーのため」というような、クッキーへの愛が伝わってくる。

ビールにチーズ? 意外なレシピも

難易度高めなもので試してみたいのは「ギネス・チョコクリーム」。


ギネスとは、あのギネスビールの「ギネス」だ。アイルランド人がこよなく愛するギネスビールは、独特の風味が特徴で、料理や製菓に使われることも多いそう。「ギネス・チョコクリーム」は、ギネスビールに相性の良いチョコレートを加え他生地に、クリームチーズアイシングをサンドした柔らかい食感のクッキーだ。このクッキーを味わうベストなタイミングは「できたて」。ホームメイドだからかなう、贅沢な楽しみ方だと思う。

甘いクッキーだけでなく、スパイスとチーズ、ベーコンを使ったおつまみ系クッキーもある。


「スパイス・チーザー」「セイボリー・ベーコン」は、生地にチーズが入ることでほろっとした食感になるという。夕食前に生地を仕込み、食事の間に焼いておけば、食後のお酒のおともになってくれそうだ。週末の夜に試してみたい一品だ。

本書のどのレシピも、「これだけ?」と思うほどシンプルな材料で作れる。材料や、ジャムやアイシングが共通のクッキーもあるので、一度何か作ると、他のクッキーにも挑戦したくなる。正直なところ、お菓子は作るよりも買った方が美味しいと思っていた。手に入りにくい材料を買い求める手間やお金もかかる、と。でも、この本のクッキーは違う。材料もレシピもシンプルだし、手に入りやすいものばかりだ。その分、バターや粉、フルーツには少しお金をかけて、質の良いもので作りたい。そうすれば、生地を寝かせて待つ時間さえ、楽しみな気持ちでいられるだろう。そんなふうに、クッキーを味わう瞬間だけでなく、作る段階からずっと豊かな気持ちにさせてくれる1冊だ。

  • 電子あり
『「クッキー同盟」の英国仕込みのクラフトクッキー』書影
著:クッキー同盟

実店舗を持たず、イベントとネットのみの販売ながら、おいしさとパッケージのかわいさで人気を集めている「クッキー同盟」の初のレシピブック。「英国仕込みのクラフトクッキー」をコンセプトに、シンプルな材料で手作りすることを大切にしている「クッキー同盟」ならではの、ケーキやタルト、パイを独自にアレンジしたバリエーション豊富な35種を紹介します。サクサク、ふんわり、ほろほろなど、さまざまな食感と、フルーツやスパイスを組み合わせた風味豊かな味が楽しめるレシピをラインナップ。おいしく仕上げるコツと英国菓子についての解説付き。

レビュアー

中野亜希

ガジェットと犬と編み物が好きなライター。読書は旅だと思ってます。
twitter:@752019

  • facebook
  • X(旧Twitter)
  • 自分メモ
自分メモ
気になった本やコミックの情報を自分に送れます