今日のおすすめ
【まさに極限状態!】原爆投下から終戦まで、特攻隊員の異常な日常
(著:島尾敏雄)
原爆投下から終戦の日の前日までの特攻隊員の出動命令を待つ日々。感覚は鋭敏になって、過去と未来は平行するみたいに頭の中に展開し、時間がものすごく速く流れると同時に、ものすごくゆっくり進んでいるようで、目は蒸発する海の水の泡立ちや雲が色を変えていく様子を見ている。極限状態の時のもののとらえ方を追体験しているようです。恐ろしい。(カラスヤ)
人間の存在を揺るがす根源的な不安を、心の奥深くに刻んだ即時待機の特攻体験。終焉の日常は暗く美しい光を放ち、〈夢〉の世界へと飛翔して行った。死をかかえ込み極限を生きた特攻隊員の異常な生の日々を、穏やかな島の人々の生活と対比させ、鋭い感性で描く「出孤島記」など、生と死のはざまで、現実と非現実、日常性とは何かを問う島尾文学傑作7編。
レビュアー
1973年生まれ。漫画家。著作に『カラスヤサトシ』『カラスヤサトシのおしゃれ歌留多』『強風記』『喪男の社会学入門』『毎日カラスヤサトシ』『オレは子を見て育とうと思う』『カラスヤサトシの世界スパイス紀行』『おとろし』など多数。『アフタヌーンはカラスヤサトシのもの』を「アフタヌーン」で連載中。近刊に新書館『カラスヤサトシの孫子まるわかり』、講談社『カラスヤサトシ』9巻、リイド社『カラスヤサトシの戦国散歩』があります。
近況:インフルエンザが、うちのまわりではどうやら西の方から近づいてきてる感じで、気味悪くもどこか神秘的な気もします。
関連記事
-
2017.02.05 レビュー
“最底辺”からの脱出。他人を踏みつけてまで生きるという選択
『神の道化師・媒妁人』著:椎名麟三
-
2017.01.22 レビュー
【昭和文学の金字塔】離婚フラグだらけでも、妻と調和する秘訣とは?
『悉皆屋康吉』著:舟橋聖一
-
2017.01.29 レビュー
軒下につるされていた「伝説のミイラ」、常陸坊海尊はクズだった?
『常陸坊海尊・かさぶた式部考』著:秋元松代
-
2016.10.16 レビュー
【名作発見】志賀直哉は、いつになったら土に還れるのか?
『鮎の宿』著:阿川弘之
-
2016.06.05 レビュー
【名作4コマ】美人に銭ぶつけて振り向かせた時代(本多秋五)
『古い記憶の井戸』著:本多秋五
人気記事
-
2024.04.02 レビュー
ホスト、立ちんぼ、トー横……慶応女子大生が歌舞伎町で暮らし取材してきた生の声
『ホスト!立ちんぼ!トー横! オーバードーズな人たち ~慶應女子大生が歌舞伎町で暮らした700日間~』著:佐々木 チワワ
-
2024.04.01 レビュー
人間力がすごすぎる、栗山英樹さんの熱い人生哲学
『信じ切る力 生き方で運をコントロールする50の心がけ』著:栗山 英樹
-
2024.03.28 レビュー
理系に強い子どもに育てるヒント満載! 数学センスを磨く新しい勉強法
『中学数学で磨く数学センス 数と図形に強くなる新しい勉強法』著:花木 良
-
2024.03.26 レビュー
どこにでもいる!? 人間関係の悩みを生み出す人の生態
『職場を腐らせる人たち』著:片田 珠美
-
2024.03.27 レビュー
SNSでことばの事故を起こさない方法とは!? 日本語ラップは言語芸術!?『日本語の秘密』
『日本語の秘密』著:川原 繁人