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『通りすがりのあなた』には、著者のはあちゅうさんが実際に訪れた場所や住んでいた場所、現地で出会った人や物がたくさん登場しています。7話それぞれのあらすじと一緒に、はあちゅうさんご自身による写真とキャプションで、小説のモデルになった場所をご紹介!
第3話「あなたの国のわたし」→カーディフ(イギリス)
ロンドン橋
この物語は大学時代の友人をモデルにしています。
「18歳までイギリスで育ち、大学で初めて日本での生活を体験する」という設定は、彼女のバックグラウンドそのままです。
そして、夏休みに彼女の故郷であるカーディフに滞在した時の思い出をところどころに散りばめています。
イギリスの街角に建っていた綺麗なおうち
話は少しそれますが私は青春時代にみんなが探したがる「本当の自分」なんて存在しないと思っています。
いる場所と喋る言語によって「自分」なんて、簡単に変わってしまうのではないでしょうか。
夕暮れどきの散歩
学生時代に通っていた某駅前留学には、外国人の先生が教室に入ってきた途端、陽気になる会社員の人がいました。
日本人同士の空間ではもじもじとして全く喋らない人がなぜか頭が英語モードに切り替わった瞬間に笑顔で「ハロー! ハウアーユー?」とハイテンションで聞いてくるんです。
その時は少し不気味だと思いましたが、私自身、常に、仲の良い人たちとの間で見せる「活発で好奇心旺盛な私」でいられるわけではありません。
夕暮れ。どこで撮ったかは忘れちゃいました。
目上の人や、知らない人の中では借りてきた猫のようにおとなしくしている自分も「ハロー! ハウアーユー?」のあの人とやっていることは同じなんです。
人はそんな風に、その場に合わせた自分で生きているから、人に決まった性質なんてないよ、ということをこの話の中では伝えてみたかったんです。
移動遊園地のメリーゴーラウンド
「あなたの国のわたし」
大学で出来た親友のマリアは、見た目は日本人だが中身は完全なイギリス人。マリアのユニークな日本語や感性が面白くて、サキは姉のような気持ちでマリアの案内役を買って出た。出会って2年目の夏休み、サキはマリアが生まれ育ったカーディフへの里帰りに同行することになり……。
第4話「六本木のネバーランド」→ニューヨーク、六本木
タイムズスクエア。約10年前に訪れた時の写真
「群像」掲載時に一番ネットでの評判がよかった作品。
大学時代、実際に、投資銀行に勤めていた知人が、マンションの一室をかしてくれたことがあって、その時のことを思い出しながら書きました。
六本木ヒルズから見た東京
書いていて、こんな風に生意気女子大生のことは、もっと描いてみたいな、と思いました。
(生意気だけど、本当は優しくて繊細で、繊細だからこそ、背伸びして生意気にみえてしまう女子大生です)
夜の六本木ヒルズ
作品の中で出てくる「ピータールーガー」というステーキハウスは執筆時には行ったことがなかったのですが、この夏、NYへの出張が決まって、行くことが出来ました。
ランチタイムに訪れたピータールーガー。右は仲良しの田中里奈ちゃん
「ダブルショートソイカフェモカ」というスターバックスのカスタマイズは、本当は森さんではなく、「週末野心手帳」を一緒につくっている村上萌ちゃんが私に教えてくれたカスタマイズです。
その後、豆乳アレルギーを発症してしまった私は二度と頼めないカスタマイズですが、豆乳好きな方、ぜひ試してみてください。
ニューヨークの象徴!
「六本木のネバーランド」
「美幸ちゃん、僕の家に住まない?」──合コンで出会った外資銀行に勤める森さんから、彼のニューヨーク滞在中の二ヵ月間だけ家の留守番を頼まれ、秘密基地を手に入れて大喜びの美幸。森さんから海を越えて週に一度届くパソコンメールが、不思議な感覚をもたらして……。
- 電子あり
切ない人間模様を描く、はあちゅう初の小説集!
香港に留学したサホはアメリカン・ボーン・チャイニーズのマイケルと出会う。彼は奇妙な秘密を漏らすように──(「世界が終わる前に」)/合コンで出会った森さんから出張中だけ家の留守番を頼まれた美幸。海を越えて彼から届くPCメールは不思議な感覚をもたらし……(「六本木のネバーランド」)/言葉や距離を超えて築かれる、友達とも恋人とも名づけられない“あなた”との関係。
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