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【横山大観・生誕150年】大回顧展のおともに「ARTBOX」が好評!

2018.04.29
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■酒を愛した国民的画家の生誕150年 10年ぶりの大回顧展開催

明治、大正、昭和の三代を日本画壇の中心的存在として活躍した横山大観(1868-1958)は、明治元年生まれ。その歩みはまさに日本の近代をそのまま生き、新たな時代の新たな絵画に挑戦し続けたといえます。明治150年にあたる今年2018年は、大観の生誕150年にあたり、それを記念した大回顧展が東と西を代表する国立の近代美術館で開かれるのが話題になっています。

■全長40メートル超! 最大・最長の画巻も登場

大観の水墨技法のすべてが注ぎ込まれていると言われる「生々流転」(せいせいるてん・重要文化財・東京国立近代美術館蔵)。日本一長い画巻で、長さは40メートルを超えますが、縦も約55センチととても大きいもの。「大観の水墨表現の集大成」ともいわれる作品です。

画は山間に湧く雲からスタートし、一滴のしずくになり、地に落ちて流れとなる過程を描いています。滝を集め、やがて大河となって海へ注ぎ、天に登る。そして再び雲になる流転の相。水の一生は人の一生に重なり、大観自身の波乱の半生にもなぞらえているのでしょうか。

重要文化財「生々流転」(部分)  1923年 横山大観 東京国立近代美術館蔵 京都展は巻き替えあり

この「生々流転」は大正12年(1923)の院展に出品されましたが、初日の9月1日に関東大震災が起こります。「画中の丸木橋が地震に揺れ落ちたように見えた」という画家・平福百穂の回想も残っています。混乱のなかわずか3時間の展示で急ぎ片付けられました。

その画巻が、東京展では一挙に公開されます。東京国立近代美術館では過去に何度か特別公開されましたが、今回の展示では時代の変遷をたどる他の大観作品とともに、「生々流転」のすべてを鑑賞することができます。40メートルを一挙に見せる展示スペースは圧巻。京都展では巻き替えがあり、3回で全体を観ることができます。

■国民的画家は、酒を飲みながら画を描いていた!?

水戸藩士の長男として生まれた大観は、東京芸大の前身・東京美術学校に1期生として入学し、岡倉天心の指導を受けました。日本美術院の創立に参加、日本画の近代化に取り組みます。天心没後にはその遺志を継承して活躍し、昭和12年には第1回の文化勲章を受章しました。

「酒を飲みながら画を描く」と言われたほど、酒を愛したことで知られる大観ですが、実際には飲んだら手が震えて運筆ができないため、制作が一段落したところで晩酌を楽しんでいたのだといいます。

「私を大酒飲みと思っている人があるかもしれないが、私はただ酒を愛するだけだ」と言いながらしかし、「……昔は二升位はやったが、今は一升というところだろう。一升といっても一時にやるのではない、朝、ひる、晩、三回に分けてやるのだからたいしたことはない」という、大観自身の言葉も残っています。

「群青富士」(右隻) 1917年頃 横山大観 静岡県立美術館蔵 【展示期間】東京展:4月13日~5月6日 京都展:7月3日~7月22日

「夜桜」(左隻) 1929年 横山大観 大倉集古館蔵 【展示期間】東京展:5月8日~5月27日 京都展:6月8日~7月1日

展覧会は東京では、竹橋の東京国立近代美術館(4月13日~5月27日)、京都は平安神宮近くの京都国立近代美術館(6月8日~7月22日)、家族連れで出かけるにもピッタリの季節。日本人の歩いた軌跡、明治からの150年を大観の絵画でたどり、大観の新しい魅力を発見するのはいかがでしょうか。

■生誕150年 横山大観展

【会場】東京国立近代美術館 1F 企画展ギャラリー ・ 2F ギャラリー4

【会期】2018年4月13日(金)~2018年5月27日(日)

【開館時間】10:00~17:00 (金曜・土曜は10:00~20:00 )*入館は閉館30分前まで

【休館日】月曜(4月30日は開館)

【当日券】一般/1,500円、大学生/1,100円、高校生/600円

【会場】京都国立近代美術館

【会期】2018年6月8日(金)~2018年7月22日(日)

【休館日】月曜日 ※ただし7月16日(月)は開館、7月17日(火)は休館

【当日券】一般/1,500円、大学生/1,100円、高校生/600円

【前売券】一般/1,300円、大学生/900円、高校生/400円

■展覧会鑑賞のお伴に 『横山大観 ARTBOX』4月4日発売!

『横山大観 ART BOX』 佐藤志乃:著 定価2200円(税別)

展覧会は、「明治」「大正」「昭和」と、各時代の大観の代表的な作品で構成され、総出品点数90点を超える大回顧展。この展覧会に合わせて、横山大観記念館学芸員・佐藤志乃さんの執筆で、『横山大観 ART BOX』が4月4日に発売になりました。ART BOXは15cm弱の正方形(まさにBOXサイズ)のシリーズで、過去に『伊藤若冲』『鈴木春信』なども発売されています。展覧会の会場で、「カタログの他にもう1冊」「カタログは大きくて重すぎる」という方に、ちょうどいいコンパクトなサイズで好評です。

富士、満開の夜桜、屈原や千利休……。展覧会で観たお気に入りの1枚を、掌(てのひら)サイズで持ち帰りませんか。

『横山大観 ART BOX』のほか、講談社くらしの本からの記事はこちらからも読むことができます。

『横山大観ART BOX』書影
著:佐藤 志乃

掌から溢れ出る巨匠の世界。横山大観の代表作からめったに見ることができない作品まで、その生涯を辿りながら鑑賞できるお得な一冊!

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