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料理の勘違い、ズバリ正します!! 料理が格段においしくなる「うま味」方程式
(監修:東京慈恵会医科大学附属病院 栄養部)
時々ふと耳にする「こうするとおいしくなるよ」という“技”。そう、技としか言いようがないものたちが料理の世界には無数に存在する。ポピュラーなものでいうと「さしすせそ」だ。「砂糖、塩、酢、醤油、味噌」の順番で調味料を入れなさいという古来から伝わるテクニックを、言われるがままに守っている。最近教わった「炭酸水しゃぶしゃぶ」もおいしかった。でもなんでおいしいの?
これらの技をちゃんと科学的な理由を添えて網羅したのがこの本だ。東京慈恵会医科大学附属病院の栄養部のみなさんが監修している。
「おいしい」の感覚は環境の違いや年齢差などで異なりますが、本書では多くの人がおいしいと思える"おいしさの本質"を逃さない調理法をご紹介します。それらは今まで長年の経験や修業の積み重ねで得るものと考えられてきましたが、調理科学に基づけば誰でもおいしい料理を作ることができます。
「こうするとおいしくなるんです」と方程式のように説明されると俄然盛り上がるし、覚えられる。レシピが存在しないようなちょっとした料理を作るときにもこの本は役に立つ。だって技だから。とても楽しい。
ポテサラに温度計!
いくつか実際にためしたものを紹介したい。思わず家族のグループチャットで宣伝するくらい感動したのが“ポテサラ”だ。もともと大好物で、たくさん食べたいから大量生産したいけれど、今ひとつ気が重い。なぜなら、皮をむいて茹でて具材も用意して……と工程が多いのと、味が安定しないところだ。この2つの悩みを解消するアイデアをこの本は教えてくれた。
実はポテサラ作り、簡単なだけに味の要になる部分を外したまま仕上げてしまうことが多いのです。その要素は三つあり、まず一つは芋選び。(中略)二つ目は皮ごと潰すことで、じゃが芋で一番おいしい皮と身の間を逃さず味わえます。
皮! 一緒にたべちゃっていいの!?
三つ目はマヨネーズであえるのは芋が冷めてから。
こちらは、「調理実習」のページを見習い、温度計片手に作ってみることにした。手順は以下のよう。
50~60度になるまで待ってマヨネーズを入れることをこの本は説いている。温度計はネット通販で2000円ほどで買える。持っていて損なしだ。
茹で上がりすぐは85度くらいで、少し潰してから「冷めたかな?」と思ってもこの通り。
73.6度! ホカホカ! そのあいだに玉ねぎをスライスしたり、ゆで卵の殻をむいたり、カリカリベーコンを混ぜながら様子を見ることに。
15分くらいして温度を確かめると50度。いよいよマヨネーズを和える。それでも手をかざすとほんのりあたたかい。これは温度計がないとわからない。
いざ期待を込めて味見すると……おいしい。マヨネーズの味がする! いつも味見するとマヨネーズが足りない気がして足してしまうのに、今回はマヨネーズの味を感じる。卵の風味もわかる。
そして一番「大丈夫かな……?」と思っていたじゃが芋の皮。皮ごと茹でて、皮も丸ごとポテサラに参戦せよというのが本書のスタイルだ。これも大成功。じゃが芋の風味がわかる! 皮ごと作戦で最も心配だった「食感」については、本でも述べられていたが、本当に気にならなかった。
私よりもうんと食感にうるさい家族にも食べてもらったが「気にならないし、おいしい」という感想だった。よかった! マッシュポテトと違ってポテサラには他に具材があるので、ジャガイモの皮があっても気にならないのかもしれない。風味があっておいしい。逆に今までなんで皮を剥いてたんだろう……と思った。
この方法だと「ジャガイモの皮を剥く」というステップがないのでラクだ。ここも私は良い点として挙げたい。
もう「玉ねぎ少量」に戸惑わない
このポテサラと同じ流れで実践したいのが「冷凍でかんたん! アメ色玉ねぎ」だ。冷凍するだけで、生の玉ねぎの1/4の炒め時間でアメ色になるという技だ。もちろんそこもありがたいのだが、「冷凍させてOK、しかもメリット大!」とわかったことが一番嬉しかった。
なぜなら、玉ねぎは「1個ぜんぶ刻んで料理に入れましょう」というレシピがとても少ないのだ。大抵「1/2個」とかで、そうなると残りの玉ねぎをどうすれば? と毎回課題になる。ポテサラに入れる玉ねぎだって1/5個くらい。なんで1個まるごと使い切らせてくれないんだよ~と思いながら翌日に「玉ねぎのお味噌汁」を連投させていたが、もう迷わない。余った玉ねぎは刻んで冷凍させる。
ポテサラの後の玉ねぎたち。みんな、凍ってくれ!
他にも冷凍するとおいしくなる野菜がたくさん紹介されているので、まとめ買いのお供に読んでほしい。
つい食べてしまう好みの味の理由がわかる
めくるめく技がつまった第1章の次は“「おいしい」は必ず、方程式に忠実”という章だ。こちらはあらゆる食材が秘めた「うま味」のお話で、昆布、鰹節はもちろんのこと、ドライトマトや緑茶まで網羅されている。
なかでも “海苔”の解説がおもしろかった。
タッグを組んで「うま味」を出す食材が多いなか、海苔は単独でおいしいのだ。確かに、最近よく作って食べている薄味の和風スープに必ず海苔を入れてしまう。もはや入れないと味が決まらない気がしていたけれど、本当に海苔は決めてくれていたのだ。干し椎茸や昆布と同じ(いやそれ以上)に、おいしさに裏付けを持つ実力者だったのか……!
難しい練習を繰り返したり、複雑なレシピを覚えなくても「おいしい」と感じる料理を作る技はたくさんあって、それらには理由がある。1ページごとに「いいこと聞いた!」と思えるような、ちょっとした工夫が光るお料理本だ。
「おいしい」と思う感覚は、環境の違いや年齢、性別などでも異なりますが、本書では多くの人が「おいしい」と感じる「おいしさ」の本質を逃さない調理法をご紹介します。それらは今まで、長年の経験や修行の積み重ねで得られると考えられてきましたが、実は科学に基づいて行えば誰でも実現が可能です。
おいしい料理には「だし」が欠かせないと思っている方は多いのでは? 食品売り場には和・洋・中とジャンルも豊富にだしの素が並んでいます。でも、そもそもだしの原料は、すべての動物性食品や野菜などに含まれる「うま味成分」です。
例えば、スープを作る場合、本来のうま味成分を引き出せば、洋風だしの素はいらないはず。
失敗しがちなのは、おいしくしようと繰り返し煮込んで、食材の細胞を壊してしまうこと。風味が落ちた食材は、何らかのだしの素を加えないと、満足できない味になります。つまり、「だしの素を加えたくなる=素材のおいしさを失った」ということなのです。食材の組み合わせも、方程式にのっとって行えば、おいしさが爆発的に倍増します。
おいしさに欠かせない5感は、視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚の5つ。
興味深いのは、科学的な調査によると「おいしさは見た目が9割で、味はたったの1%」という結果がでています。味にこだわって四苦八苦している我々ですが、「おいしさ」のポイントを逃さない料理のコツ(方程式)を全図解つきでわかりやすく解説します。今日からあなたも、プロ顔負けの料理名人になれるはず。
レビュアー
元ゲームプランナーのライター。旅行とランジェリーとaiboを最優先に生活しています。
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