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「とにかく伝わる」英語学習法──英語できなくて当然!の日本人限定作戦とは
2020年の東京オリンピックで、ボランティアをやりたいと思っている方は多いのではないでしょうか?
競技会場や選手村で活動する「大会ボランティア」と、空港や駅で案内をする「都市ボランティア」の募集は9万人以上!! これなら応募すれば、即採用かと思いきや、2012年のロンドン大会では3倍以上の応募があったとか。
東京オリンピックでボランティアになるためには、英語が話せるか否かは大事な選考基準となりそうです。
そんなわけで私も少しずつ英語の勉強をしているのですが、覚えたはずのフレーズも、ものの見事に忘れていて、自分の頭の悪さと脳の老化に愕然とします。
そしていつも、こう思います。母国語が英語だったら楽だったのに、と。
『話すための英語力』は、テレビやラジオの英語講座の先生としても有名な鳥飼玖美子さんが書いた本なのですが、最初に出てきたのは、日本人が英語を話せないのは、ある意味、当然のことだという話でした。
実は母語を習得するにはかなりの時間を要し、5歳児は3万時間も言語刺激にさらされているのだそうです。しかし、私たちが中学~大学まで10年間にわたり週4時間の授業を受けたとしても、それに費やした時間は、たかだか2ヵ月程度。
さらに、米国の外交官などが外国語を習得するとき、1日に4~5時間、集中訓練をするらしく、4段階に分けられた難易度の中で、日本語は一番難しい言語だというのです。
カテゴリー1: 「英語と密接な語族関係にある言語」フランス語、イタリア語、スペイン語など9言語。目標達成までに、24~30週間。
カテゴリー2: 「習得に少し長くかかる言語」ドイツ語、インドネシア語、スワヒリ語など5言語。目標達成までに、36週間。
カテゴリー3: 「英語とは相当な違いがある言語」ロシア語、タイ語、ベトナム語など50言語。目標達成までに、44週間。
カテゴリー4: 「英語母語話者には極めて難しい言語」日本語、中国語、韓国語、アラビア語の4言語。目標達成までに、88週間。
超エリートですら日本語を習得するのに1年10ヵ月もかかるのだから、私が英語を話せないのは当たり前かぁと、少しは気が楽になったのですが。
それでも、簡単な英語ぐらいは、言えるようになりたいものです。例えば「お座りください」を英語にすると、Please sit down.がとっさに浮かぶと思いますが、これは言い方によっては押しつけがましく聞こえるそうです。
しかも、Please の位置を変え、ニコリともせずに Sit down, Please. と言った場合は、命令に近くなるとか。
丁寧に言う場合は、Would you like to sit down? が正解。ああ、これ勉強したなぁ~~と思うのですが、なにせ片っ端から忘れていくのでね。
さらに私が面白いと思ったのは、政治の場で使われる英語の話でした。昔、中曽根康弘首相とアメリカのレーガン大統領が、互いを「ロン・ヤス」と呼び合うというニュースをよく耳にしました。これは、今までの首相とは違い、アメリカとの親密な関係をアピールした呼び方だったわけです。
ところが中曽根首相は、英国のマーガレット・サッチャー首相にも同じ手を使い「Hi,Margaret!」と呼びかけたところ、サッチャー首相はジロっと睨んだだけで返事をしなかったというのです。さすが、鉄の女!
確かに、個人的な付き合いのない仕事相手(特に男性)から、いきなり下の名前を呼び捨てにされたら「はぁ?」ですよね。こういった外交の公式の場では、ファースト・ネームではなく、肩書を付けてPrime Minister ○○とか、President ○○と呼ぶのが通常なのだそうです。
また、2016年6月にオバマ大統領が現職のアメリカ大統領として初めて広島を訪問した際、謝罪の代わりに何と言ったのかも紹介されていました。
──Seventy-one years ago, on a bright cloudless morning, death fell from the sky and the world was changed.
「71年前、雲ひとつない明るく晴れわたった朝、死が空から落ちてきて、世界は変わってしまいました」(鳥飼さんの訳)──
こうして改めて英文で見てみると、オバマ大統領は「うまく逃げたな」と思わざるを得ませんが。
結局、英語が話せるようになるには語彙力が必要で、意味がわかったらセンテンスにして書き、声を出して言い、実際の会話で使って定着させるという長い時間が必要だと鳥飼さんは言っています。
それでも、英語が第2言語ではないということは、「日本が植民地になったことがないという歴史を意味している」という言葉にハッとしました。英語の習得に時間がかかるということは、ある意味、幸せなことなのかもしれませんね.
この本は、経験豊富な鳥飼玖美子さんならではの「コミュニケーション方法」が、色々と紹介されています。早い話が、きっちりしゃべれなくても、こうすれば会話は成立するんだよ! というものです。この方法を身につければ、もう「英語コンプレックス」に悩むことはなくなるでしょう。
- 電子あり
幕末から現在に至るまで、日本人を魅了してやまない「英語」。「英語をうまくしゃべれるようになりたい」は見果てぬ夢なのでしょうか。日本(もしくは日本人)が抱えている「英語コンプレックス」の根幹にあるのは、外国人を前にすると萎縮してしまい、言葉を発することができないことにあります。いわゆる「外国語不安」です。
短い言葉で切り抜けようとしたり、思い出せるフレーズを連発するだけで、相手と話が続かない(続けようとする意思がないと見られても仕方がない応答をします)、自分の意見を言わない(そうした日本人特有の習慣があることも事実です)等、相手よりも話し手の自分の方が落ち込んでしまうのが現状です。
こうした「英語コンプレックス」を打破するための最良の「コミュニケーション・ストラテジー」を同時通訳者としての経験豊富な著者が丁寧に教授します。
1・会話の「目的」は何か
2・会話では「場」を読む
3・会話の「参加者」と向き合う
4・困った時の最強の作戦
5・異文化コミュニケーション理解
6・英語学習の真実
以上に的を絞って分かりやすく解説します。
レビュアー
「関口宏の東京フレンドパーク2」「王様のブランチ」など、バラエティ、ドキュメンタリー、情報番組など多数の番組に放送作家として携わり、ライターとしても雑誌等に執筆。今までにインタビューした有名人は1500人以上。また、京都造形芸術大学非常勤講師として「脚本制作」「ストーリー制作」を担当。東京都千代田区、豊島区、埼玉県志木市主催「小説講座」「コラム講座」講師。雑誌『公募ガイド』「超初心者向け小説講座」(通信教育)講師。現在も、九段生涯学習館で小説サークルを主宰。
公式HPはこちら⇒www.jplanet.jp
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