今日のおすすめ

黒幕で、怪人。ヤクザで儲け、宮崎駿を育てた「徳間康快」の夢は何だったのか?

メディアの怪人 徳間康快
(著:佐高 信)
2017.07.28
  • facebook
  • X(旧Twitter)
  • 自分メモ
自分メモ
気になった本やコミックの情報を自分に送れます

「文化の仕掛け人」と呼ばれた徳間康快をご存じだろうか? プロデューサーとして、宮崎駿を育てあげ、株式会社スタジオジブリの初代社長に就任した男だ。そのほかにも徳間書店を興し、『アサヒ芸能』編集長として部下を育て、その後『東京タイムズ』の社長に就任した。倒産寸前の『大映』の再建を請け負ったこともある。

さまざまな逸話を残した彼は、いい評判だけでなく悪い評判も転がっている。いったい彼はメディアの黒幕なのか? それともメディアの怪人なのか……。

本書は、徳間の葬式の場面からスタートする。最期に放った言葉は「オレはだまされた」だった。いったい彼は誰にだまされたというのだろうか? そしてそれを読み解くかのように、徳間の周りにいた人たちから得た証言をもとに、徳間のエピソードが紹介される。

他者から描かれる彼の人物像は、たとえば「時流を読む才に富んでいた」「ケンカ上手であった」「突拍子もないことを考えた」などまさに豪快であり、それでいて少しチャーミングでもあった。破天荒に振る舞うが、1つの筋はきっちりと通しているから、誰もが彼についていきたくなってしまうのだろう。それ以外にも徳間は「心配するな。カネは銀行にいくらでもある」「人間的魅力さえあれば、あらゆる艱難辛苦は乗り越えられる」と豪語する。その発言から見える彼の哲学には強く惹かれるものがあるだろう。

目次

  1. 第一章 読売新聞への愛憎
     後輩・渡邉恒雄と氏家齊一郎/『権力の陰謀』事件
  2. 第二章 先輩にかわいがられる
     松本重治という先達/緒方竹虎との出会い
  3. 第三章 頼まれ人生
     異色官僚との交友/念願の日刊紙『東京タイムズ』
  4. 第四章 濁々併せ呑む
     大映に響く徳間ラッパ/つねに崖っぷちで生きる
  5. 第五章 見果てぬ夢
     ダイアナ妃に出演交渉/失敗こそ人生
  6. 特別対談・森村誠一氏

著者紹介:佐高 信

1945年、山形県酒田市生まれ。高校教師、経済雑誌の編集長を経て評論家に。経済評論にとどまらず、憲法、教育など現代日本について辛口の評論活動を続ける。『週刊金曜日』編集委員。著書に『人間が幸福になれない日本の会社』(平凡社)、『安倍晋三と岸信介と公明党の罪』(河出書房新社)、『安倍政権10の大罪』(毎日新聞社)、『自民党と創価学会』(集英社)、『新装版 逆命利君』(講談社)、共著に『偽りの保守・安倍晋三の正体』(講談社)など多数。

  • 電子あり
『メディアの怪人 徳間康快』書影
著:佐高 信

山口組・田岡組長を陰で支え、天才・宮崎駿を育て上げた夢の大プロデューサー、徳間康快。徳間書店を興し、『アサヒ芸能』編集長として部下を育て、難破船の『東京タイムズ』社長に就任、倒産寸前の『大映』の再建を請け負い、ダイアナ妃に出演交渉する。黒幕か? フィクサーか? それともメディアの怪人か?“濁々”併せ呑んだ傑物の見果てぬ夢を見よ!

フライヤー

フライヤー イメージ
フライヤー

「本の要約サイトflier フライヤー」多忙なビジネスパーソンが、効率的に本の内容をつかめる要約サイト。ビジネスに役立つ知識・教養を身に付け、スキルアップにつなげるためのサービスを提供しています。

https://www.flierinc.com/

Copyright © 2024 flier Inc. All rights reserved.
  • facebook
  • X(旧Twitter)
  • 自分メモ
自分メモ
気になった本やコミックの情報を自分に送れます